空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
本物は面白い。
現代において未踏の地に挑む冒険はまだ可能なのだと証明した2002年と2009年の探検記。男のロマンで、現代の早稲田の四畳半から単身でチベットの秘境に向かう。現代の装備をもってしても何度も死の恐怖を味わうことになる。
元早稲田大学探検部の著者が、新聞社への就職前に向かったのが、チベットのツアンポー渓谷。単独行で挑むのは長さ5マイル(8キロ)の前人未踏の空白地帯。長い間伝説といわれてきた幻の滝や洞窟を発見していく。
自身の冒険譚に重ねて、
1924年に同渓谷を探検したフランク・キングドン=ウォード
1993年にツアンポ川でカヌー事故でなくなった同じく早稲田大学 武井義隆
90年代のイアン・ベイカーらによる「第二次ツアンポー・ブーム」
など、20世紀からのツアンポー探検の歴史を丁寧に語ることで自身の冒険の意味づけもはっきりしてくる。元新聞記者だけあって安定感のある文章。読ませる。
"グーグルアース"の記述もあったので、早速ツアンポーで検索したら一発でそれらしき地図が出てきた。写真も結構いっぱいアップされていて驚いた。
地球上が探検されつくしてしまい、前人未踏はわずか5マイル(8キロ)という猫の額みたいな土地というがいかにも現代的な話だなあ。
第8回開高健ノンフィクション賞受賞作
ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/11/z-1.html
怪獣記
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/10/post-655.html
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