砂漠の惑星
スタニスワフ レムの代表作のひとつ。
ありがちな人間同士の殺し合いや駆け引きというのがなくて、社会批判的メッセージも込められていなくて、純粋にサイエンスフィクションの醍醐味を楽しめるのがいい。1960年代に書かれたのに、このサイエンス部分はまだまだ通用するのではと思える内容。
6年前に消息を絶った宇宙船コンドル号の調査のために、同型の宇宙船 無敵号に乗った主人公たちは地球から遠く離れた砂漠の惑星に降り立つ。そこで彼らはコンドル号と乗組員たちの無残な姿を発見し、その原因究明に乗り出すが、やがて未知の生命体の侵略を受ける。いわゆるファーストコンタクトモノ。
人間と人間じゃないものが出会うとどうなるか。
「相互理解の成立は類似というものの存在を前提とする。しかし、その類似が存在しなかったらどうなるか?ふつう、地球の文明と、地球以外の惑星の文明の差は、量的なものにすぎない(つまり、"かれら"が科学・技術その他においてわれわれよりも進んでいるか、でなければ、その反対にわれわれが、"かれら"よりも進んでいるかのどちらかである)と考えられている。しかし、"かれら"の文明がわれわれの文明とは全然違った道を進んでいるとしたらどうか。」とスタニスワフ レムはコメントしている。
砂漠の惑星に登場する生命体の正体や侵略方法が実にユニーク。地球で人類が滅びた後に、こんなことになったりするかもな、と思ったりした。ハードSFであるが、謎かけに終わらず、だいたいこんなことかなという、ヒントまでは与えられるので、欲求不満に陥らずに読み終われる。
SFファンは古典としておさえておくべき一冊。
・虚数
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/02/post-353.html
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