新書で大学の教養科目をモノにする 政治学
公務員試験対策に使われていた人気テキストに加筆修正して新書化。コンパクトながら政治学全体の流れをつかめる構成。ポスト3.11やら総理交代やらで、改めて政治について考えてみたくなるときに、ちょうどよいと思って手に取った。
政治とは何か、権力とは何かという基本的な概念の説明から始まって、マキャベリ、ホッブズ、ロック、モンテスキューら近代国家の原理を造った思想家たちの政治思想の整理
、そして議会主義、権力分立の原理と具体例、日本及び諸外国の特徴、近代国家の理念が建前と化した現代大衆国家の特徴といった解説が並ぶ。
たとえばイデオロギーという概念の説明は、「イデオロギーというと、一般に政治思想、それも社会主義や共産主義あるいはファシズムといった急進的な思想について用いられることが多い。しかし正しくは、イデオロギーとは私たちの誰もがなんらかの形で抱いている世界観のことである。もう少し厳密に定義するならば「人間、自然、社会等についての一貫性と論理性をもった表象(イメージ)と主張の体系」ということになる。」と、とてもわかりやすい記述。
そして、そうした解説を受ける形で、要所要所に「例題」「ポイント」がおかれており、「現代民主政において、正常な政治と腐敗した政治を区別する基準は何か、またそれを正す手法について、その有効性と限界を述べよ。ただし、歴史と現状にも必ず触れること」のように大学の一般教養試験問題のような出題もなされる。新書であるが参考書みたいな形式だ。
ブログやツイッターで国民総評論家時代の今、無用で的外れな発言をしないためにも、今の政治を批判する前に、前提となる基本知識を整理することって重要だと思う。
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