集合知の力、衆愚の罠――人と組織にとって最もすばらしいことは何か

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・集合知の力、衆愚の罠――人と組織にとって最もすばらしいことは何か
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ちょっと不思議な本だ。7割社会科学で3割がなんというか、...精神性だ。

集合知を研究するコレクティブ・ウィズダム・イニシアチブのメンバーが中心になってまとめた集合知の引き出し方、集愚の回避についての考察集だが、一般的な集合知の研究書よりも、その定義が広いのだ。予感や虫の知らせ、シンクロニシティといった神秘主義的な現象までもがスコープに入れられている。

「集合知とは、集団やコミュニティ内での相互作用を通じて獲得される知識や洞察のことだ。だが、さらに掘り下げて考えるならば、そこにあるのは人と人との「生きた結びつき」であり、地域や組織や世界における「頼り合い」である。」

人間の相互作用のありかたをめぐる考察が中心であり、集合知の出現の可能性を高めるスタンスとして、

1 傾聴する(ディープ・リスニング)
2 確信を保留する
3 システム全体を見る
4 他者への敬意を持ち、差異を識別する
5 生じるものすべてを歓迎する
6 「大いなるもの」に対する信頼

というリストが挙げられていた。ちょっと宗教的なかんじがする。そして性善説に満ちた本だ。人間はよいものであり、表面的には対立していても、根源的なレイヤーではひとつにつながっているという思想を根底に感じる。集合知を生む力は本能だともいう。

「集団とは、未来を表現する芸術形式だと信じている。・・・人間が考えや関心を伝え合い、その共有を通じて精神的な知性を導く導管となってけるような、そんな社会形態を、、今の文化は必要としている。」と哲学者ジェイコブ・ニードルマン。

集合知が危機を救った事例が多数紹介され、そして集合知についての名言がたくさん紹介されている。しかし、私が一番深く印象に残ったのは著名な紛争解決ファシリテーター マーク・ガーゾンのことばだった。

「人間は知を求める。思いやりではない。愛でもない。平和でもない。優しさでもない──私の耳に何より入ってくるのは、知を求める声だ。」。

集合知についてポジティブにもネガティブにも考えるための一冊。

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このページは、daiyaが2011年1月17日 23:59に書いたブログ記事です。

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