九月が永遠に続けば
『ユリゴコロ』『猫鳴り』沼田 まほかるの第5回ホラーサスペンス大賞受賞作。
高校生の息子の失踪と不倫相手の事故死。ふたつの事件に関係はあるのか。猟奇と官能のミステリー。複雑な人間関係の割に、スピーディーな展開についていけて、あっという間に読み終わった。文章がうまいのだ。あとで全体を振り返ると、盛り込み過ぎていて、ちょっとやりすぎな気がするが、娯楽小説としてはこれくらいでちょうどよいかも。面白かった。
この作家の57歳のデビュー作。今回はじめて経歴を知った。
「大阪府の寺に生まれる。1985年より大阪文学学校に学ぶ。若くして結婚し主婦をするが、堺の母方祖父の跡継ぎを頼まれ、夫がその住職となる。その後離婚、自身が僧侶となる。40代半ばで知人と建設コンサルタント会社を創設するが十年ほどで倒産する。57歳で初めて書いた長編『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞し、遅咲きのデビューを果たす。2011年からその文庫が売れ出し、60万部を記録する。2012年、『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞。」Wikipediaより。
盛りだくさんなのは、人生経験によるものなのだなあ。
この作家、ユリゴコロと本作は幻想的なビジョンを描く部分など、もっと人間を深く描くこともできる作家なのではないかと思わせる表現があって、これからの作品にすごく期待。
・猫鳴り
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/01/post-1373.html
・ユリゴコロ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/12/post-1556.html
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