山びこ姉妹
楳図かずおの貸し本作品時代の傑作『やまびこ姉妹』シリーズの第一弾が復刻文庫化。『山びこ姉妹』『へびおばさん』の2作を収録。1963年少女漫画雑誌の「なかよし」に連載された民俗ホラーで、この時代ならではの、おどろおどろしいタッチが気になっていたが、小学館クリエイティブの単行本は、四方田犬彦らの解説がつく価格が2625円とやや高額だったので手を出しにくかった。文庫化は嬉しい。
『山びこ姉妹』。奈良県の山奥に暮らす姉妹さつきとかんな。姉のかんなは、村に伝わるきつねの迷信を夏休みの自由研究のために調べている。そこへ同じテーマを調べに、村長の娘 奈美子が東京からやってくる。きつい性格のミステリアスな少女の登場。奈美子の不思議な言動に、ふたまたぎつねが憑依しているのではないかと疑うが、なかなかしっぽがつかめない。
『へびおばさん』。祖母から村のうわばみ伝説を聞いた姉妹。おつねの滝で怪しい女をみる。友達の冬子の継母が「へび女」なのではないかと疑惑を持つ。やがて冬子を邪魔者扱いする継母は恐ろしい本性をむき出しにして冬子に迫る。
スクリーントーンではなくベタ塗りで表現される黒髪、瞳、夜の闇、影が不気味。血や死体は出てこないのに怖い。映画的なナレーション解説と予告編的な導入。その後の楳図かずお作品には見られない、昭和貸し本時代ならではの表現が堪能できる。
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