まんが原発列島
22年前(1989年)に描かれた漫画の緊急復刻版。
劇画タッチで、当時の原発の光と影というか、光は少し、ひたすら闇を暴く。
若い女性記者が、権力による隠ぺい圧力に抗しながら、原子力発電の闇を明らかにしようと奮闘する物語。原発の危険性や歪んだ利権構造、事故隠しを含む現場の隠ぺい体質など、次から次へと問題がみつかっていく。
ポケット線量計、フィルムバッジ、アラームメーターの三種の神器を渡されて、日給8000円で働く労働者たちの作業風景が、今は少しは改善されているのだろうが、生々しくて恐ろしい。原発→元請け→下請け→孫請け→ひ孫請け→末端。大金が動く。ピンハネで儲かる。末端の人集めでも2,3年やれば家が建つとうそぶく手配師、そして反社会的勢力とのつながり。
作者は1974年から約10年余り新聞記者として日本の原発に向き合ってきた人物。だからこれは主に実話に基づく内容。福島、宮城、福井、静岡の原発を「尾行や脅迫に抗しながら潜入・徘徊・取材を重ねてきた」とまえがきに書いている。
週刊誌の見出し的なショッキングな暴露ネタも多いが、作者いわく「被曝作業、技士の死、原発下請け労働組合の結成、密告、極秘の『原発立地地点計画書』のスクープなども、そのままではありませんが、基本的に事実にもとづいています」とのこと。
復刊にあたって作者らが長文のメッセージを寄せている。
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