乱紋
先週は夏休みをとって滋賀県へ家族旅行。長浜市で開催されている『江・浅井三姉妹博覧会』のバスツアーや、浅井家と縁の深い琵琶湖の竹生島に行ったり、彦根城にのぼったり、近江八幡で近江牛を食べたり、淀君が増築したという石山寺を訪れたり、した。
それで、この旅の移動中に読んだ本が、直木賞作家 永井路子が浅井三姉妹を書いたこの小説。NHK大河ドラマ原作の『江(ごう) 姫たちの戦国』(田渕 久美子)とはかなり違った設定が楽しめる。茶々と初は美人で勝気で嫉妬深い女性、江は無表情でおとなしく、愚鈍にさえ思われる女性として描かれる。
江に限らず戦国時代の姫たちの実態は史料が不足していて、よくわかっていないのが現実らしい。NHK大河ドラマではアクティブな狂言回し的な扱いになっているが、本作では江には沈黙させ、ミステリアスなキャラクターに設定しておくという描き方をしている。茶々、初との軋轢と葛藤は、この小説の方がリアルな気もする。大河ドラマは姉妹の仲が良すぎる。
無表情で無口な主人公では話が進まないので、主に江の侍女おちかの視点で語られていく。おちかは、静かな江の心情を推し量って代わりにやきもきしたり、商人でスパイかもしれない「ちくぜん」と恋仲になったり、ドタバタと忙しい。タイトルと上下巻のボリュームからは、もうすこし重厚な長編を期待させるが、軽いノリで進行する長編ドラマである。大河ドラマに影響されて、もうひとつの三姉妹の話を読みたい人は、楽しめる内容。
以下旅行記。
・竹生島
彦根港から船で40分。NHK大河ドラマ『江(ごう) 姫たちの戦国』では第3話に登場した島です。観光のノリは私の地元の江の島に似ていますが、江の島神社、厳島神社とあわせて三大弁財天であるとのこと。願い事を書いてダルマに入れて奉納する宝厳寺、秀吉の船を再利用した舟廊下、願い事を書いた瓦を岸壁下の鳥居に投げる都久夫須麻神社(本殿は国宝)など、小さな島なのに盛りだくさんで、非常によかった。
・江・浅井三姉妹博覧会
『江・浅井三姉妹博覧会』。「浅井・江のドラマ館」(NHK色が強い)「小谷・江のふるさと館」(小谷城跡のふもとにあり地元色強い)「長浜・黒壁歴史ドラマ50作館」(大河ドラマを振り返る)をシャトルバスでむすぶ博覧会企画。地元は地域振興の目玉として力入れまくりであり、博覧会の旗だらけ。シャトルバス内では地元ガイドが熱心に説明してくれる。
江・浅井三姉妹博覧会
http://www.azai-go.jp/
・石山寺
紫式部が源氏物語の着想を得た寺ということで知られるが、淀君の寄進により増築していたりで浅井三姉妹とも縁が深い場所なのだそう。
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