パブリック―開かれたネットの価値を最大化せよ
『フリー』『シェア』の次が『パブリック』
FacebookにTwitterにFoursquare。ネットのサービスは、〇〇さんが、△△さんと、どこどこで、××していました、なんてことが表示されるサービスが大人気で"情報大公開時代"を迎えている。Facebook以外にも"パブリックであることが価値を生みだす"多くのサービスが紹介されている。
Goodreads 読書中の本
Last.fm 好きな音楽
Scribd 作成した文書
Slideshare 作成したプレゼンスライド
Covester 投資した株取引
Blippy 購入した商品履歴
などなど。
著者はパブリックであることの意味と価値を総括する。
私たちはパブリックであることのメリットと引き換えに、プライバシーを失うかもしれない。そのときプライバシーとはそもそもなんだったかとはじめて考えることになる。アメリカの不法行為法の権威ウィリアム・プロッサーのプライバシー侵害の四類型によると、
1 ひとりで他人から隔絶されて送っている私的な生活状態への侵入
2 知られたくない私的な事実の公開
3 一般の人に誤った印象を与えるような事実の公表
4 氏名または肖像を、自分の利益のために盗用すること
ということだそうだ。プライバシーが制限されても、それ以上にパブリックのメリットが大きいならば、私たちは情報大公開ツールのネットを使うだろう。
本書にはパブリックの時代の法則がいくつも整理されている。
たとえば、面白いなと思ったのを3つばかり挙げると
・タトゥーの法則 ネットに出した情報は刺青のように消えずに残る
・一面の法則 新聞の一面にでて困ることは言うべきではない、一面に載せられることをいうべきだ
・社会的破算の法則 多くの人とつながれば多くの人に煩わされる
ソーシャルネットワーク全盛になると社交術、処世術は大きく変わるだろう。パブリックについては社会規範もまた変わっていくのかもしれない。今の世の中はパブリックにすると都合が悪いことが多すぎる。ささいな発言が、うっかりすると炎上して、退学や退職につながりかねない。
「僕らが一層パブリックになった今、お互いの恥をさらして生きることがそのうち社会の規範になるかもしれない。君の恥ずかしい写真を笑わないであげるから、君もそうしてほしい、と。『大きすぎてわからない』(Too Big to Know)の著者、デビッド・ワインバーガーは言う。「透明性の時代は、許しの時代に他ならない」と。」
著者は自分の前立腺がんについてもネットで公開するパブリック派だが、本書の執筆に当たってはパブリックネスに対する肯定・否定の両方の見方を冷静に検証しており、とてもよい本だと思った。
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