教科書の詩をよみかえす
1993年前後の教科書に掲載された詩31篇を、詩人の川崎洋が選んで、その詩に触れて考えたことを綴っている。登場する詩人は、
川崎 洋 , 石垣 りん , 吉野 弘 , 草野 心平 , 黒田 三郎 , 中野 重治 , まど・みちお , 辻 征夫 , 萩原 朔太郎 , 室生 犀星 , 山本 太郎 , 谷川 俊太郎 , 栗原 貞子 , 伊藤 比呂美 , 島田 陽子 , 大岡 信 , 三好 達治 , 山田 今次 , 青木 はるみ , 中原 中也 , 土井 晩翠 , 茨木 のり子 , 小海 永二 , 村野 四郎 , 松井 啓子 , 北原 宗積 。
で、民謡やわらべ歌なども含まれている。
教科書に出る詩というと、古い価値観で、教条的で、優等生的なものを想像してしまうが、選者のせいかもしれないが案外にそうでもなくて、幅広い。さすがに恋愛や享楽をテーマにした詩はほとんどないのは仕方ないか。
一番気に入ったのは、これ。
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紙風船 黒田三郎
落ちて来たら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう
美しい
願いごとのように
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今読むと復興のメッセージのようにも響く。
31の詩のうち3分の1くらいはすんなり入ってきて、3分の1は何も感じなくて、3分の1は違和感を感じる。第一印象で違和感を感じた詩を何度も何度も読み返していくと、新しい世界を発見して自分の感受性を拡張できたように感じられるときがある。
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