NTT R&Dフォーラムと面白かった展示3つ 通訳電話、流れる模様で文字すらすら、音場を伝送するリアルタイム波面合成技術
今年もNTT R&Dフォーラムを見てきました。金曜日までやっていますので行く方はご参考に。現地ではNTTレゾナント株式会社主催のイベントに参加しました。
NTT R&Dフォーラム
http://event.ecl.ntt.co.jp/forum2012/info/
面白かった展示を3つほど紹介します。
・通訳電話
音声認識・翻訳・音声合成の技術を組み合わせて、通話中の音声を自動的に翻訳して相手に伝えることができるサービスです。外国人と互いの母国語で話すことができます。その場にいる人同士でも、遠隔で電話を使う場合でも使えます。認識と翻訳の精度はなかなかのもので、明確な目的をもった利用シーンで使うならば、実用的なレベルにきているみたいでした。
デモは英語でしたが、日本人は英語はなんとなくできる人が多いので、中国語とかアラビア語の通訳電話があったらいいかもしれないですね。まったくわからない言語でコミュニケーションがとれるとありがたみがさらに増しそうです。
・流れる模様で文字すらすら
この「流れる模様で文字すらすら」は文字では伝えにくいのですが、体験するとおおっと誰でも声をあげる面白いデモでした。スマートフォンでもパソコンでも、通信遅延でインタフェースがもたつく(カーソルがもたつく)ことってありますよね。そうした場合でも、「流れる模様」を背景に提示するだけで、脳が錯覚を起こして、遅延を感じなくなる、という技術なのです。
遠隔操作やネットワークゲームなどでの利用が想定されているそうです。遅延は起きるのだけれど、それを感じさせない。新しいアプローチだなと思いました。
・音場を伝送するリアルタイム波面合成技術
この「音場を伝送するリアルタイム波面合成技術」は一通りパネル説明を聞いた後で、体験ルームへ案内されました。ルームには100台を超えるスピーカーが並べられているのですが、その前に立つと、あたかも目の前に人がいて私にしゃべりかけているかのような音声が聞こえてきます。説明員が端末を操作すると、その声の人の仮想的な位置が動きます。空間的な波面を再現することによって、音空間を再現するという展示です。100台のマイクで収音する技術も組み合わせると、遠く離れた部屋同士にいながら、まるで同じ部屋にいるかのような音空間の共有が可能になります。
・NTT技術資料館
そしてフォーラム視察後は、武蔵野研究所に行くたびに気になっていたNTT技術資料館に今回の訪問ではじめて入りました。明治2年の電信電話の創業から、電電公社以降のNTTグループの電気通信技術の集大成です。とても広くて立派なミュージアムでした。
いいなあと心底思ったのは、立派なミュージアムなのに、展示が一般人にとっては地味であることです。なにしろ主役は交換機やケーブル類なのですから。私はガイドツアーに参加しましたが、ガイドさんは「ご興味のある方も多いと存じますが、これは○○交換機で...」と真面目に案内されます。そこに並んでいるのは歴代の有名な?交換機の数々、そして海底ケーブルや火災事故を防いだケーブルと接続部品なのです。電話マニア、通信技術マニアには本当にたまらないでしょう。実際、これらの地味な技術が通信インフラを支えているわけですから、これを展示のメインに据えるのは正しいこと。NTTのプライドと自信を感じました。来場者に変に媚びないのはえらい。もちろん説明情報も充実しているので知らない世界をよく勉強することができました。ここはおすすめです。
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