中華料理四千年
日本生まれの華僑である著者が中国料理の歴史を日本人にわかりやすく解説する。
私は世界の料理の中で中華料理が一番好きだ。では中華の何が好きなのかというと、あれも好きだしこれも好きだしと、バラエティに富んでいるのが、一番の理由だ。その多様性はその長い歴史と多民族融合の産物だ。
「北京料理は山東料理を元祖として、蒙古族やイスラム族など北京以北の民族の影響を多分に受けている。上海料理は、蘇州や杭州などを含めた近隣地方の料理をひとまとめにしたものだ。かつては中原地方と呼ばれた黄河、長江の河川沿いに広がる穀倉地帯にどっかりと腰をすえて、豊富な農作物を食材にしている。広東料理は亜熱帯地方独特の解放感から、野趣にあふれた豊富な食材と新鮮な海産物からなる。四川料理は対照的に、内陸部の乾燥した酷暑や玄関を耐えしのぶために、唐辛子や香辛料をふんだんに使っている。」
北京料理、上海料理、広東料理、四川料理の4大料理の説明をはじめとして、各地域料理の特色や名物を紹介している。歴史蘊蓄だけでなく、現代の食べ歩きにも役立つ中華料理の知識がたくさん見つかる。
たとえば、
人数プラス一品+スープを注文するのが原則
→これはいつも迷っていますが目安によいですね
一度食べ始めたら食べ終わるまで箸は置かない
→置いた箸をもう一度取り上げるのは意地汚い行為
接待で出された料理は少し残すのがお客のマナー
→食べきれないほどたくさんの料理を出すのがもてなし
中国人は量も重視しているから小さな皿に山盛りで出す
→いっぱいあるように見せる中国人の見栄
北京ダックは日本人は皮しか食べない、中国人は身も食べる
→北京ダックは皮しか食べないものと日本では教えられているような...嘘なのです
「酒家」は確実に広東系の料理店
→「南国酒家」いいですね
「清炒蝦仁」「紅焼海参」「青椒牛肉」など基本的に四文字の漢字で表わされる料理名から正確にどのような料理かを知る読み方を教えてくれる部分が勉強になった。
片=スライス、丁=賽の目切り、塊=ぶつぎりのような切り方や、
炒(チャオ)= 炒める
炸(ヂャー)= 揚げる
爆(バオ)= 強火で炒める
清蒸(チンヂェン)=下味をつけて蒸す
紅焼(ホンシャオ)=炒めて醤油味で煮込む
のような調理法、そして酸、甜(甘い)、苦(苦い)、辣(唐辛子の辛さ)、咸(塩からい)の味付け。数十の漢字と意味の対応を知っていれば、中国語メニューをかなり読み解けるらしい。
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