「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱
世代論のネタとして秀逸。
アニメオタクではなくて経営戦略コンサルタントが書いた本なので、深いサブカルチャー論は期待してはいけないのだが、40代中心でタテ社会的「ガンダム世代」と20代中心のヨコ社会的『ONE PIECE』世代の対立という、大きな見立ては、かなりの説得力を感じた。
「『機動戦士ガンダム』に影響を受けた世代は、組織は理不尽なものと理解しつつも、そこに所属することをよしとしている。一方で、『ONE PIECE』世代に影響を受けた若い世代は、組織への所属よりも仲間への所属をよしとしている。」
「若者は、彼ら自身が第一の軸と考える「仲間」をとても大切にしていて、コミュニケーションも濃密に取る傾向がある。その一方で、第二の軸である「勤めている会社」などに対しての所属感はそれほど強くはない。さらに大きな「日本社会」という軸に対しては、所属という感覚はとても希薄になる。」
ガンダム世代の私はワンピース世代が気になる。著者によると、ワンピース世代は、身内に対するコミュニケーション能力が非常に長けている。出世よりもお金よりも「自由」を愛する。完全な自由を得ることが成功である。自分の意見を持つ前に、意見をネットで検索する世代だ、など、そうかもなあという見立ての話が続く。
もちろん世代全部が同じ属性のわけはないし、いつの世でも普遍の若者の属性、オジサンオバサンの属性があるはずだとは思う。しかし、ガンダムとワンピースという世代に圧倒的な人気を誇った漫画に、各世代の生き方のイメージを読みとるアプローチは、わかりやすいし共有しやすい。社会学的にデータをもとに世代を論じることも有益だが、わかりやすい見立てこそ、実践の場で使う知としては重要だと思う。今後、社会学者たちが、ワンピース世代、ガンダム世代を検証したらさらに面白いテーマになるだろうなあと思う。
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