スーパーセンスーーヒトは生まれつき超科学的な心を持っている
・スーパーセンスーーヒトは生まれつき超科学的な心を持っている
とても面白かった。
「人間の知識はすべて直感に始まり、そこから概念へと進み、最終的に認識へと至る。」(イマヌエル・カント 純粋理性批判)
米国では国民の90%が信仰を持ち、無神論者は10%に過ぎない。ギャラップの調査では、成人の4人に3人が少なくとも一種類の非宗教的超自然現象を信じているという結果がある。日本でも9割の国民が初詣に行くし、相当数がお盆に墓参りもする。テレビでは占い師や超能力者が人気だし、ホメオパシーやら未来が見える水晶など非科学ビジネスが横行している。実は米国とあまり変わらないかもしれない。科学の時代とはいえど、超自然現象、超科学現象を信じている人はかなり多いのだ。
科学合理主義の教育を受けているのに、そうなってしまうのは、人間に生まれつき、超自然現象を信じる資質が備わっているからではないか、というのがこの本の主張である。人間は赤ん坊の頃から、見聞きした世界に対して、直感的な理論を組み立てて、構造とパターンを読みとらないではいられない。その推論のうちには、科学的合理的な推論と同時に、そうでないものが混在する。
「子どもたちは周りの世界に関する知識を独自の直感的推論によって生み出す。それが自然なものと超自然なものを共に信じる心につながる」
信仰心に関係した脳の神経回路も特定されつつあるそうだが、文化が影響する前の幼児発達期から、既に、
魂という生命力の"本質"を認める感覚
他人の視線を感知する感覚
死の穢れなどにより心理的に汚染される感覚
神聖という感覚
といったスーパーセンスが芽生えていることがわかる。だから信じる心は愚かというよりも人間らしいということなのだ。
スーパーセンスの"本質主義"の正体と、先天性に関する科学的な研究が多数紹介されている。無神論者が宗教を糾弾する態度よりも、かなり建設的なアプローチだと思った。
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