「有名人になる」ということ
勝間和代氏による"有名人になるプロジェクト"やってみた報告書。これ面白いです。紅白歌合戦審査員を務めた頃の、勝間女史の絶頂期の体験談と、少しは落ち着いた現在の心境がつづられています。
「有名人になること」の金銭的メリットは思ったほどではなかったしデメリットも多かったが、「いろいろな人とつながり、その人たちと信頼関係をもつチャンスである」と総括しています。
日本にはパーソナルブランディング、セルフブランディングが受け入れられにくい空気があるなと思います。有名になるのは結果であって目的にすべきではない、そういう人は五月蠅いという人が多い。しかし、労働市場も流動化して、個人ブランドで生きる人が増えてきた今、勝間和代さんがやったことって、学ぶところも多いなと思います。
お金になる才能があることは大前提だと思いますが、世の中、才能がある人って案外、いっぱいいるのですよね。たとえば歌がうまい、美人だとか、楽器が弾けるとか。テレビで活躍している人より私の方がうまいのに、と陰で嘆いていても、道が開けようはずもない。
「もっとも重要なことは、羞恥心を捨てることです。ここまでやるか、ということまでやらないと、市場ではとんがれません。ビジネス書で自転車に乗って表紙になったり、妙な断る手の格好をした表紙をつくったり、自宅の様子をテレビで公開する、ダイエットの進行状況をテレビなどで公開する、そういうことにためらいがあってはいけないのです。」
と勝間さんは書いていますが、まあ、ここまで開き直れないにしても、アピールしない人にはチャンスがこない世界になってきているよなあと思います。私がブログを毎日書いているのも、ネット社会の中で一定のポジションをつくりたいと思っているパーソナルブランディングの一環です、はい。
ベストセラー連発してテレビで活躍するくらいの有名人になるとどうなるか。
「その1 日本人の場合、情報取得→解釈のサイクルが二年間でおおよそ、レイトマジョリティまで普及する
その2 当の本人は忙しくなるうえ、人気を背景に仕事が「Easy」になるため、アウトプットの質が下がる
その3 おおむね、一人のコンテンツを三~五くらい手に入れると、「大ファン」でない限り、お腹いっぱいになる」
であるがゆえにブームはせいぜい1,2年しか続かないと述べています。それ以上の長い期間、メディアの寵児でいつづける人は、芸能人以外では、なかなかいない。
まあ、勝間さんぐらい頂点に登りつめられれば、それはそれでいいじゃないか、とも思うわけですが、オワコン(終わったコンテンツ)と言われるのもつらいようで、有名人化のなまなましい後日談も読めて、人間的で面白い本です。カツマーではまったくない私でしたが、楽しめました。
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