2011年4月アーカイブ
"ナポレオン・ボナパルト(フランス皇帝)
さらば、友たちよ。諸君の一人ひとりをこの胸に抱き締められれば、どんなにいいだろう。 ─── 古参近衛兵たちへの惜別の言葉。1814年4月20日、パリ郊外のフォンテンブロー宮殿の中庭で"
ソクラテス、チャーチル、リンカーン、マンデラ、孫文、鄧小平、ワシントン、フランクリン、ガリレオ、ガンジー、ケネディ、ナポレオン、ジャック・ウェルチ、ビル・ゲイツ、オバマ...。社会に大きな影響を残した名演説家たちのスピーチに学ぶ、聴衆に感動を与える秘訣。
"出発の時間になりました。これから私たちはそれぞれの道を行くことになります。私は死に、みなさんは生き続けます。どちらがよい道なのかは、神にしかわかりません ─── 「ソクラテスの弁明」紀元前399年、ギリシアのアテネで(プラトン著「ソクラテスの弁明」より)"
偉人たちの伝説的なスピーチのさわり部分と、それが話されたシチュエーション、人々を感動させたポイントが一人あたり数ページで語られていく。100人の100の伝説スピーチの概要を知るだけでも教養書として面白い。
ビジネスのプレゼンを効果的に行うための小手先の技を知りたいのであればこの本は適当ではない。そうではなくて、世界を変えるため使命感を持って話す機会に備えるという目的ならば、この本は大いに参考になるだろう。100人のスピーチの背景には共通して大志がある。それがないと人の心を揺さぶることはできないということがわかる。
テクニックを詳細に語る本ではないが、大きなパターンは見えてくる。たとえば名演説家が多用するテクニックとして「三の法則」や「繰り返し」がある。「三の法則」とはリンカーンのゲティスバーグ演説の「人民の、人民による、人民のための政治」のように、三回事例や同じ言葉を三つ並列させる方法だ。100のスピーチの中に幾つもみつかる。
"ウィンストン・チャーチル
我々は、海岸で戦う。敵の上陸地点で戦う。野原や市街で戦う。丘陵で戦う。我々は、断じて降伏しない。 ─── 下院演説「我々は、断じて降伏しない」1940年6月4日、ロンドンで"
"ヘンリー・ウォード・ビーチャー
探しましょう、真の博愛を。探しましょう、信仰の真の果実を。探しましょう、いずれかの宗派の集団の中ではなく、それぞれの宗派に集う一人ひとりの心の中にある崇高で力強い愛の中に。探しましょう、書物の中だけではない場所に。 ─── 1869年11月18日、ニューヨークのプリマス境界で行った説教"
キング牧師の「私には夢があります」のようにスピーチの中で同じフレーズの繰り返しも、似たような効果をもたらす。前述のリンカーンは演説の切り出しで87年前と言うところで「80と7年前(Four score and seven years ago)、私たちの父祖は、この大陸に新しい国家を築きました」と言ったそうだが、リズムを大切にしていたということがよくわかる。
情熱的に大志を燃やしている人が、メッセージを明確にしたうえで、文字ではなく音の流れとして効果的に構成することが名演説の最大の秘訣かなあと、この100人のスピーチを読んで思った、私の結論。
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/08/-18.html
人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1070.html
ブライアン・トレーシーの 話し方入門 ー人生を劇的に変える言葉の魔力
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-838.html
・たった2分で人の心をつかむ話し方(CD付)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/10/cd-1.html
・「頭がいい人」が武器にする 1分で話をまとめる技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004383.html
・「感じがいい」と言われる人の話し方
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004992.html
・話し方の技術が面白いほど身につく本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001029.html
・人生を変える黄金のスピーチ〈上〉準備編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001456.html
・人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002404.html
・人を10分ひきつける話す力
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003857.html
・「できる人」の話し方、その見逃せない法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000445.html
・ハーバード流「話す力」の伸ばし方!―仕事で120%の成果を出す最強の会話術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000228.html
・その場で話をまとめる技術―営業のカリスマがその秘密を大公開!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003713.html
ソーシャルネットワークとコミュニケーション重視の時代の問題提起。
「家族や仲間の承認のみを求め、それ以外の人々の承認を求めないのは、多くの人間の賞賛を求める野心とは無縁な、ある意味で堅実な生き方のように思えるかもしれない。理解してくれる人が少しでもいればそれでいい、という思いも十分に理解できる。しかし、見知らぬ大勢の人々の承認など不要だとしても、自らの行為に価値があるのかないのか、正しいのか間違っているのかについて、身近な人間から承認されるか否かのみで判断し、それ以外の人々の判断を考慮しないとしたら、それはとても危険な考え方である。」
価値ある行為を行う、それに対して、他者から承認を受ける。この基本ルールでの人間の成長が難しくなってきている。価値観の多様化によって社会共通の価値観が崩れ、「価値ある行為」が限定的なものになってしまったことに原因がある、と著者はいう。だから現代人は、見知らぬ他者の承認を意識から排除して、身近な人々の言動ばかりを気にする。「価値ある行為」よりもコミュニケーション能力が重要で、内輪の空気を読むコミュニケーションに終始する「空虚な承認ゲーム」の時代になったと現代を定義している。
だから現代では「個人の自由」と「社会の承認」の葛藤ではなく、「個人の自由」と「身近な人間の承認」の葛藤がある。著者は、心の発達には3つの他者と承認があるという。
親和的他者 愛と信頼の関係にある他者
集団的他者 集団的役割関係にある他者
一般的他者 社会的関係にある他者一般の表象
子供はまず親による親和的他者の承認から価値を学び、やがて仲間や学校における集団的価値を学び、社会一般の価値を学んでいく。そして人間関係が広がるにつれて「一般的他者の視点」を身につけて成熟した社会人となる。三つの承認の相補的関係で人間は育ってきたのである。
「価値観の相対化という時代の波のなかで、多くの人が自己価値を確認する参照枠を失い、事故価値への直接的な他者の承認を渇望しはじめている。そして身近な人々の承認に拘泥したコミュニケーションを繰り返した結果、極度のストレスを抱えたり、その承認を獲得することができず、虚無感や抑うつ感に襲われている。」
この傾向には、ソーシャルネットワークの内側に閉じこもることが容易になっていることもあるだろう。インターネットは世界と向き合うこともできるが、逆に仲間内に閉じこもることもできる。親和的他者と集団的他者のレベルにひきこもり、空虚な承認ゲームで過ごすことが容易になっている。
多様化の時代でも「努力」「やさしさ」「勇気」「忍耐力」「ユーモア」、道徳的価値の普遍性はまだ共通了解として残されているから、そこらへんを足がかりに一般的他者の視点へと至る道が重要、と提言している。
そうだなあと思う反面で、しかし、この問題、あまり心配するようなことではないのかもしれないとも思う。優しい関係を大切にするようになったことは悪いことではないし、これに対する反動が昨今の若手の社会起業家活動の背景にあるようにも思える。
若者の価値観の多様化と普遍的価値観の喪失を嘆くのは、自分たちの声が届かなくなることに対する古い権威たちの嘆きだともいえるだろう。
初版は1998年。放射線医学の権威が書いた本。
敢えて増刷に際して「東日本大震災による原発事故にともなう放射線被ばくリスクに国内が大揺れしています。今回の被ばくは生命に危険を与えることは全くありません。本書はその科学的根本をしたためています。」という1ページを冒頭に配した。
本文では「チェルノブイリ事故後10年間の追跡調査の結果はつぎのことを証明した。原発事故の放射能を被ばくしても子どもの白血病の危険は心配無用!」と枠付きで記述している。安心したい人はこれを読むといい。
放射線の人体への影響を科学的に解説する本である。人体は放射線に弱くて強い(強い放射線には弱いが、微量には強い)とし、低線量被ばくの危険性については、まったく問題ないと断言する。
「低レベル被ばくのときは、他の発がん要因によるかく乱のため疫学的手法はあてにならないことが多い。」
「生涯被ばく値が35レムを超す心配のある高放射能汚染地区の住民は、きれいな地区へ疎開する基本方針を決めた。広範囲の汚染地区について、住民の健康状態を調べたところ、想像以上に多くの人が、いろんな異常反応を示した。異常症状のほとんどは、放射能恐怖による心理的ストレスの累積によると思われる。異常と被ばく量の相関はみつかっていない。」
(注:0.01シーベルト = 1レムだから35レムは350ミリシーベルトである)
「最近、心病む話を旧ソ連を訪問した医学者から聞いた。事故のあとの放射能の汚染除去のため、ソ連の軍隊から数十万人が被ばく量25ラドを限度にして、動員された。そして動員解除後、しばらくして病気になり、それを放射能のため不治の病になったと思いこんで、自殺した人が出たということである。 放射能恐怖症をおこさせたデマ情報のほうが、実際の死の灰よりも、比較にならないほど有害であることが実証された。」
(注:1ミリシーベルト=0.1ラドだから25ラドは250ミリシーベルトである)
チェルノブイリ事故だって住民の被害はほとんどなかったのだから、原発事故放射能程度では人体はびくともしない、と書いている。放射線によるがんや突然変異は自然におこっているものと同じであるから、0.01%の生命の危険率は、個人にとっては心配しなくてもよいが、1億人の集団では1万人の障害者を出すことを心配しなければならない程度だと結論している。
放射線リスクにしきい値がある科学的根拠として、
1 自然要因によるDNA損傷とその修復
2 放射能致死の主因"DNAに本鎖切断"は自然にも多発
3 胎内被ばくのしきい値はアポトーシスのおかげ
4 放射能の遺伝的影響は心配無用
5 放射線がんにはしきい線量率が存在する
を各項目でデータを使って詳説している。
広島の原爆でも被ばく者は、その後の健康を意識したせいか、実は一般の人よりも長生きした話とか、チェルノブイリの「汚染地に居残った元気な老人と疎開した人のおびえた顔」の話など、放射線はどんなに微量でも毒だ説を完全否定している。
先日このブログで、微量の放射線が人体に悪い影響を及ぼすという「怖い本」を紹介したところ、ネット反響が大きかった。一部にはネガティブな反響もあって農作物等の風評被害につながるから、こういう非科学な本を取り上げるなという主旨のものがあった。
・内部被曝の脅威
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/04/post-1431.html
これがその「怖い本」。
実は私のブログは、その1週間前に微量の放射線は心配無用であるという本も紹介している。
・本当は怖いだけじゃない放射線の話
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/04/post-1427.html
他にブログでは紹介していないが放射線関係の本を私は20冊以上読んだ。放射線医学の専門知識はないので、いくら読んでも、どの本が科学的に正しいのかは正確にはわからない。しかし、書籍の交通整理なら私は専門家である。
権威ある肩書きを持つ科学者は理論と実験結果から微量なら安全であるといい、ジャーナリストや臨床医はヒロシマやチェルノブイリ等の実例から、微量でも危険であるという主張をしていることが多い。
この本でも寺田寅彦の「ものを怖がらな過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなかむつかしい。」が引用されていたが、適度に怖がること、社会が緊張感を保つことが何より大切である。
今みたいに、マスコミや政府見解が安全だ、大丈夫だという中で、世の中に安全ムードが強くなってきた(と私は認識しているのですが)中では、何らかの根拠をベースに主張している反論本の存在も重要と考える。だから、安全だ本と危険だ本を50:50くらいの割合で紹介したいと思う。読者の皆さまは自分で読んで判断してください。
さあ、今年もやってきました。ビジネス書大賞2011.
「いま、私たちは何が求められているのか。
これから私たちはどう生きていくのか。
80名の目利きが選んだベストビジネス書、ついに発表!
時代を知り、次第を創る、いま読むべきベストビジネス書150冊。
2010年よりスタートしたビジネス書大賞。去年に引続き、今年も第2回目となる「ビジネス書大賞2011」を開催し、
全国の書店、出版社、マスコミ、ブロガーを中心とした80名の選考委員が審査に参加しました。」
で、私も選考委員の一人です。
「役にたった、気づきがあった、おすすめしたい」ビジネス書3冊をお選びください。
・ 対象作品は2009年11月から2010年12月刊行の日本人著者、および海外翻訳の書籍。
私は下記の3冊をノミネートしました。書名とおすすめ理由は下記の通りです。結果の順位は...ぜひこの本を買ってご確認ください。
【1】つながり 社会的ネットワークの驚くべき力
著者名 ニコラス・A・クリスタキス (著), ジェイムズ・H・ファウラー (著), 鬼澤 忍 (翻訳) 出版社 講談社
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/09/post-1294.html
おすすめの理由・感想
人脈の科学の本。六次の隔たり(友人を6人たどると世界がつながる)と三次の影響(友人の友人の友人にまで影響力は及ぶ)が、社会的ネットワークの普遍的な動作原理であることを再認識させられる本。ソーシャルネットワーク研究の一般書では、現時点での決定版といってよさそうな濃い内容。社会的ネットワークは、情報だけでなく笑いの感情、幸福感、孤独感、性行動、離婚、健康、自殺、肥満、喫煙、禁煙、投票、病原菌など驚くほど多くのものを伝播させる系であることが明かされる。
【2】帝国ホテルの不思議
著者名 村松 友視 (著) 出版社 日本経済新聞出版社
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/12/post-1356.html
おすすめの理由・感想
直木賞作家の村松 友視が、帝国ホテルのマネージャーやスタッフら30人にインタビューして、「さすが帝国ホテル」と言われる洗練サービスの秘密を探った本。総支配人や施設部長、総料理長、ソムリエ、ベルマン、宴会チーフ、婚礼クラーク、靴磨き、ランドリー、フロント、ピアニスト、ブッチャー、氷彫刻担当、神主など組織のトップから末端まで全員が、高い意識で最高峰のホテルサービスを実現しようとしている様子がよくわかる。
【3】ネット検索革命 著者名 アレクサンダー・ハラヴェ (著), 田畑暁生 (翻訳) 出版社 青土社
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/05/post-1221.html
おすすめの理由・感想
検索すればわかる、とか、あの人に聞けばわかる、いうことは多い。従来はそれは知識とはみなされなかったが、ネットを介して知識のデータベースや人脈にいつでもアクセス可能になった今、即座にそうした知識を引き出すことができる能力は、ほとんど知と同義である。将来、脳にコンピュータや通信装置がインプラントされたら、オーガニックな脳で考えた事なのか、ネット脳で考えた事なのかは、外部から見分けがつかなくなるだろう。この本のいう「検索知識人」はネットを外部脳とする時代のさきがけなのだと思う。
それから、私は
これまでに読まれたすべてのビジネス書のなかから「わたしのベスビジネス書」1冊をお選びください。
というコーナーにも究極のビジネス書の書評記事を寄稿しています。
パパ料理と起業の物語。
デジタルハリウッドの第一番目の社員で元執行役員の滝村さんは今は日本で唯一の「パパ料理研究家」であり、株式会社ビストロパパの代表取締役だ。デジハリ在籍に趣味ではじめた料理ブログが人気になり、"ぱぱずBeアンビシャス"で2009年に独立した。
パパ料理とは、
「男の料理は、自分のつくりたいものを、自分の都合でつくる男の趣味料理」
「パパの料理は、自分の腹がへっていなくても家族のためにつくる、お父さんの家庭料理」
家族のためにつくる料理のこと。
ベンチャーでハードワークをしていた滝村さんは、娘の誕生で家で料理をするようになり、趣味の料理からパパ料理へと心境が変化して、やがてそれを天職と考えるようになった。「やりたい仕事がなければ、自分で「職業」をつくればいい」と、まずは「パパ料理研究家」を名乗った。名乗るのはタダだし誰でもできる。そしてブログによるパーソナルブランディングを上手に使って、「好き」を仕事にする方法が、体験ベースで書かれている。
一澤信三郎帆布という有名ブランドに、無名のビストロパパが提携を持ちかける、体当たり作戦が功を奏して、ブランドは軌道に乗り始める。カネもモノもなくても情熱がヒトを動かす。等身大の起業家ならではのストーリー。フリーランスとして自分ブランドで独立を考えている人にとても参考になる内容。
この本に紹介されている総務省「社会生活基本調査」によると日本男性の家事・育児・介護時間は1日あたり平均1時間。韓国は35分。アメリカ、ベルギー、イギリスなどの欧米は2時間以上あるそうだ。次の滝村さんの目標は日本に「パパごはんの日」をつくること。文字通りその日は家庭でパパがごはんをつくるという日だ。父の日、母の日という「受けとる」日はよくあるが、「与える」日って斬新だなあ。
広島の被ばく患者の救援にあたってきた医師と、ドキュメンタリー映画『ヒバクシャ』を制作したノンフィクション作家が共著で内部被ばくの脅威の実相に迫る。六十年間の臨床例と国内外の放射線医学の研究データを用いて、微量な放射線は自然界にも存在するから被ばくしても大丈夫という神話を覆そうとする内容。
【これ以下は安全といえるしきい値はない】
【微量の方が危ない】
【自然放射線と人工放射線は違う】
などの論点がある。
基準値以下なら安全とする政府見解と違うので、本当だとすれば恐ろしい内容だ。
著者は放射線にこれ以下なら無害というしきい値はない、という。自然と人工の放射線は身体への影響が異なる。0.01から0.1グレイの最小線量でさえ、生物組織に有害であることを示す研究結果がいくつも存在する。長時間、低線量放射線を照射する方が、高放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破壊するという「ペトカワ効果」を根拠に、微量の放射線の内部被曝がいかに危険であるかを解説する。
放射線分子は体液中の酸素分子と衝突し、電気を帯びた毒性の高い活性酸素(フリーラジカル)を作り出す。フリーラジカルは数が多いとぶつかり合って、もとの酸素分子にもどって非活性化するが、数が少ないほど暴れて細胞を損傷する。微量のときのほうが危険だというのだ。
逆に微量は身体に良いというホルミシス効果という仮説もある。弱い放射線を微量受けることで細胞が刺激を受け細胞が活性化し、新陳代謝が向上し、免疫と自然治癒力が高まるというもの。これが本当だとよいのだが、
また著者、人工放射線は体内の特定器官に集中、濃縮される性質を持つから、影響が違うと主張している。たとえばヨウ素131は甲状腺に蓄積され、ストロンチウム90は骨に沈着する。セシウム137は骨、肝臓、腎臓、肺、筋肉に沈着する。諸外国の方が日常的な放射線は量が多いのだから、日本で少しくらい増えても大丈夫という解釈はできなくなるのかもしれない。
長期的被ばくでは、年間1ミリシーベルトの被ばくにより、1万人から10万人に1人の割合で癌にかかる。三十代の男性では2000人に1人、喫煙者なら400人に1人。この前提で原発や原子力兵器の産業の影響を算定すると、国際放射線防護委員会(ICRP)は、1945年以降で、被ばくによる癌の死亡者は世界で117万人と報告している。これに対して欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、内部被ばくの影響を加えて計算した結果、死亡者数を6160万人と発表している。
この本が根拠のひとつとして取り上げていたこちらの本も読んだ。
・低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録
アメリカでは1950年~1989年 全国で白人女性の乳がん死亡率が2倍になっている。
全米3053郡で乳がん死亡者数を調査
原子炉から
160キロ外 死亡者は減少か横ばい
160キロ内 死亡者が増加 明らかな相関
原発通常運転時の大気や海水への放射線放出が原因だとする論文。米国の原子炉から100マイル以内の郡では、安全な放射線のレベルのはずなのに、乳癌死亡者数が明らかに増加しているという疫学的調査である。このグールドという科学者の論文に対してはいろいろと異論も多そうなのだが、現在の日本の状況では気になる情報。日本の場合は日本全土が原発100マイルにだいたいおさまってしまうため、計測が難しいわけだが、日本でもがんは原子力発電の開始以降倍増している。
チェルノブイリ原発の事故では、小児白血病が、ギリシアで160%、ドイツで48%、イギリスで200%以上も増加しているそうだ。微量の放射線を外部、内部で、長期的に被曝した場合の人体影響には、まだ未知の部分があることは多くの科学者が認めている。福島原発からの放射線量は減ってきているが、子供がいる家は、まだまだ慎重に行動した方がよいと思う。
「「ワークショップ」とは、まだまだ聞き慣れない言葉かもしれない。もともとは「共同作業場」や「工房」を意味する英語だが、ここ数十年の間に、「先生や講師から一方的に話を聞くのではなく、参加者が主体的に論議に参加したり、言葉だけでなくからだやこころを使って体験したり、相互に刺激しあい学びあう、グループによる学びと創造の方法」として欧米から世界中に広がってきた。」
今のように未来の不確実性が高いときほど、分析的アプローチよりも創造的アプローチが活きてくるものだと思う。教育や企業活動の場で、ワークショップ=参加体験型グループ学習の人気が高まってきたのを感じる。私もこの本が出た2000年初めころから、ワールドカフェなどのイベントを主催するようになった。最近特に頻度が増えている。
コミュニケーションの中に解決を見出すワークショップを、著者は「人にとっての根源的な喜びを内在した魅力的な方法」と説明しているように、参加者の満足度が高く、アイデアも広く受容されやすいものが多く出てくる。こたえをつくりだすワークショップは、数学の問題は解決できなくても、社会的な解決法は話し合いで作りだすことができる。
アート系、まちづくり系、社会変革系、自然・環境系、開発教育系など、国内、海外のさまざまなワークショップが紹介されている。「絶望と再生のワークショップ」「つながりを取り戻す」などドラマチックで精神性の高いワークショップ、瞑想や野外体験を含めた体を動かすワークショップも多くあって、もうちょっとビジネス系のワークショップしかみていない私には新鮮だった。
ワークショップにおける議論による創造には「共有」、「拡げる」、「混沌」、「収束」という4プロセスがあることや「知恵も力も関係の中から生じる」に深く納得。ワークショップを活動に取り入れてみたい人、ファシリテーションに悩んでいる人におすすめ。
「「SOICHA/j」は実際のTwitter愛好家の意見を集約し、有用な機能を可能な限り取り入れた理想のiPhone用Twitterクライアントアプリケーションです。」という説明の通り、SOICHAはとにかく多機能なTwitterクライアント。
短縮URL、写真アップロードなどの一般的なTwitterクライアントの機能はすべて実装している上に、
音声認識入力機能
自動翻訳機能
位置情報の自動入力機能
現在再生中の音楽の楽曲名の自動入力機能
ハッシュタグの自動入力機能
Evernote、AtokPadの連携機能
などなど、こんな機能があったら便利かもしれないと思っていた機能を、たくさん実装している。
片思い(相互未フォロー)の表示/未読管理/ユーザーグルーピング/フォロー管理/マイプロフィール管理/ページカスタマイズ機能/Tweet時のタイムライン閲覧機能/ハッシュタグ固定化機能/マルチアカウント対応/Lists機能/マイプロフィール更新機能/フォロー管理機能/Tweetドラフト管理機能/Tweetのメール転送機能/ペアタイムライン機能/マルチReply機能/写真投稿機能/位置情報投稿機能/短縮URL機能/Twitter検索機能/NearByマップ機能/Webブラウジング機能
入力補助手段がいろいろと用意されているので、イベント中継など情報をアクティブに発信したい人に、特に便利。Twitterを活用したサービスを発想する上でもこのアプリは実験的で興味深い。
ちょうど原発が水素爆発した時期にひとりで怯えながら読んでいた傑作SF小説。バイオハザードが起きた研究所と、福島第一原発がだぶって見えてくるのは仕方がないが、ハイレベルの作品なので、そろそろ、おすすめ。
エリート科学者たちが研究開発したバイオテクノロジーが暴走し、世界が破滅。人類最後の一人になってしまった主人公ジミーが、遺伝子操作で生まれた奇妙な生物に囲まれながら、そこに至るまでの破綻の道のりを回顧する。『侍女の物語』のマーガレット・アトウッドの最新邦訳。
人類は、エリート科学者が住む<構内>と庶民が住む危険な<ヘーミン地>に分かれて暮らしている。少年時代を共に過ごしたジミーとクレイクは、一緒に見たポルノサイトで美しい少女オリクスをみつける。その姿は二人の記憶に強烈に焼きつく。やがて高校で理系の才能を開花させて<構内>の階層の頂点へとのぼりつめていくクレイク。反体制派の活動家だった母親を持ち、紙の本と古い言葉を愛する文系のジミーは<構内>とは距離を保って生きる。だが、運命の少女オリクスが再び二人をむすびつける。
遺伝子操作で生まれた生物が不気味だ。現代のロボット工学の分野で「不気味の谷」ということばがある。これは人間に似せたロボットは、本物の人間との差異が微細であればあるほど、不気味に感じられるという現象。八本足のタコみたいな宇宙人よりも、この本に登場するヒトもどきの方がずっと不気味に感じられる。日本語版の表紙にヒエロニムス・ボスの『快楽の園』を使ったのは絶妙のセンスだと思う。まさにこれは不気味の谷の小説だから。
カズオ・イシグロの『私を離さないで』や映画『ガタカ』のような世紀末的世界ファン必見。3部作の第1作であるとのこと。
災害研究の第一人者が書いた津波への備えと対策。被害を最小に抑える「減災」の視点から、津波という現象の分析と、発生した時に私たちがとるべき具体的施策が示されている。島国の日本人ならば全員が読んでおくべき内容。この余震は10年続くともいうから。
付箋をつけて気になった個所。
M6以下あるいは震源深さが100キロ超なら「津波の恐れはありません」
50センチの津波でも0.3トンの力が働いて、転倒して流される
津波によって砂浜を引きずられると摩擦で火傷をすることもある
2メートルで浮いた家具が天井に当たり家全体を浮上させ押し流す
第一波より第二波が2倍大きい可能性
1分から3分、震度6で揺れたら、津波が来ると素人判断してOK
東京が3メートルの津波に襲われると、32000人が犠牲になるという計算が示されている。地下鉄水没の危険性はこの本ではじめてきがつかされた。
「東京メトロおよび都営地下鉄の駅の中で、ゼロメートル地帯あるいは江戸時代に湿地帯や海中に位置していたことになる駅は約70を数える。これらのどの一駅から地上の津波はん濫水が地下空間に侵入しても、70の駅どころか、ほかの駅まで水没する危険がある。」
地震に対して地下は安全といわれるが、その後の津波に襲われると恐ろしいことになる。真っ暗な地下鉄に濁流が入ってくる。水門などの対策があるらしいが、水没の可能性もありえるそうだ。東京湾中等潮位上の高さを利用者に知らせる努力が必要である、と著者は提言している。
ところで、任意の地点の標高・海抜ならば、地図サービスのMapionで、調べたい場所を右クリックすると表示される。自宅や会社や利用駅について、自分で調べて一覧表を手帳に入れておくとよいと思う。私は既にそうしている。Mapionは、2点間距離の計測機能もあるので、海岸線からの距離、最寄りの原発からの距離なども調べられて便利である。
・Mapion
http://www.mapion.co.jp/
災害経験を地域で語り継ぐことの重要性も強調されている。
「一般に、津波の碑は、そのときやってきた津波の最高到達地点に置かれている場合が多い。徳島県や高知県に残っている津波碑の大半がそうである。したがって、それらは市中にあるより山際などの人目につかないところにひっそりと建っている場合が多い。先人が私たちに伝えようとしていることをもっと謙虚に活用する知恵が求められている。」
津波の碑には先人の知恵が書いてある。過去の津波被害の状況や、船に逃げるな、神社の前を通って山へ逃げろ、毎年この碑の字に墨を入れなおせ、などのアラートが記述されている。こういう情報は、GPS機能のついた携帯でも見られるようになるといい。
先人の知恵がいっぱいあるということは、津波とその被害は何度も繰り返すという宿命を意味している。三陸海岸などの津波多発地帯では昔から、
津波→高地に住民が移転→不便→10年で元の場所に戻る→津波
というパターンを繰り返しているそうである。今回も高所移転が計画されているが、それ以降の動きを見ていかないと、被害も繰り返してしまうことになる。
本文中に「津波の大きさを低減させるには、湾口の大水深部に津波防波堤を作るのが一番効果的である。岩手県の釜石市や大船渡市は際立って安全になっている。」という記述があった。残念ながら、二つの市は「一番効果的」だった防波堤も、むなしく壊滅的ダメージを負ってしまったことになる。1000年に一度の地震だから仕方がないのだろうか。
私はHDRにはかなり昔から注目していて、2007年くらいから、
・JapanHDR 写真集
http://www.flickr.com/photos/datasection/sets/72157600307826174/
など自分で撮影して公開していたのですが、一眼レフ+パソコンでやると面倒なHDR作成作業が、iPhoneだと簡単にできてしまって、感動です。
遠出で撮影旅行という気分にもなかなかならない今日この頃ですが、このアプリを使えば日常風景がちょっと違って見えて楽しめます。
同じ風景を露出を変えて明るい写真と暗い写真の2枚を撮影して合成することで、普通の写真では黒くつぶれたり、白く飛んでしまう部分もくっきりと映すことができます。撮影時には、カメラを動かさないように、数秒間じっとしている必要があります。
オートモードならば、露出を自動設定、マニュアルモードでは自分で指定して調節することができます。最後に合成後の明るさやコントラストなどのパラメーターを手動でいじって、HDR写真が完成です。
一眼レフでHDRをつくるとかなり手間と時間がかかっていたのですが、iPhoneだと一発。楽になりました。
「codeが書ける起業家の会」-TechWaveソーシャルアプリ部
http://www.facebook.com/event.php?eid=194525903918230
こんなイベントに出演することになりました。
お申し込みはFacebookで。
■ タイトル
「codeが書ける起業家の会」-TechWaveソーシャルアプリ部
http://www.facebook.com/event.php?eid=194525903918230
■概要
技術こそ創造性の源泉。テクノロジーとイノベーションを武器に起業するキーマンによるノウハウ提供と発想の場です。
■コンセプト
facebookのマーク・ザッカーバーグしかり、マーケットインやプロダクトアウトに偏ることなく、自分がイマジネーションするプロダクトを自分の手で開発するスタイルは、新たなるIT潮流の主役となることは間違いありません。
本会では、すでに実践している起業家やそれを支援する人、またはそうなりたい起業家予備軍を集い、知識を共有したり互いに士気を高める目的で企画されました。
ソーシャルグラフxスマートフォンをキーワードに展開するTechWaveソーシャルアプリ部の活動の一環として年6回開催する計画で、より多くの「codeが書ける起業家」を排出したいと考えています。
■ 日時
2011年4月27日(水曜日)15時半~18時
その後、希望者のみ場所を替えて親睦会を開催する予定です。
■会費
3000円
会場で頂戴いたします。お釣り銭はございませんのでご了承くださいませ。
■場所
株式会社ライブレボリューション
〒108-6318
東京都港区三田3-5-27 三田ツインビル西館 18F
http://www.live-revolution.co.jp/
http://www.live-revolution.co.jp/about/access/
■ スピーカー(講演順)
・データセクション株式会社 取締役会長 橋本大也氏
・株式会社ディーエイエヌ 代表取締役 小飼弾氏
・株式会社ワディット 代表取締役社長 和田裕介氏
・株式会社ホットリンク 代表取締役社長 内山幸樹氏
▲内容については順次アップデートしていきます
■協力
・株式会社ネットエイジ
日時や内容変更の際はご了承ください。
人数制限が入る可能性があります。その際は改めて申し込み手続をお願いいたします。
■参加申し込み
このイベントページの「いいね!(like!)」で確定します。
当日キャンセルなきよう、よろしくお願いいたします。
■主催
TechWaveソーシャルアプリ部・メタミックス増田真樹事務所
http://facebook.com/socialapp
「放射線を正しく怖がる」ためのガイドブック。
福島第一原発事故よりもだいぶ前に出版されている内容。テレビやネットの情報を読みこんでいる人には常識となってしまった知識もあるが、まとめとして意味あり。
著者は放射線を「塩」みたいなものだ、とたとえる。
「生命は海で生まれたから体内に海水と同じ濃度の塩分を持っている───という有名な話をご存じのはず。だから何を食べても塩分を摂取していることになるし、適度の塩分がないと生命を維持することもできない。 しかし、摂取量が多すぎると高血圧を引き起こしやすくなる。一日あたり十グラムを超えるあたりから、高血圧になる可能性が"確率的"に上がってくるとされる。 さらに摂取量がヒトケタ上がると、生命が危険にさらされる。一度に二百グラムを超えて摂るようなことがあると、ほぼ"確定的"に死に至るとされる。」
自然放射線は一年間に平均2.4ミリシーベルト、一週間に0.04~0.05ミリシーベルトあるが、1年間に20ミリシーベルト、つまり年間平均の10倍ほどならば、50年間にわたって浴び続けても、急性の影響はない。逆に微量の放射線が、がんや白血病を抑える可能性があるとする「ホルミシス効果」という説を紹介している。
ホルミスシス効果が本当だとすると首都圏の人間は今回の被曝の影響で健康になるかもしれず心配がなくなるが、低線量の長期被曝の人体への影響は研究者によって異なっている。微量でも十年後のがんの発病率を高めるという研究結果もあるので注意は必要である。この本は基本的に"本当は怖いだけじゃない"というスタンスで解説している。
最悪の事故として報道されるチェルノブイリについても、
「事故が発生した翌日に、チェルノブイリ周辺の空中では、一時間に平均して十ミリシーベルトの放射線量が測定されたことから、住民に避難命令が出されている。発電所を中心とした、三十キロ圏内から避難した住民が受けた放射線の量は、平均して三十三ミリシーベルトと評価されている。」
という実態とともに、事故から十四年後でも住民のガンは、事故時の小児ガン以外は増えなかったとし、遺伝的影響もなかったとする。
放射線は異常で怖いものではない
人間の身体は放射線を出している
自然放射線の強い地域ではガンの死亡率が低い
放射線で損傷した細胞は修復される
など、放射線についての過度の不安を解消してくれるガイドブック。
未解明の部分も多そうな低線量被曝は、注意するに越したことはないが、心配し過ぎるとストレスでガンになる可能性もある。
北九州は黒川藩、龍窯で知られる辛島家の頭領十兵衛が死んだ。
妻の百婆(70)は、葬式の準備に集まった一族郎党を前に静かに言った。
「みんな聞いてくれ。いろいろおれは考えたが、この度の張成徹の葬式はクニの弔いでやろうと思う」
辛島十兵衛には、張成徹、百婆には朴貞玉という本当の名前があった。この村の多くの人間が、豊臣秀吉の文禄・慶長の朝鮮出兵で強制連行された朝鮮人陶工であった。
朝鮮式の葬式は「哀号!哀号!」と女たちが大声で泣き、親を先に亡くした喪主の息子は乞食のような服を着て葬式に坐る。
当時の日本で朝鮮式を決行するということはご法度だった。生前は窯の功労で名字帯刀まで許された十兵衛の葬儀には、代官所から弔問が来る。日本人の目には異様に映る朝鮮式の葬儀決行が役所に発覚すればただ事では済まない。だが、百婆の朝鮮人としての考え方では、日本式の火葬は魂を永遠に失うことであり、絶対に避けなければならないことであった。
日本で生きていくことを決めて、着実に築いてきた信頼を失うことを恐れる村人たちの心の葛藤。百婆たち朝鮮式の決行派は、あの手この手を使って、日本人にみつからないように、表向きは日本式で、本当は朝鮮式という裏をかく作戦で、クニの弔いを実現しようと企むが...。
どんなことがあっても魂までは渡さない。ゴッドマザー百婆たちの心の抵抗は、現代社会のしらがみに生きる読者にとっても、強く生きる勇気を与えてくれる傑作小説。抵抗の文学。
私は旅行の予約に楽天トラベルをよく使ってきましたが、iPhoneアプリがよくできていて驚きました。機能的にはWeb版より便利です。
1 自分のスケジュールを見ながら探せる
iPhone内のカレンダーと連携することができる。私の場合はこれをGoogleカレンダーと同期させている。Googleカレンダーは夫婦で情報共有しているので、旅行計画が立てやすい。これが何より便利だ。
見慣れたGoogleの地図を見ながら探せる
普段ナビに使っているiPhoneの地図機能(Google)を使って宿探しができる。近隣のホテルも表示されて検討材料になる。そして宿泊当日にそこへ向かうときも、同じ地図を見るわけで迷いにくい、実に合理的だ。
3 候補を自然に比較できる
チェックした宿泊プランが比較タブへと自動的に登録されていくので、気になるホテルを見て回るだけで情報収集と整理が完了する。メモを取る必要がない。
震災の影響で旅行のキャンセルが続いているようですが観光産業は大打撃です。ゴールデンウィークや夏休みに、東日本の人間が西日本へ旅行すれば、安心だし、節電にもなるし、経済も回る、正解だろうと思います。
1995年の刊行の内容に「2011年福島原発事故、どこが盲点だったのか」を追加。
十五年も前に、米国製原発においてステーション・ブラックアウト(全交流電源喪失)が大事故につながる可能性が大きいということを指摘しており、"予言"があたっとして話題になっている本である。
「日本ではめったに停電は発生しない。その発生確率は、年間平均100分の1程度であろうか。さらに非常用ジーゼル発電機の信頼性も高いので、必要地の起動失敗確率は、一台当たり平均1000分の1程度と評価されている。原発にはそれが最低二台設置されている。そのためにすべての内部交流電源が喪失する確率は、年間平均1億分の1と評価されている。日本ではステーション・ブラックアウトは、炉心溶融に結び付く深刻な起因事象とは位置づけられていない(NUREG/CP0115[1991])。」
著者は指摘していたが、"深刻な起因事象とは位置づけられていない"ことが大事故につながってしまった。その後の余震でも簡単に電源を部分喪失してしまうのは、対策が十分でないことが明らかである。
このほか、スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故をはじめとする米国製、旧ソ連製原発の事故を技術的に分析して、圧力容器の中性子による劣化や、焼き鈍しによる継続利用による劣化、蒸気発生器の老化など、原子力発電所の危ない個所を指摘する。
軽水炉の設計寿命は40年とされるが、米国では2000年頃から寿命を迎える原発が続出している。日本はそれに10年遅れてスタートしたので、2010年というのはまさに設計寿命に近い時期になっていた。震災と津波がなかったとしても、見直しが必要な時期だったことは間違いないようだ。
そして、著者は、原子力施設の国際評価尺度の問題点も指摘していた。福島第一原発事故のレベル7認定によってこの問題がいままさに顕在化している。
「いまの表示では、一般には事故・故障の大きさの相互比較ができない。事故・故障のクラス分け(レベル分け)とその大きさの間には、I-5のように、それぞれ10倍の差があることを明示するべきである。チェルノブイリ原発四号機の事故は、史上最悪の事故ではあるが、原発で起こりうる最大の事故ではない。それよりもさらに一桁大きな事故も起こる。クラス分けにおいて、レベル7を上限とするのは適切な表現ではない。クラス7の上に、さらにクラス8、クラス9くらいまで考慮しておくべきではないか。」
全体的に技術論が多いので一般読者向けというよりも、もっと知りたい人向きの理系の内容だが、一般読者としても原子力発電の安全を考える上で見過ごせない記述がいくつかあった。
1950年代、水俣市の大企業チッソ(かつて旭化成、積水化学、積水ハウス、信越化学工業の母体であった会社)の工場が垂れ流した水銀により、汚染された魚介を食べた付近の住民は、地獄の苦しみを味わいながら死んでいった。患者たちの生々しい声を軸に、水俣病の悲惨と公害事件の不条理を世に訴えた石牟礼道子の代表作。初版は1968年。
おとなのいのち十万円
こどものいのち三万円
死者のいのちは三十万
水俣病の患者に対して、昭和34年時点でチッソが支払った見舞金の契約内容はたったこれだけであった。患者たちは身体が不自由になり、視覚や聴覚を失い、精神錯乱まで引き起こして、死んでいく。一方的な被害者であるにも関わらず、差別を受ける。賠償を求めた裁判も、工場排水と病気の因果関係の解明や、患者の認定が進まず、なかなか立ち行かない。その間にも死者が増えていく。
重症患者の多くが工場排水口近くの貧しい漁民であった。水俣市の住民の多くはチッソ関係の労働者であり、チッソの功労者は水俣市の功労者でもあった。地元の経済基盤を支える企業に対して、約300世帯に過ぎない漁業水産関係者の立場は限りなく弱かった。
この作品は患者たちの嘆き、怒り、恨み、諦めの声を収録したドキュメンタリ形式である。患者の臨場感あふれる魂のこもった語りが多いので、聞き取りの再現をしているのかと思っていたが、実は著者は、ほとんど聞きとりをしていなかったと解説で明かされていて驚いた。つまり創作なのだ。著者自身が近隣の住民であり、患者たちの気持ちや生活感覚を正確にくみ取ることができ、彼らの心の叫びを自分の内面で自在に再現できたということであるらしい。一種のシャーマンの語りなのである。
内容的には水俣の悲惨を描いているのに、詩的な情感がある。鎮魂歌に美しさがあるのと同じように、鎮魂文学にも美しさがある。その美しさに静かに浸っていると自然と悲しくなってくる。レクイエムとして傑作である。
ただ、どうしても今の状況で読むと、水銀が放射能に、チッソが東京電力にだぶってくる。水俣病の補償と救済は、半世紀が経過した現在でもまだ完全には終わっていない。原発の放射線被害はまだその全貌がわからないが、新たな苦海浄土を生み出しつつある。今度は鎮魂に半世紀かかるだけで終わらず、放射能を鎮めるのに何万年もかかる。企業や政府や住民は、高度成長期の公害問題での経験をどれだけ活かせるだろうか。
看護師の患者に対するケア、教師の生徒に対するケア、親の子供に対するケア。その人の成長や自己実現を助ける行為=「ケア」の本質とは何かを、少し立ち止まって考えたい人のための、一般読者向け哲学書。この本のケア論は対象を人間に限らない。作家の芸術に対するケア、自分が信じる哲学的観念に対するケアなど、哲学・医療・宗教・芸術の領域にまで広がっている。
ケアとは一方的なものではありえない。ケアを通して自分もまた生きるということ。
「≪専心のひとつの帰結として導き出される諸義務は、ケアを構成する本質的な因子である。私はそれが、自分に押しつけられたものとか、必要悪とは感じないのである。私が行うことになるであろうこと感じている行為と、私がしたい行為との間には、一つの収斂点がある。≫病気の子供のために、深夜医師を迎えにいく父親は、これを重荷とは感じとっていない。彼はただ、その子供をケアしているだけなのである。同様に、ある哲学的概念について考えているときの、種々の観点から何度も何度も考慮・思考する必要は、私に押しつけられた重荷ではない。私はただ、その観念をケアしているだけなのである。」
著者曰く真のケアは相手の成長をたすけること、そのことに専心することによって自分自身を実現する。「ケアは、私がこの世界で"場の中にいる"ことを可能にする」ということが重要だ。"場の中にいる(In-Place)という造語は本書の中心的な概念である。自己の生の意味を生きることは、私と補充関係にある対象をケアすることによって"場の中にいる"ということなのである。
"場の中にいる"人生には安定性がある。病気の子供のために、前述の深夜医師を迎えにいく父親であるとか、災害現場で自分の身を危険に晒しながらも患者に向き合う医師であるとか、信念のために働く社会起業家のもつ安定感。知識、忍耐、正直、信頼、謙遜、希望、勇気といったケアの必要事項を自然に満たしている。
「人は自分の場を発見することによって自分自身を発見する。その人のケアを必要とし、また、その人がケアする必要があるような補充関係にある対象を発見することによって、その人は自分の場というものを発見する。ケアすること、ケアされることを通じて、人は自分が存在全体(自然)の一部であると感じるのである。」
相手に対してどうするのがベストかを考えているだけでは、真のケアには不十分で、自分の成長や環境との調和までも含めて、考えていくべきものなのだというきづきを与えてくれる名著だった。
・人は皆「自分だけは死なない」と思っている -防災オンチの日本人
防災コンサルタントとして40年以上活動し、数々の災害現場を歩いた著者が、災害時生き残る正しい判断・行動とは何かを語る。いま必要な知識を得られるよい本である。「自分だけは死なない」と思っていると死んでしまうのだから。
冒頭で明かされる生き残りの方法はシンプルである。とっとと逃げろということだ。現実の災害や事故では、異変に気づいても、警報を聞いても、多くの人間が様子を見るだけで逃げなかったが故に死んでいる。恐ろしいのは人間心理の集団同調性バイアスであり「皆がいるから大丈夫」という客観的合理性に欠ける判断だ。自分の五感が危険を感じたら、周りが騒いでいなくても、ひとりで(できれば呼びかけて)とっとと逃げるのが正解なのだ。
「火事だ」とか「津波がくる」とか「原発が爆発した」と知らせたら、パニックが起きるのではないかという懸念がリーダーによる情報公開を遅らせて、結果として多くの犠牲者を出してしまった事例が多い。だが、現実のパニックは稀であり、パニックが起きるとしたら、情報が与えられたからではなくて、情報不足により人々が冷静な判断力を失った時である、という。
「一般に災害が発生すると人間はパニックに陥ると信じられているが、それは間違いである。今は昔と違って情報過多の時代なので、ひとつの誤報やデマでその場の全員がパニックに陥るケースは少ない。最も危険なのはパニック神話を恐れるあまり、持っている危機情報を公開しないことである。正しい情報が入ってこないと分かったときに、本当のパニックは起こる。」
災害については情報の経路によって評価が異なるという話も興味深い。私は最近、地震や停電が多いので、地域の防災無線をよく聴くようになったが自分の状況に直結した緊急性が高い情報のように感じて、聴き耳を立てて聴く。これは普遍的な心理であるらしい。
「ナローキャストである地域の防災無線で津波警報を受け取った人は心の非常スイッチをすぐオンにでき、テレビ・ラジオなどのブロードキャストで受け取った人は、心の非常スイッチがオンにならなかった」
ではうまく非常スイッチがオンになったらどうすればいいか。たとえば火災ならば、
1 知らせる
2 消す
3 助ける
4 逃げる(逃がす)
の順でで行いなさいとアドバイスしている。消すのが最初ではなくて、周りに火事だと伝え、消防へ通報することが重要なのだ。この何かトラブルが発生したらまず「知らせる」が、火災に限らず防災危機管理の優先順位だという。
地震が起きたら机の下に隠れてはいけない、というのも目からうろこであった。多くの自治体や企業の震災対応マニュアルが間違っていることになる。家がつぶれないような地震はほとんど被害もないのだから机の下にもぐる必要はなく、逆に机の下にもぐると危険予知や危機回避の対応が遅れてしまうし、家がつぶれれば机もつぶれるという実験結果もあるから、である。
そして現代の災害では携帯や電話のしくみには詳しい方がいいという。「情報孤立が発生した場合、通信システムや緊急連絡方法の知識の有無が不安感や焦燥感の強弱に比例する」からだ。必要な相手と連絡が取れず、情報もとれなくなることが、冷静な判断力を失う原因となる。だから、地震の直後は輻輳防止のための通信規制がかかること、電話回線は一般加入電話より公衆電話回線が優先されること、電話がつながらなくてもインターネットはつながることがあることなどを知っておくことが重要なのだ。
実に多くの危機対応の方法が語られていて、とても今の状況にマッチした本である。
「あなたと家族を原子力災害から救う50の方法」
1999年刊行の書籍をベースに福島第一原発事故の情報を踏まえて加筆修正された内容。
インターネットで、原発災害関係の情報を収集していると、いろいろな情報が見つかりすぎて、逆に何が基本だったかわからなくなる。コンパクトに緊急時の対応がまとめられているガイドブックで知識を整理できる。事故発生を知ったら?、退避のしかた、避難場所での生活、被曝から身を守る、事故に備えて、など。50項目が1事項について見開きで簡潔にまとめられている。
たとえば自衛で大切なのは被曝を避けるということだが、全身への予測線量が10ミリシーベルト以上なら、建物の中に退避する。50ミリシーベルト以上なら遠隔地に避難する。このとき、
場所の違いによる被曝の差(ガンマ線の場合) 低減係数
屋外 1.0
自動車内 1.0
木造家屋 0.9
石造り建物 0.6
木造家屋の地下室 0.6
石造り建物の地下室 0.4
大きなコンクリート建物 0.2以下
(扉および窓から離れた場合)
自動車や木造家屋は退避しても被曝をよける効果がほとんどない。コンクリートの建物の奥深くや地下に逃げられればベスト。
内部被曝で気をつけるべきは、
1 牛乳
2 穀物や野菜、特に葉っぱもの
影響が出やすいのは牛肉より牛乳、葉っぱものは直接放射性物質を浴びるので危険。
被曝の人体への影響も簡潔にまとめられている。低線量被曝の影響は多くが晩発性なのが恐ろしい。影響が明らかになるのが白血病で被曝から6~7年後、ガンで被曝から数十年後と言われる。
「たとえば1万人の人が1シーベルトの被曝をしたとします。このとき、やがて発生するガン死者の数は、アメリカの科学アカデミーの場合は500人、日本の放射線影響研究所は1700人としていました。あるいはアメリカの科学者ゴフマンは、4000人としています。 研究機関によってこれだけバラつきがあるのは、まだはっきりしていない部分もあるからです。たしかに、被曝とガンの間には数十年の時間の隔たりがあるのですから、関係を特定するのは容易ではないでしょう。しかし、けっして無関係ではないということは共通の認識です。」
原子力施設の周辺にいない限り一般人が1シーベルトを浴びることは考えにくいが、どこまで低線量なら大丈夫なのかは明らかになっていない。浴びても必ずガンになるというものではなく、一定の人数の内の何人かという確率的な影響。ただし10歳の少年の方が50歳よりおよそ150倍もガンで死ぬ確率が高くなる。避難時の行動は、子ども中心に考えるべき、という。
東日本の人間は、今回の事故で放射線に対する知識はかなりインストールされているように思うが、日本は原発だらけの国なので、他の地域の人は、これを機会にこの本などを開いて備えてみては。
現在の日本が直面しているエネルギー問題は、欲望と消費の問題でもある。無限の欲望に駆動される情報化/消費化社会は、市場の無限性と資源の有限性というジレンマに陥って身動きが取れなくなっている。著者はこの情報化・消費化の流れを破綻させるのではなく、発展的に転回させる可能性を、現代社会学の理論を引用しながら考察していく。。
フォードは車の基本性能を変えずとも、定期的にモデルチェンジし、デザインを変えることで、消費を創出し続けることを発見した。デザインと広告を発達させた現代社会は、情報が欲望を無限に生み出す(欲望のデカルト空間)仕組みによって自己完結する純粋な資本主義を実現してしまった。無限の欲望は自然との臨界面において、環境、公害、資源、エネルギーの問題を発生させ、南北問題や第三世界という他社会収奪の問題を生み出した。
しかし、そもそも問題となる人間の消費には次の2種類があるという。
1 充溢し燃焼しきる消尽
2 商品の購買による消費
市場関係に依存せずとも充足させうるもうひとつの消費の形態。この本では、これをバタイユの思想を通して紹介している。
「思想として/理論として肝要のことは、バタイユがこれらの「歴史的資料」をとおして、また三部作の至るところの、宗教と性愛と芸術の豊富な形態の考察をとおして、一貫して追求している、「根本的な要素───有用性の彼方の<消費>」というコンセプトを、精錬してつかみ出して来るということである。<生産に対する消費の本源性>というここでの核心の命題の、正当性の根拠となしうるコンセプトとしての<消費>の概念を、純化して析出しておくならば、それは、どんな効用にも先立つような、<生の充溢と歓喜の直接的な享受>の位相として把握することができる。」
楽しさ、華やかさ、魅力性を求める現代人の消費。効用を前提としない消費は、必ずしも市場や資源に依存するものではない。資源収奪的でも他社会収奪的でもなく、消費社会が資源消費を減少させながら持続する幸福の無限空間を著者は模索する。
「バタイユがその三部作の中で、<消費>のいっそう積極的な表現としてのちに採用することになる、<至高なもの>の諸形式、───<聖なもの>やエロティシズムや芸術の諸形態をみると、それは生産主義的な諸産物よりもいっそう力強く直接的な歓びを人に与えるものだけれども、どんな強烈な、あるいは深遠な感動のためにもそれが、必然に大量の資源の採取や自然の解体や他社会の収奪を必要とすることはない。たとえば絵画や詩の美しさは、それが使用するキャンバスの巨大さやパルプ材の量とは基本的に無関係である。あるいはいっそう人々の日常の生の内にあるもの、歌や笑いや性や遊びのさまざまな形、他者や自然との直接の交歓や享受の諸々のエクスタシーは、<消費>の原義それ自体であるが、つまり、<他の何ものの集団でもなく、それ自体として生の歓びでもあるもの>だけれども、それはどのような大量の自然収奪も、他社会からの収奪も必要としない。」
市場経済を盛り返すことはもちろん必要だろうけれども、いくら頑張っても無限の欲望を満たせず、幸福度が高まらないのであれば、私たちは同時にバタイユがいう「歌や笑いや性や遊びのさまざまな形」を、カネもモノも消費しない形で存分に楽しむ社会をつくる方向も追求すべきなのか。
未来のためにがむしゃらに仕事を頑張るよりも、今日の生活をどう楽しむかを考えるべき社会の成熟期に日本はあるのかもしれないな、と考えさせられる一冊だった。停電を楽しめるくらいが、本当に豊かな生活なのかもしれない。
AmazonがiPad用のアプリケーションを提供開始。
大画面タッチパネルに最適化したインタフェースになっている。私はAmazonで年間100回以上注文するヘビーユーザーであり、iPadでAmazonを見ることが多いので、大変期待してダウンロード。
結論、大変使いやすい。
標準的なWebブラウザーでは、ランキングや検索結果、関連商品などの一覧ページと個別詳細のページをいったりきたりするときに、ページ切り替えの画面遷移が面倒だった。このアプリではページ切り替えはなくて、タッチパネルのタテとヨコにスクロールさせることで、大量の本を効率よくザッピングできる。商品発見のスピードが上がる。
標準的なWebブラウザーと違って、関連商品ページを上下スクロールで次々に見ていくことができるのもうれしい。
メニュー画面では探している商品に近いカテゴリの商品が近くに表示される。リアル書店で関連する商品が横に並んでいるのに近い。偶然の出会い度があがっている。リストなど一部未実装の機能もあるが、これからはこの専用アプリを主に使うことにした。
ところでAmazonのショッピングで義援金を送ることができるってご存知でしたか?
・東日本大震災 義援金
価格: ¥ 500 - ¥ 100,000
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004SFW7UY/
本やCDを買うのと同じように、500円から10万円までの義援金(壁紙ダウンロード権という体裁をとっています)をカートに入れて購入することで、日本赤十字社または米国赤十字社経由で被災者に義援金を送ることができます。
もちろん協力アーティストの描いた壁紙をダウンロードできます。音楽MP3ダウンロード版の企画もあります。
「60年代はロックの時代、70年代はデザインの時代、80年代はアートの時代、そして90年代は、宗教の時代。 その次は、この世の終わり、だね。でも、終わりは始まりだからね。いろいろと終わりが近づいてきて、次が始まるなという感じがびんびんする。」
画家 横尾忠則によるエッセイ集。60年代回想、偶然と必然、精神世界論、女性減ると芸術、直観力の探究、夢と感性、ビートルズ論、寺山修二、三島由紀夫、唐十郎らとの出会い、映画論、現代美術の落とし穴など、芸術と人生を中心に幅広い話題が取り上げられている。
UFOを見て、幽体離脱し、異次元の何かとチャネリングができる人で、スピリチュアル系の話題も多くでてくる。60年代、70年代の米国ドラッグ文化の延長にあるクリエイティビティ。
「ドラッグによって、人間が宇宙の一部であり次元を超えたところに本来の自分、超自我が存在するということが認識できたということは大きかったと思う。またそれがメディアの発達にも大きく関与したと思うなあ。ドラッグ体験がなければ、視聴覚メディアはこんなに発達しなかったと思うし、コンピューター技術には目を見張るばかりだ。」
この本の閃きのコツ、普通は、幽体離脱はできないし、UFOも降りてこないし、ドラッグをやるわけにもいかない。実践できるとすると、夢の記録くらいかなと思った。
「夢を記録することはじつは非常に重要なことだ。夢を語ったり記述したりすることは、無意識と意識を統合させることになるからね。そうすると何が起こるかというと、共時性というのが起こるわけ。シンクロニシティが、つまり偶然が起こるわけ。なぜそういうことが起こるかというと、常に顕在意識と無意識というのは裏腹というか、水面下で繋がっているわけだからね。」
夢で見たことが現実に起こる予知夢、正夢という言葉があるが、夢を記録していくと、偶然が発生するという考え方が、すでにユニーク。
・ヒトはなぜ、夢を見るのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001062.html
震災の影響による東日本の計画停電は、4月中にもいったん終了の見込みですが、冷房で電力使用量が急増する夏場に向けて、節電を意識しないと、また困ったことになります。それに停電がなくても電力消費を抑えるのは良いこと。
3月11日以降、数日から数週間でたくさんの電力消費をチェックするアプリが登場しています。無償で開発する個人や会社はえらい!。エコ×クリエイティブの動きは計画停電が終わっても持続していってほしいなあと思いながら、iPhoneアプリを2つ紹介。
この「電力状況」は東京電力の公開データを使って、現在の使用量を表示します。こういうアプリは他に幾つもあるのですが、このインタフェースデザインが未来的で好みです。本日のピーク時供給能力と最新の消費電力、そして昨日の使用量が重ねあわされた棒グラフが表示されます。
電力使用量が多くなってきたら、データを引用しながら、ツイッターやメールやTumblrにつぶやくことができます。これによって世の中に電力消費を抑えるように注意喚起ができるわけです。
自分の部屋の電気を消すたびに、世の中にもつぶやく、とよいですね。
もうひとつのアプリ、東京節電は、セカイカメラの開発会社 頓知ドットが開発しています。
こちらは常にチェックしていなくても、電力状況がひっ迫すると、iPhoneのトップ画面に
「電力不足が見込まれます。節電にご協力下さい。」
というメッセージを表示してくれるアラートアプリケーション。幸いにもまだアラート画面を見ていませんが。GPS位置情報を使って、今いる場所の計画停電の状況を確認したり、節電についてのツイッターのつぶやきを見ることができます。
先月は休止となった定例の読書イベント『ザ・本とインターネット』ですが、4月は開催の予定です。
今月は特別にテーマを「この危機をのりこえるための読書 Read For Japan」とし、震災、原発、放射線、停電、エネルギー、再生、復興、希望、未来、文学の力などのキーワードで、今皆さんが気になっている、考えたいことが書かれている本を御紹介する予定です。
http://www.dcm-spl.com/cool_events/2011/02/-passion-for-the-future-offline.html
昨年の秋から有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジで、毎月一回トークイベントをやっています。このラウンジは多数の未来のコミュニケーションツールに触りまくり、試しまくり、で一見の価値ありの場所です。スマートフォンの未来を体験しがてら、私のセッションものぞいてください。よろしくお願いします。
■日時
4月21日(木) 19:00-20:00
■場所
有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジ内イベント/セミナースペース
http://www.dcm-spl.com/cool_events/2011/02/-passion-for-the-future-offline.html
Webから参加の予約することができます。実は当日ふらっと参加も可能ですが、予約していただけると大変うれしいです。モチベーションになります。4月21日の週を選択してください。
■イベント概要
『ザ・本とインターネット』 ソーシャル読書セミナー 第1回
(Passion For The Future オフライン)
本とインターネットとどうつきあうか。それで人生が変わります。
IT起業家で書評ブロガーの橋本大也氏が、"今月の面白い本ベスト10"や、電子書籍やWebの最新事情を語ります。年間500冊超の読書生活で発掘してきた名著・奇書の書評のライブ・トーク。ひとりで本屋に行くより、気になる本がきっと見つかるセッションです。さらに未来志向で、パソコンやケータイ、タッチ端末など先端テクノロジーがもたらす読書スタイルや出版文化の変容も考えてみようと思います。
構成:
いつもは「今月の本」を紹介していますが、今回は特別にテーマを「この危機をのりこえるための読書 Read For Japan」とし、震災、原発、放射線、停電、エネルギー、再生、復興、希望、未来、文学の力などのキーワードで、今皆さんが気になっている、考えたいことが書かれている本を御紹介する予定です。
講師紹介
橋本 大也 データセクション株式会社 取締役会長
2000年、大学在学中にインターネットの可能性に目覚め、株式会社データセクションを設立。現在、ITコンサルタント・起業家として数社のITベンチャー役員を兼任すると共に、大学等で教鞭をふるっている。主な著書は「情報力」「情報考学―WEB時代の羅針盤213冊」「新・データベースメディア戦略」「アクセスを増やすホームページ革命術」「ブックビジネス2.0」ほか多数。
株式会社早稲田情報技術研究所 社外取締役
株式会社日本技芸 社外取締役
株式会社メタキャスト取締役
デジタルハリウッド大学 教授
多摩大学大学院経営情報学研究科 客員教授
・自然エネルギーの可能性と限界 風力・太陽光発電の実力と現実解
これからのエネルギー政策を考える上でまとまった論考で参考になった本。
次世代の自然エネルギーとしてイメージ先行の風力・太陽光よりも、日本の地理にあった水力・地熱発電が有望というオピニオン。現状では風力に太陽光やその他の再生可能エネルギーを足しても、国内エネルギー供給全体の0.2%に過ぎない。いくら推進政策をやったところで、風力も太陽光も大きな比重を占めるには至らないのではないかというデータがならぶ。
たとえば風力の発電施設の規模に対して、火力は2835倍、水力333倍、原子力2300倍もある。風力の平均設備利用率は20%程度に過ぎないし、大規模な風車の立地は限られてしまう。太陽電池は高コストの上に年間の日照時間が少ない日本は向いているとはいえないのだ。
一方で、山がちで雨や雪がたくさん降る日本は、水力発電には絶好の条件がそろっている。火山地帯であるから地熱発電も向いている。推進していくべきは推力と地熱の方ではないかと著者は他のエネルギーとの比較の上で結論する。
2009年の電力調査統計によると、
総出力:約2億3700万キロワット
火力 :約1億4300万キロワット
水力 : 4500万キロワット
原子力: 4900万キロワット
でそうだ。
再生可能エネルギーの活用、現在あるエネルギーシステムの改良(効率向上)、徹底した省エネ化というのも説得力がある。一定の出力を続ける原子力に、火力と水力が電力需要が少ない時間に運転調整を頻繁に行うことで需給バランスを整えている。火力の設備利用率は50%以下が多いそうだが、震災後は原子力発電分が減って火力の割合が高まるのは間違いなさそうだ。火力の発電効率を数パーセントでも高めるイノベーションは、影響が大きい。そのほか、補助金より炭素税・環境税によるエネルギー政策の転換をという意見もあった。
自然エネルギーの可能性はよくわかるが、現状1%に満たない自然エネルギーを10年や20年で、主力の代替にするのは現実的には難しいのではないか、とも思える。それより既存の発電効率の1%の改善に、数兆円を投じてみる方が賢いのではないだろうか。日本のエンジニアはドラスティックなイノベーションよりも、小さな改善が得意なような気もするし。
復興再生、省エネ、エコ。アイデアで問題を解決する必要が高まっています。
これは私が長い間使ってきた発想支援ツール。一人で考える時に役立つ。
起動すると、発想のヒントが表示される。振ると違うのが出てくる。ただそれだけだが、煮詰まった時にブレークスルーを開いてくれることが何度もあった。
このアプリにはロシアの発明的問題解決理論TRIZの研究成果がベースにある。TRIZでは
200万件の特許を分析し、そこに現れる発明の法則を抽出した。IdeaPodは「TRIZ の理論の一部である「技術的ブレークスルーの40パターン」を元に、シンプルな文章と絵を配した40枚のカードセット」。
とりあえず、表示された言葉で3分、5分はじっくり考えてみるのがコツ。発想が出そうにないからといって、カードをすぐに切り替えてしまうと、いくらやってもダメということが多い。出てきたカードに運命を感じるとうまくいくことがある。
英語モードもある。どういうわけか英語モードの方が発想がスムーズに出てくることもある。日本語のイメージ喚起力が強すぎるからかもしれない。要らない妄想が広がってしまうことがあるなあ、と。
週刊誌みたいな扇情的タイトルだが、現在の福島第一の話ではなくて、出版は2006年で浜岡原発の話。まさかの緊急重版。
今後30年間の東海地震(M8クラス)の発生確率は87%(2006年算定)。静岡県御前崎市に建つ浜岡原発(活断層の真上)が、地震の影響でメルトダウンする危険性は非常に高いとし、その場合、200キロの距離にある首都圏が高濃度の放射能によって致命的に汚染されるだろうと、この本は警告する。浜岡原発の建設設計に関わった人物による耐震数値捏造や構造欠陥を指摘する内部告発も収録されている。
福島第一原発では、原子炉自体はまだ爆発しておらず、低レベルの放射能の拡散にとどまっているが、もしも緊急停止が働かずにメルトダウンを起こして爆発した場合には、極めて深刻な事態が予想されるようだ。京大・原子炉研究所の助手によるシミュレーションでその規模が示されている。
浜岡最大の4号炉が爆発して、放射能が風下の首都圏を襲った場合で、がんによる死亡者数は191万人に及び、もしも5機の原子炉がドミノ倒し的に次々と爆発した場合には、830万人が死亡すると予測している。チェルノブイリでは半径320キロに避難勧告が出ており、600キロ離れた距離でも人が住まないほうがいいレベルに汚染された土地がある。浜岡にはチェルノブイリの1000倍の放射能があるから、万が一には「首都圏消滅」ということになる。
事故が発生した場合の避難方法についても詳しく書かれている。首都圏に放射能が届くまでには6時間かかる。首都圏の場合は荒川の西側にいる人は逃げ出せる可能性が低いから屋内退避で1週間閉じこもるしかないとアドバイスしている。
文科省と経産省が作成した原発の耐震性の資料を見ると、ダントツで浜岡原発が地震に弱いことがわかる。浜岡もまた津波対策が不十分という指摘もある。この本の首都圏消滅という被害規模のシミュレーションはどの程度正しいのかは不明だが、地震と津波によって現実に福島第一が放射能漏れを起こした。それよりも危険だと多くの専門家が指摘する浜岡原発は、できるかぎり早い時期に運転を止めるべきなのではないだろうか。
福島第一以前では、反原発のプロパガンダ本として、見向きもしなかったであろう本だが、危機が現実になった今読むと、説得力があって、恐ろしい。
毎朝天気予報と一緒に「今日の放射能」をチェックする日常が来るとは...。
低レベル放射線の長期間被曝が与える人体への影響については、医学的に不明な部分が多いそうですが、原発の冷却停止まで数ヶ月間かかるようですから、その期間も東日本の住民は浴び続けることになりそうです。大丈夫のはずですが、念のため被曝を最小限にするように、気をつけたいものです。
このアプリは基本的には、
文部科学省/都道府県別環境放射能水準調査結果
・全国の放射能濃度一覧
http://atmc.jp/
をiPhoneで見やすくしているだけのアプリですが、このページを毎日何度もチェックしたい人にはおすすめです。
このページからは、
全国の放射能、全国の水道の放射能、全国の雨の放射能
水道情報: 東京 | 埼玉 | 神奈川 | 千葉 | 茨城
福島原子炉: 水位 | 温度 | 放射線量 | 収納容器圧力 | 原子炉圧力
福島: 福島20km-30km圏 | 福島原発の放射濃度 | 福島原発の溜まり水 | 福島原発プルトニウム
拡散予測: ドイツ気象局 | オーストリア気象局 | ノルウェー気象研究所
その他: 茨城原発周辺 | 宮城県全域
などをリンクをたどって確認することができます。
・核エネルギーと地震 ─中越沖地震の検証、技術と危機管理─ 〔高田 純の放射線防護学入門〕
先日読んだ『核爆発災害』と同じ著者による小冊子を2冊読んでみた。
2007年の中越沖地震では、震源から23キロの距離にある柏崎刈羽原子力発電所が震度6強の揺れに襲われた。地震のP波を感知して最大加速度を受ける前に核反応を自動停止させて、事なきを得たという事象の調査を行い、原発の安全性と問題点を技術と危機管理体制の2つの視点から、説明している。
結論としては、
・日本の原子力発電所は耐震技術は世界一
・しかし、政府機関の危機管理に問題がある
というもの。
耐震性能は大丈夫だったわけだが、津波に対して大丈夫ではなかったわけで、技術的に大丈夫という意見はもはや説得力がない。が、国内と海外の原発がどのような仕組みで、どのような安全設計が考えられているか、素人にもよくわかるように表や図解入りで解説している部分は参考になった。
政府機関の体制に問題があって、異常事象発生時に的確なリスク判断情報が発信されないのではないかという懸念はいままさに顕在化してしまっている。著者は、放射線量や災害の大きさについて、ミリシーベルトやベクレルではなく、震度のような、わかりやすい二次情報の提供を具体的に提案していた。
・核災害からの復興―広島、チェルノブイリ、ロンゲラップ環礁の調査から
著者が広島で行った一般向けの講演。ふりがなつきでこどもでもわかるやさしい内容。
広島の原爆、チェルノブイリ原発事故、ビキニ諸島被災の3つの核災害の復興事例を話す。
「チェルノブイリを訪ねて考えたこと、学んだことは、まず一般の人たちに急性放射線障害はなかったということです。甲状腺がんが後年発生しましたが、その主な原因は汚染した牛乳の流通による甲状腺の被爆でした。原子力緊急時に住民の放射線防護は可能であることがわかりました。」
チェルノブイリの甲状腺被曝の80%が放射性ヨウ素に汚染された牛乳によるものだということ。残り20%が汚染された空気の吸引など。核兵器による核災害と違って、原発事故の場合には、水や食物を通じた長期にわたる体内被曝が大きな脅威となる。
著者は核兵器災害に対しては厳しい見方をするが、原発事故の被害に対しては比較的楽観的な見方をする印象を持った。Webでもリアルタイムに積極的な情報提供をしている。
・高田純博士のサイト
http://www15.ocn.ne.jp/~jungata/
・ブログ
http://junta21.blog.ocn.ne.jp/blog/
・核爆発災害―そのとき何が起こるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/03/post-1415.html