諸怪志異 第三集 燕見鬼編
道士の五行先生とその弟子の阿鬼(成人して燕見鬼)が活躍する中国伝奇漫画。
諸星大二郎版「聊斎志異」といわれる『諸怪志異』。ずっと未完のままであったが、ついに完結した。『西遊妖猿伝』が好きな人はこれも必読。
堂々の完結と売り文句にあるが、実際には、未完だったところへ、描下ろし50頁「再び万年楼へ」を加えていっきに終わらせた唐突な感じではある。特に終盤は諸星大二郎の持ち味とは言えない大味なアクションが延々と続いていて、終わり方としてはいまいちだったかもしれない。このシリーズは続き物の長編の話よりも、一話完結的な話のほうに傑作が多いのだ。
あとがきを読んだらご本人が
「初めは燕見鬼を主人公にした伝奇的読み切りのつもりだったのだが、途中から活劇の要素が強くなり、方蝋の乱に焦点を合わせた中国武侠もののような様相を呈していった。」「考えてみると、伝奇ものの短編読み切りとして始まったはずのシリーズ物がいつの間にか連載活劇になってしまった訳で、その時のノリとは言え、勝手なことをしたものである。」
と自覚していたことが判明。
と、最終話のことはぶつぶつ書いてみたが、この作品はやはり傑作である。カラー含むイラストやあとがきのおまけも含めて、こうして大型の愛蔵版で改めてじっくり読めるのが本当にうれしい。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 諸怪志異 第三集 燕見鬼編
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/3357