モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
・モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
重鎮フィリップ・コトラーが『マーケティング3.0』を提唱して驚いたが、ダニエル・ピンクによるとモチベーションも3.0になる。2.0ではもはや古いものを意味するようになった。
著者はモチベーションを人類の行動のOSにたとえて、
モチベーション1.0 生存を目的とする人類最初のOS
モチベーション2.0 アメとムチ=信賞必罰に基づく、与えられた動機づけによるOS
モチベーション3.0 自分の内面から湧き出る「やる気!」に基づくOS
という進化を遂げるのだという。
これまでの信賞必罰2.0は現在のビジネスの事業形態と一致していない。21世紀の人間の行動と一致しない。現代の仕事の多くと相いれない。といった理由で、時代遅れであり、ありがちな目先の報奨プランや成果主義に基づく給与体系は、多くの組織で機能せず、有害な場合さえ多いのだと教える。しかし2.0は理解しやすく、容易に監視でき、適用しやすいという理由だけで、組織は安易に採用を続けている。
アメとムチの致命的な7つの欠陥として、
1 内発的動機づけを失わせる
2 かえって成果が上がらなくなる
3 創造性を蝕む
4 好ましい言動への意欲を失わせる
5 ごまかしや近道、倫理に反する行動を助長する
6 依存性がある
7 短絡的思考を助長する
というリストを挙げて2.0組織に警鐘を鳴らす。
要するに人間はそんなに単純じゃないのだ。イヌじゃないのだからブザーが鳴ってもよだれはでないし、ウマじゃないのだから目の前にニンジンをぶらさげられれば屈辱的に感じてしまう。豊かになった社会の会社では社員のことを全人的にとらえて、もっと人間的に対応していかねばならないということなのだ。全人的という意味では『マーケティング3.0』と似ている部分がある。
モチベーションのタイプを、2.0が想定するタイプX(extrinsic 外発的)と3.0が想定するタイプI(Intrinsic 内発的)に分けるとすると、タイプIは、
・自律性 自ら方向を決定したい
・マスタリー(熟達) 自分の能力を上達させたい
・目的 自分よりも大きな何かの一部になりたい
というような意識で動く。後半は組織や家庭で、社員や子供たちをどうタイプIとして、モチベートしていくかの方法論がまとめられている。本人をどう刺激するかではなくて、、よいフィードバックがかかる環境を用意することが大切なようだ。人間を本当の意味で育てるのが3.0であるが故に、組織にとっては2.0よりも育成するコストが高いものになるかもしれない。
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