2100年、人口3分の1の日本
歴史人口学者が書いた刺激的な本。長期的視野で人口オーナスの行方を鮮明にする。
"人口ゼロ成長"をめざせ
15年ぶり 白書で6項目の提言
子供は2人が限度
1974年(昭和49年)4月16日の毎日新聞記事の紙面複写が引用されている。戦後2度目の「人口白書」では、当時1億1千万人の人口増加傾向を、いかに早期に止めるかが国家の課題であった。「静止人口」を目指して政府主導の「少子化」がすすめられた。現在の「少子化対策」の逆で出生率を下げる施策がうたれた。そしてついに2005年には人口の減少が確認された。今日の日本の人口減少は37年前の"夢の実現"にあたる。
そもそも縄文以来の歴史を振り返ると日本列島の人口は4回減少したことがあったそうだ。過去の減少も、気候変動や戦争、災害ではなく、「文明の成熟化」が主な原因だったというのは興味深い。ただし今回はエネルギー資源や原材料があまり残っていないから、人口の再増加が期待できないかもしれないという予見も示される。
現在の変動傾向が続けば、100年後、日本人口は4000万人になる。この本には、人口4000万人時代の暮らしと経済、都市と地方、人間関係、そして外国人5000万人の未来、人口100億人の世界が論じられている。
マクロの変化も重要だが、一般読者として興味深いのは、人々の暮らしや人間関係、都市と地方の様子がどのような影響を受けて、どのように変貌を遂げるのかだ。
・人口の4割が高齢者で独り暮らしの老人が2030年には700万人
・人生90年時代の長すぎる老後・長い結婚生活。「永遠の愛」は誓わない時代に?
・四国、東北、北海道は2035年までに人口が20%減り、一部の大都市が増える
・人口の3分の1が外国人になる?
・豊かな田園国家という方向性もありえる
歴史や人口統計という現実的なデータにもとづきつつも、著者が語るのは、現状とは大きく違う刺激的なイメージだ。人口論がただの計算ではなくて、文学的構想力、社会的想像力をふくみうるおもしろい学問分野なんだなと見直した。
人口減少の問題は労働人口の比率が低下して、経済を支える層が少なくなってしまうこと。日本の場合は、高齢者の高い労働意欲や女性の低い社会進出度に大きな成長の可能性がある。そして、成長を続けるには大胆な産業構造の変革が必要だとのこと。私はIT畑だからどうしても○○×ITで掛け算したくなるわけだが、
女性 × IT =
高齢者 × IT =
もしくは
女性 × 高齢者 × IT =
で、ブレストしてみるか。
・人口負荷社会
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/07/post-1474.html
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