殷周伝説 1―太公望伝奇
待望の文庫化。横山光輝が中国古代を舞台にした小説『封神演義』を長編の漫画作品にしあげた。横山光輝はこれが遺作となった。
舞台は紀元前1070年。商(殷)の紂王が、妖怪の乗り移った美女妲己に操られて暴政の限りを尽くしている。宮殿に酒の池をつくり、林に肉をかけ、裸の男女を遊ばせた「酒池肉林」で淫蕩にふける一方で、それを諌める忠臣たちは次々に粛清していく。妲己が次々に発明する残酷な処刑法が恐ろしい。焼けた巨大な銅の柱に、生きた罪人を縛り付けて、灰になるまで焼いていく。気に入らない女官を処刑するのに、毒へびと蠍だらけの穴をつくらせ、相撲で負けた方を落として殺す。こうして処刑の見せしめに怯えて誰も逆らえなくなる。
そんな末世を40年間の修行生活を終えた仙人の姜子牙(太公望)が崑崙山を下り、川のほとりで出会った周の文王をたすけて、天下を正していく。(70歳超えたおじいさんが大活躍するという点では高齢化社会にマッチしたコンテンツといえるかもしれない)。
『封神演義』はゲームやアニメの原作になることも多い。横山光輝は妖怪や妖術の要素は控えめにして、叙事的に淡々と描くといういつもの作風で歴史小説のように描いている。いまでている文庫3巻までいっきに読み切った。これは最後まで読むなあ。
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