ふらり。
じわじわきている『孤独のグルメ』『遥かな町へ』『神々の山嶺』などで知られる谷口ジロー作品。江戸情緒がテーマの落ち着いた大人向けの漫画。
大英博物館で展示された諸星大二郎、星野之宣らにつづいて、地味だが味のある大人向けの漫画作家谷口ジローが、フランス芸術文化勲章を受賞した。『ONE PIECE』や『鋼の錬金術師』が評価されるのとは違って、文化的な深みが評価されたようで、ファンとしてはうれしい。
モーニング公式サイト インタビューも。
http://morningmanga.com/lineup/145
おそらく測量の旅にでる前の伊能忠敬がモデル。
ふらりふらりと江戸の町を隠居した初老の男が散策をする。男はひたすら自分の歩数を数えて歩いている。一歩を二尺三寸の歩幅にきっちり揃えようと意識しながら歩く。測量を道楽としている男は、いつか日本の国土を測って歩きたいと考えて、そのチャンスが訪れるときを静かに待っているのだった。
散策で出会う人たちとの人間的な交流、江戸のにぎやかな町人文化、移り変わる四季と自然。男はときどき動物を眺めていると、その視点に憑依してしまう癖がある。人間の目とは違った鳥や魚や小動物の目でも江戸の世界を歩き回る。
江戸時代の庶民風俗、町人文化をとりあげた作品というと、杉浦 日向子がいいなと思うがこれからは谷口ジローも注目だなと思わせる円熟作品。
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