新版 原発のどこが危険か 世界の事故と福島原発

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・新版 原発のどこが危険か 世界の事故と福島原発
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1995年の刊行の内容に「2011年福島原発事故、どこが盲点だったのか」を追加。

十五年も前に、米国製原発においてステーション・ブラックアウト(全交流電源喪失)が大事故につながる可能性が大きいということを指摘しており、"予言"があたっとして話題になっている本である。

「日本ではめったに停電は発生しない。その発生確率は、年間平均100分の1程度であろうか。さらに非常用ジーゼル発電機の信頼性も高いので、必要地の起動失敗確率は、一台当たり平均1000分の1程度と評価されている。原発にはそれが最低二台設置されている。そのためにすべての内部交流電源が喪失する確率は、年間平均1億分の1と評価されている。日本ではステーション・ブラックアウトは、炉心溶融に結び付く深刻な起因事象とは位置づけられていない(NUREG/CP0115[1991])。」

著者は指摘していたが、"深刻な起因事象とは位置づけられていない"ことが大事故につながってしまった。その後の余震でも簡単に電源を部分喪失してしまうのは、対策が十分でないことが明らかである。

このほか、スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故をはじめとする米国製、旧ソ連製原発の事故を技術的に分析して、圧力容器の中性子による劣化や、焼き鈍しによる継続利用による劣化、蒸気発生器の老化など、原子力発電所の危ない個所を指摘する。

軽水炉の設計寿命は40年とされるが、米国では2000年頃から寿命を迎える原発が続出している。日本はそれに10年遅れてスタートしたので、2010年というのはまさに設計寿命に近い時期になっていた。震災と津波がなかったとしても、見直しが必要な時期だったことは間違いないようだ。

そして、著者は、原子力施設の国際評価尺度の問題点も指摘していた。福島第一原発事故のレベル7認定によってこの問題がいままさに顕在化している。

「いまの表示では、一般には事故・故障の大きさの相互比較ができない。事故・故障のクラス分け(レベル分け)とその大きさの間には、I-5のように、それぞれ10倍の差があることを明示するべきである。チェルノブイリ原発四号機の事故は、史上最悪の事故ではあるが、原発で起こりうる最大の事故ではない。それよりもさらに一桁大きな事故も起こる。クラス分けにおいて、レベル7を上限とするのは適切な表現ではない。クラス7の上に、さらにクラス8、クラス9くらいまで考慮しておくべきではないか。」

全体的に技術論が多いので一般読者向けというよりも、もっと知りたい人向きの理系の内容だが、一般読者としても原子力発電の安全を考える上で見過ごせない記述がいくつかあった。

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このページは、daiyaが2011年4月15日 23:59に書いたブログ記事です。

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