死者の書
ダークファンタジー作家ジョナサン・キャロルの代表作。1989年アポロ賞受賞。
高校教師のトーマス・アビイは、心酔する児童文学作家マーシャル・フランスの伝記を書くために、作家の故郷ゲイレンを恋人とともに訪れる。町に腰を落ち着けて、フランスの娘に取材を重ねるうちに、アビイはこの町の恐ろしい秘密に気がついてしまう。
メタフィクションの傑作なので、あまり詳しく内容を書けないですが、前半が退屈でも最後まで読む価値ありとだけ言いましょう。後半になってからが秀逸です。前半は静かに伏線を張っているのです。
原題は『The Land of Laughs』。作中に登場するフランスの作品「笑いの郷」です。
ある日、アビイの目の前で男の子が車にはねられます。事故の瞬間に居合わせた村人はアビイに落ち着いた表情で「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」と尋ねます。子供が死にそうなのに、笑っていたかって?とアビイは村人の言葉に不信感や疑問を抱くようになります。
読者に推理させる時間をたっぷりとる。その間が絶妙の作品です。
あ、そうそう。犬が好きな人にもおすすめです。ブルテリアが活躍?します。ぜひ。
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