シュナの旅
宮崎駿の隠れた名作。『風の谷のナウシカ』と同時期に描かれた初期作品。ナウシカはアニメになったが、シュナはマンガである。チベットの民話をベースにした地味な企画ということで、アニメ化を断念することになったが、宮崎自身は相当思い入れがあった作品だそうだ。たしかに地味だが、ドタバタや奇抜が少ないから、しっかりメッセージや世界観が伝わってきてすごくよかった。
貧しい国の状況を憂う辺境の国の王子シュナは、畑に実りをもたらす「金色の種」を求めて、豊かな西へ旅にでる。だが、シュナが訪れた世界の人間は、作物を育てることをやめてしまっていた。支配者層の人々は、人間狩りで捕まえた奴隷を「神人」に売り飛ばし、麦と交換する。もはや自ら作物を育てようとせず、金色の種さえ持ってはいなかった。シュナは奴隷の姉妹を救い出した後、奴隷を買い集める謎の「神人」の国へと向かう。
神人の国は『ナウシカ』などでみられる宮崎ファンタジーの独特な異界。文明批判のメッセージ性や、少年少女の成長物語など、その後のジブリのファンタジーの源流をみるような展開。『もののけ姫』や『ゲド戦記』の原点と評価されているそうだ。
そういえば『コクリコ坂から』なかなか観に行けないな。
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