日本「再創造」 ― 「プラチナ社会」実現に向けて

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・日本「再創造」 ― 「プラチナ社会」実現に向けて
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明解なヒントに満ちた本。

元東京大学総長で三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏が提唱する「プラチナ社会」とは

エコで低炭素な社会を実現していく「グリーン・イノベーション」
活力ある高齢化社会を実現していく「シルバー・イノベーション」
ITを効果的に活用して人が成長する「ゴールデン・イノベーション」

という3つが有機的にむすびついた未来社会のイメージである。

市場競争で飽和した普及型需要から、これまでにない創造型需要で未来を切り開く国になるには、日本は課題先進国から課題解決先進国へと変身することだと説く。いま日本が直面している問題は近い将来にアジアや世界の国々にも生じる問題の先取りだからだ。

物事の本質をみる着眼点がユニークだ。

たとえば各国のインフラの整備度合いを、2010年までの一人当たりセメント投入量累計でみる。アメリカなら約16トン、フランス22トン、日本29トン。急速に追い上げる中国ではすでに14トンに達しており、直近では年に1.3トンのペースで増えている。2年後にはアメリカに追いつく。

「中国とアメリカの国土面積はほぼ同じで、人口は中国が4.5倍ある。2012年に人口当り投入量が同じということは、中国の国土にアメリカの4.5倍の密度でセメントが投入されることを意味する。高速道路や飛行場やビルなどのインフラ投入の総量が4.5倍になるわけだ。 したがって、今後もしばらく中国が年率10%もの高成長を続けるとすれば、道路や港湾、ビルなどのインフラは予想以上に早く建設され、早ければ二年、どんなに遅くとも10年以内で飽和状態に達するのは確実である。」

物質は飽和する。投入した物質の量をみて状態を測る。いわれてみればとてもシンプルで本質的な考え方だ。

物質は有限だが欲望は無限だ。人類の情報スピードが「神の見えざる手」を超えてしまい、市場は均衡せずに暴走するかもしれない。プラチナ社会を実現するための具体策として、

1 エネルギー効率を3倍にすること
2 物質循環システムを構築すること
3 非化石エネルギーの利用を二倍にすること

といった施策が掲げられている。効率が3倍になれば使用エネルギーが3倍に増えても問題がない。循環システムがあれば無駄がない。非化石エネルギーによってCO2排出量を抑えられる。

ではわたしたち具体的にはなにから手をつけたらいいか?

人々が最新のエコ家電に買い替えることで、日本の産業は復活し、海外に輸出する製品が磨かれ、効率社会も実現される。だから最新の家電の買い替えが、一般市民ができる第一歩としてよいらしい。買いますかね。

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このページは、daiyaが2011年8月 9日 23:59に書いたブログ記事です。

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