ソーシャルメディア進化論
企業コミュニティの運営支援の専門家が書いた消費者ネットワークの収益化の方法論。
「心あたたまる関係」と「お金儲け」を両立させる方法が語られている。
多様なソーシャルメディアを4象限で整理する軸ってなんだろうとずっと考えてきたのだが、この本には、縦軸に「拠りどころ」(現実生活←→価値観)、横軸に「求めるもの」(情報交換←→関係構築)という軸が示されている。しっくりくる組み合わせだ。
■情報交換←→関係構築
関係構築を求めるコミュニティは、 20名規模、親密な「思いやり空間」、唯一性と居心地の良さが評価対象となる。一方で「情報交換を求める」グループは、規模が巨大になる、参加者同士は比較的離れている、利便性や有効性が評価対象となるという。
■現実生活←→価値観
「価値観を求める」コミュニティは、匿名性が高く、円状モデルで、自由な発話空間のイメージ。一方「現実生活を求める」は実名性高く、扇状モデルで、知人との連絡網のような性質を持つ。
この二軸で構成される4象限上に、ブログやSNS、掲示板など代表的なソーシャルメディアをマッピングすると、状況を簡潔に俯瞰整理できる。Facebookは関係構築と現実生活系、2ちゃんねるは情報交換と価値観系というように。コンサルタントの考え方、整理のテンプレートがいっぱい紹介されているのが仕事のヒントになりそうでうれしい。
著者は企業サイトの歴史をこんなふうに総括している。
「企業サイトは、第一世代の「メディアの時代」では、コンテンツを発信することで興味関心を惹きつけようとした。続く第二世代の「ツールの時代」では、優良なコンテンツを蓄積し、それを便利に使えるようにした。そして第三世代になり、企業サイトは、消費者に協力してもらってコンテンツをつくる仕掛けを搭載し、「場の時代」へ突入することになった。」
顧客が対話する場の構築こそ収益化のカギであるということを、10年以上前から考えて、300社以上の企業サイトを支援してきた実践者が語るノウハウや小論が満載。
ところで今週の土曜日に著者の武田隆さんとパネルディスカッションをすることになりました。ご興味のある方ご来場ください。
デジタルハリウッド大学の先駆的・先導的研究機関、
メディアサイエンス研究所による「研究発表会」を10月8日に開催
本学教員による全17の個性的な研究発表に加え、
豪華ゲストを交えた基調講演や対談を実施
お申し込みはこちら
http://www.dhw.ac.jp/ms2011/
研究者対談(13:00~13:40)
「ソーシャルメディアデザイン~ソーシャルメディアのこれまでとこれから~」
ビジネスでも活用されるようになったソーシャルメディアの活用法や、コミュ
ニケーションデザインのあり方などの「これまで」と「これから」そして「未
来のカタチ」を本学教授陣と株式会社エイベック研究所 代表取締役社長 武
田隆氏との対談形式でお話いたします。
ゲスト
武田隆氏(株式会社エイベック研究所 代表取締役社長)
橋本大也デジタルハリウッド大学教授
本多忠房デジタルハリウッド大学院准教授
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: ソーシャルメディア進化論
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/3369