人口負荷社会

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・人口負荷社会
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地震予知や景気予測と違って人口動態は、かなり高い精度で未来を予測できることがわかっており、将来展望の基盤である。

少子高齢化の何が問題なのか、"人口オーナス"をキーワードに日本の未来に与える影響を明確にする。人口オーナス(負荷)とは人口の中で働く人の割合が低下することが経済的にマイナスに作用することを指す。プラスの作用を及ぼす人口ボーナスの反対後である。

2005年と2050年では、日本の人口には、

人口総数の減少 1億2800万人 → 9500万人
高齢化の進展  老年人口(65歳以上)の比率が20.2% → 39.6%
少子化の進展  年少人口(0~14歳)の比率が13.8% → 8.6%

という大きな変化がほぼ確実視されている。これまでの人口増加時代に設計された日本の社会保障制度は人口オーナス時代に問題を引き起こす。たとえば年金の破綻はわかりやすい例だ。労働力人口が減って高齢者人口を支えられなくなる。長期的には深刻な労働力不足、資本不足の原因にもなるという。労働力としての女性の社会進出と高齢者の就業率の引き上げなどが必要になる。

特に有効そうに思えるのが女性の社会参加だ。日本女性の経済・社会への参入度合いは国際比較で異常に低いというのは知っていたが「女性の貢献がそのまま現在の経済活動に上積みされると仮定されると、日本の女性がノルウェーやスウェーデン並みに経済活動に参画していけば、日本のGDP、一人当たり所得のレベルは23%も高まる計算になる。女性の経済参画の力は相当大きいのである。」というほどの改善の余地があるとは驚いた。

それから少子高齢化が民主主義を脅かすという著者の指摘は極めて重要だと思った。高齢者が増加することは、選挙民に占める高齢者の比率が高まる「シルバー民主主義」の原因となる。

「日本の投票者の分布は現在すでに大きく高齢者に偏ったものとなっており、その度合いは今後急速に強まることになる。これは人口オーナス期の社会的意思決定を方向付けることになる。 こうした投票者構成の変化によって、政治的意思決定は、勤労世代よりも引退世代の意思が反映されやすくなったり、将来世代への負担の転嫁が行われやすくなったりするだろう。」

未来の世代の意思が無視される民主主義はまずい。少数派でも若者の意思が反映されるように、投票制度などを改めないといけないのだ。多数決の論理でシルバー政策ばかり考えていたら、日本の未来はその先がなくなってしまう。

少子高齢化は日本を追う形でアジア諸国でも急速に進むことが予測される。日本は課題解決の先進国としてモデルを示すことで、再びアジアの経済リーダーのポジションを得ることができるという。いままさに考えるべき重要課題だと改めて強く認識させられる。

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このページは、daiyaが2011年7月13日 23:59に書いたブログ記事です。

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