朝日新聞記者のネット情報活用術

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ネット情報活用術の定番が出た。この種のテーマは類書が多い(実は私も過去に一冊書いているが(笑))。IT業界の著者が多くて、内容がネット、テクニカルに偏る傾向があった。その点、本書はバランスが取れた内容で、一般のビジネスマンやライターにもおすすめしやすい内容。

「収集」、「保存」、「確認」、「編集」、「発信」、「共有」、「安全」の7つのプロセスからなる。新聞記者らしいのは「確認」と「安全」を大切にしているというところ。「確認」とは発信元を確かめる、ウラをとるということ。「安全」とは情報の取り扱いにおける安全やネット上のトラブルに巻き込まれないための配慮のこと。

発信を前提にした情報収集術。これって実はブロガーやツイッターにとっても役立つノウハウだ。ネタにした情報発信者が実は偽物だったり、いい話だと思って広めたら作り話だったりして、そこを突っ込まれて逆切れして炎上などという、ありがちな悲劇にあわないですむ。新聞記者ならウラをどう取るか、実例で学べる。

そうした"守り"をおさえたうえで、私が一番参考になったのは、"攻め"の部分でこんな文章の書き方。

「記者の書き方といえば、新人記者のころに教わったひとつのコツがあります。ある市長のインタビュー記事がうまくまとまらず、取材ノートをめくりながら途方に暮れていたときに、先輩記者がこう教えてくれたのです。「一番面白かった話から順番に書けばいい。行数になったらおしまい」

物事の順序や起承転結みたいな形式にこだわって、順番に書いていくと平板で面白くない文章を書いてしまう。冒頭から読ませる記事でなければ、ネットではなおさら読んでもらえない時代になったわけで、この古いノウハウは今もまた活きる。

本文記述には無数に出典(主にURL)が示されている。巻末にはネットの理解に役立つ20冊も挙げられている。このオマケが実はかなり内容が濃くてお得。

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このページは、daiyaが2012年4月29日 23:59に書いたブログ記事です。

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