エネルギー進化論: 「第4の革命」が日本を変える
脱原発と自然エネルギーへのシフト。農業革命、産業革命、IT革命に次ぐ第4の革命を提唱する環境エネルギー政策研究所 飯田哲也さんの新書。ご本人の講演を聴く機械があり、会場で感銘して購入。自然エネルギー、小規模分散型システムへの見方が少し変わった。
私はこの本を読む前の考えは、10年くらいかけて徐々に脱原発を進めながら、従来方式の発電方式の効率を高めるのが無難ではないかというものだった。自然エネルギーといっても現状は2%程度であるし、太陽電池にせよ水力、風力にせよ、諸々の障害があって、20%レベルへ持っていくのは不可能と思っていた。その信念が3割くらい、自然エネルギーシフト可能説へと動かされた。
ドイツやデンマークなどエネルギーシフト先進国では、研究開発や初期投資に政府のお金を投じるのではなく、自然エネルギーで発電された電力の固定買取価格制度によって、急速な普及を実現できている。供給プッシュ型から需要プル型へ。これまでの政府のやり方とはまったく違う市場メカニズムを組み込んだエネルギー政策。
環境エネルギー政策研究所の目指すエネルギーシフト計画では今後10年程度で原発を停止し、2050年には石炭・石油と天然ガスもゼロにする。その代わり自然エネルギーを30%に引き上げ、(我慢しない)省エネ節電を20%実現する。これで現状よりも50%増しになるから、もはや10%程度だった原発が消えても問題なしという内容。
「情報、マネー、エネルギー、この3つは、現代社会を構成している重要な媒介(メディア)として考えることができます。その意味で、その3つのあり方は、国や地域の政治のあり方を色濃く表わしています。これまでは、3つすべてが中央集権的な構造のなかで一元管理されていました。しかし、そうした構造は解体を余儀なくされつつあり、新しいうねりが生まれてきています。」
情報はインターネット革命によって、マネーはリーマンショックによって中央集権から分散型へとシフトが起きた。自然エネルギー、小規模分散型の発電システムの普及を実現することは、社会構造、権力構造の革命的な再構築を意味する。著者のビジョンは3.11を起点にして、いままさにその動きが始まるのかもしれないと思わせる。
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