『核エネルギーと地震』『災害からの復興―広島、チェルノブイリ、ロンゲラップ環礁の調査から』
・核エネルギーと地震 ─中越沖地震の検証、技術と危機管理─ 〔高田 純の放射線防護学入門〕
先日読んだ『核爆発災害』と同じ著者による小冊子を2冊読んでみた。
2007年の中越沖地震では、震源から23キロの距離にある柏崎刈羽原子力発電所が震度6強の揺れに襲われた。地震のP波を感知して最大加速度を受ける前に核反応を自動停止させて、事なきを得たという事象の調査を行い、原発の安全性と問題点を技術と危機管理体制の2つの視点から、説明している。
結論としては、
・日本の原子力発電所は耐震技術は世界一
・しかし、政府機関の危機管理に問題がある
というもの。
耐震性能は大丈夫だったわけだが、津波に対して大丈夫ではなかったわけで、技術的に大丈夫という意見はもはや説得力がない。が、国内と海外の原発がどのような仕組みで、どのような安全設計が考えられているか、素人にもよくわかるように表や図解入りで解説している部分は参考になった。
政府機関の体制に問題があって、異常事象発生時に的確なリスク判断情報が発信されないのではないかという懸念はいままさに顕在化してしまっている。著者は、放射線量や災害の大きさについて、ミリシーベルトやベクレルではなく、震度のような、わかりやすい二次情報の提供を具体的に提案していた。
・核災害からの復興―広島、チェルノブイリ、ロンゲラップ環礁の調査から
著者が広島で行った一般向けの講演。ふりがなつきでこどもでもわかるやさしい内容。
広島の原爆、チェルノブイリ原発事故、ビキニ諸島被災の3つの核災害の復興事例を話す。
「チェルノブイリを訪ねて考えたこと、学んだことは、まず一般の人たちに急性放射線障害はなかったということです。甲状腺がんが後年発生しましたが、その主な原因は汚染した牛乳の流通による甲状腺の被爆でした。原子力緊急時に住民の放射線防護は可能であることがわかりました。」
チェルノブイリの甲状腺被曝の80%が放射性ヨウ素に汚染された牛乳によるものだということ。残り20%が汚染された空気の吸引など。核兵器による核災害と違って、原発事故の場合には、水や食物を通じた長期にわたる体内被曝が大きな脅威となる。
著者は核兵器災害に対しては厳しい見方をするが、原発事故の被害に対しては比較的楽観的な見方をする印象を持った。Webでもリアルタイムに積極的な情報提供をしている。
・高田純博士のサイト
http://www15.ocn.ne.jp/~jungata/
・ブログ
http://junta21.blog.ocn.ne.jp/blog/
・核爆発災害―そのとき何が起こるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/03/post-1415.html
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