2010年11月アーカイブ
全米ベストセラーでブラッド・ピッドが映画化権を取得した探検家ノンフィクション。
1925年、南米アマゾンのジャングルの奥地にあるという謎の文明都市Zを探し求めて、危険地域で消息を絶ったイギリスの探検家がいた。パーシー・ハリソン・フォーセット。「失われた世界」のモデルとも言われる伝説の探検家を捜索するため、その後80年以上にわたって多くの探検家たちがアマゾンを訪れた。そして100人以上が原住民の襲撃や厳しい自然環境によって命を落としたと言われる。
著者のデイヴィッド・グランもまた「20世紀探検史上、最大の謎」に魅了された一人である。フォーセットが残した記録や当時の資料から、徹底的にフォーセットの足取りやZの推定地を調べたうえで、アマゾンへと向かう。
80年前のフォーセットの探検と、現代のグランの探検が交代で語られる。怪しげな地図を片手に冒険したフォーセットと、GPS搭載コンピュータを持つグランでは、探検のスタイルはまったく違っている。テクノロジーの進歩によって、純粋な未開の地というのはほとんどなくなってしまっているのが現実だ。いまさら探検家に大きな発見なんてできるのかね?と懐疑的に読み進めていったわけだが、終盤でガーンである。ネタバレになるので詳しくは書かないが、最後にZの謎がちゃんと解明されるのが凄いのだ。
フォーセットら20世紀の探検家たちの命を懸けた冒険の歴史が、現場で見ていたかのようにスリリングに語られる部分は、ドキュメンタリ作家としての著者の才能をみせつける。フォーセットは映画インディ・ジョーンズのモデルでもあるそうだが、いかにも20世紀の冒険家らしい破天荒な生き様がいい。
iPadでよく使うアプリにShufooのチラシアプリがある。
・シュフー
http://www.shufoo.net/
位置情報検出機能または郵便番号入力で該当する地域の折り込みチラシを、インターネット経由で見ることができるアプリケーション。iPhoneでも使えるが、画面が大きなiPadだと断然見やすい。ショッピングモール、大手スーパー、トイザラスやユニクロなどの大型店、その他地域の店舗のチラシが含まれている。
郵便番号を入力すれば全国のどこでも、配布されているチラシを見ることができるのも面白い。関東地方に住んでいる人が大阪や名古屋や沖縄のショッピングセンターのチラシを見られる。全国展開しているユニクロなんかはほとんど差がなく内容は同じであるが、地域の店のチラシは地方色が出てくる。価格はもちろん品ぞろえにもローカル色があってマーケティングの参考にもなる。
チラシのペーパーレス化は大賛成である。家でiPadで気になったチラシ情報をもとに買い物に出かけて、現場でiPhoneで確認するなんて使い方もできる。便利になったなあ。検索できるとさらによいのですが。
有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジで、毎月一回トークイベントをやることになりました。12月で3回目です。会場では話題のGALAXY S/GALAXY Tab 先行展示も開始されています。このラウンジは多数の未来のコミュニケーションツールに触りまくり、試しまくり、で一見の価値ありの場所です。スマートフォンの未来を体験しがてら、私のセッションものぞいてください。よろしくお願いします。
なお通常は第3火曜日なのですが、年末の会場予定で今回は10日金曜です。
■日時
2010年 12月10日(金曜日)19:00~20:00
■場所と参加申し込み
有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジ内イベント/セミナースペース
http://dcm-spl.com/cool_events/2010/10/-passion-for-the-future-offline.html
Webから参加の予約することができます。実は当日ふらっと参加も可能ですが、予約していただけると大変うれしいです。モチベーションになります。
■イベント概要
『ザ・本とインターネット』 ソーシャル読書セミナー 第1回
(Passion For The Future オフライン)
http://www.dcm-spl.com/cool_events/2010/10/-passion-for-the-future-offline.html
本とインターネットとどうつきあうか。それで人生が変わります。
IT起業家で書評ブロガーの橋本大也氏が、"今月の面白い本ベスト10"や、電子書籍やWebの最新事情を語ります。年間500冊超の読書生活で発掘してきた名著・奇書の書評のライブ・トーク。ひとりで本屋に行くより、気になる本がきっと見つかるセッションです。さらに未来志向で、パソコンやケータイ、タッチ端末など先端テクノロジーがもたらす読書スタイルや出版文化の変容も考えてみようと思います。
構成:
1 自己紹介とごあいさつ(5分)
2 今月読んだおすすめ本 10冊 (15分)
3 今月のテーマ本 5冊 (15分)
4 デジタル読書生活向上委員会 (15分)
講師紹介
橋本 大也 データセクション株式会社 取締役会長
2000年、大学在学中にインターネットの可能性に目覚め、株式会社データセクションを設立。現在、ITコンサルタント・起業家として数社のITベンチャー役員を兼任すると共に、大学等で教鞭をふるっている。主な著書は「情報力」「情報考学―WEB時代の羅針盤213冊」「新・データベースメディア戦略」「アクセスを増やすホームページ革命術」「ブックビジネス2.0」ほか多数。
株式会社早稲田情報技術研究所 社外取締役
株式会社日本技芸 社外取締役
株式会社メタキャスト取締役
デジタルハリウッド大学 教授
多摩大学大学院経営情報学研究科 客員教授
・ほんとうにあった怖い話 THE BEST #1 for iPad
実話ベースの怪談の映像が5本収録されたアプリ。1本当たりは十数分の短編。クォリティは高いと思います。
電車で席に座りながら、iPadでイヤホンをつけて視聴しているわけなのですが、怖いシーンになると隣の人の視線を感じて気が引けるのですね。アダルトな映像を公衆の場で見ていたらセクハラになると思うのですが、怖い映像も嫌いな人は多いでしょうから、自粛しないとまずいかなあとか、考えてしまうわけです。でも見るのですが。
「消えないアザ」「黒い子供」「公衆電話の光子さん」「百物語」「落としもの」。
『黒い子供』が印象に残りました。こんな話。
「私は高校を卒業してこの工場に就職しました。それから数週間が過ぎた頃の話です。誰もいないはずの工場で何故か子供の気配がするのです。最初は近所の子供が忍び込んだのかと思ったのですが、よく見るとその子供は全身が真っ黒に焼けただれ、この世のものとは思えない姿をしていました...。」
縦でも横でも視聴可能ですが、横にした方が画面サイズが大きい。横にした状態でタイトルクレジットを"めくる"とお札が出てきます。この画像は保存もできる。怖すぎるという人向けらしいですが...。
・ほんとうにあった怖い話
http://www.forsythe.co.jp/honkowa_ipad.html
デジタルメディア研究所の橘川幸夫さんが書いた社会起業家指向の仕事人に贈ることば集。ベンチャーやNPOの中の人だけでなく、メディアやマーケティングの仕事をしている人にもおすすめ。
「仕事とは、あなた自身の欲望を社会化すること。」
のような短いメッセージが69本ある。
そして解説が裏ページにつく。
「仕事とは客観的なことではありえない。自分が必要と感じたもの。魅力と感じたものの延長に自分の仕事があるのだ。自分の欲望から外れたところで、「儲かるから」「安定しているから」などという客観的な要因で仕事を選ぶと、仕事を頑張れば頑張るほど、本来の自分と仕事をしている自分が分離していく。社会とは自分の延長線上にあるのだ」
私が好きな言葉のベスト6をつくってみた。
1位 「仕事とは、あなた自身の欲望を社会化すること。」
2位 「空気が読めないのは、そいつが違う空気を吸っているからかもしれない。」
3位 「何よりも必要なマインドは「すがすがしさ」である」
4位 「個人の力は最大限に使え。組織の力は最小限に使え」
5位 「やってみなけりゃわからん」ことだけが楽しい
6位 「自分がやらないで人にやらせた方が10倍儲かる。人にやらせないで自分がやった方が10倍面白い」
まえがきには橘川さん自身の仕事人生のふりかえりがある。「学生時代に働きはじめた」で始まる。いろいろなアルバイトをした後、音楽雑誌『ロッキング・オン』を友人らと立ち上げ、自身が初めてサラリーマンになったときは『ポンプ』創刊編集長だった。やりたいことを仕事にして、「本来の自分と仕事をしている自分」が重なる仕事人生だった。こういう人生って幸せだよなあと思う。
今の日本では、就職情報サービスが提供する既存メニューから、やる仕事を選ぶ、入る会社を選ぶという職業"選択"が普通だ。橘川さんの場合、自ら雑誌を宝島社に提案して創刊させて編集長に収まったそうだ。こういう風に自分がやりたい仕事を創るというスタイルの人はこれまでは極めて少なかった。
でもこの10年くらいで、インターネットやソーシャルネットワークというインフラをベースに、やりたい仕事をつくろうという若者は、私の周りには結構出てきた。就職せずにいきなりベンチャー、NPO、フリーランスとして、これまでにないジャンルを創りだして活躍している人がいる。
ありきたりな職業選択へのアドバイスではなくて、やりたいことを仕事にしてきた職業創造の先駆者が語る希望の仕事術。やりたいことがあるけど、やりたい仕事がない、入りたい会社がないという20代の人、読んでみてください。
今週末で龍馬伝が終了してしまうので、来年のNHK大河ドラマの予習。
江(ごう)。
戦国大名の浅井長政と織田信長の妹お市の間に生まれ、二度の政略結婚と離婚の後で徳川秀忠の妻になり、大奥を創設した女性である。徳川家康は江の義父で、二代将軍の秀忠が夫で、三代将軍の家光は息子である。江の姉は豊臣秀吉の側室の「淀君」=「茶々」である。江は淀君の息子の秀頼に娘の千姫を嫁がせている。つまり江は「信長を伯父に持ち、秀吉の息子に嫁がせ、家康を義父に持つ」ということになる。
父は信長に殺される。最初の夫とは秀吉の命令で離婚させられる。家康の天下取りの都合でに姉を大坂の陣で失う。でも、しっかり天下人の妻になって母になって大奥を取り仕切る。運命に翻弄されながらも、力強く生きた人だったみたいだ。
本能寺の変、関ヶ原の合戦、大坂の陣など歴史的な大イベントがいっぱいあるし、信長、秀吉、家康ほか有名な戦国大名が勢ぞろいなので、見どころが多そうで今から楽しみ。
それにしても今回の登場人物たちの人間関係が非常に複雑だと思うのは私が世界史派だからというだけじゃないだろう。戦国大名同士の婚姻関係が実際に複雑なのであり、龍馬伝とは比較にならない解説が必要になりそうだ。Wikipediaを見ながらドラマを見ることになるかもしれない。
そして、こういう解説本も需要が大きそうだ。
江と徳川三代の関わりを丁寧にひも解いている。
「現代の観点からすると、結婚・離婚を繰り返すのはネガティブなイメージがあるのは事実だ。この頃の日本と現代の日本とでは結婚観がまるで違う。社会通念が根本的に異なっていたのである。」
など、江の生き方について、当時の意味も語られている点も参考になる。
電子書籍じゃなくても名作だと思うのですが、電子書籍の名作です。
最先端の電子機器iPadで日本最古の古事記を読むという、とり合わせの面白さだで紹介するわけではありません。もともと私は古事記・日本書紀が好きなので、現代語訳や漫画作品が出るたびに買っていますが、この漫画は娯楽的にも教育的にも抜群に素晴らしいと思います。完成度が高いエデュテイメント作品です。
古事記の話そのものは荒唐無稽で、おまけにエロスとバイオレンスに満ちた展開ですから、そのまま漫画にすると解説なしにはわかりにくくて、素直に楽しめない作品になります。でも、脚色を入れてドラマとして面白くし過ぎると、今度は本来の古事記の内容を知るという教育目的が果たせなくなります。この作品はそのバランス感覚が素晴らしいのです。
解説や神々の系図もちゃんとつけられています。本作品には御参拝記念用「まんがで読む古事記」神社版というのもあって、抜粋版小冊子を配布している神社もあるようです。子供が読んでもセーフなレベルに、エロス場面、バイオレンス場面も抑えられて描写されているので安心なコンテンツでもあります。
ちなみに紙の書籍版もあります。
・アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/08/post-1057.html
・日本語に探る古代信仰―フェティシズムから神道まで
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-959.html
・日本人の原罪
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-946.html
・[オーディオブックCD] 世界一おもしろい日本神話の物語 (CD)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/cd-cd.html
・日本史の誕生
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-799.html
・読み替えられた日本神話
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/post-700.html
・日本神話のなりたち
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/05/post-573.html
・日本古代文学入門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004835.html
・ユングでわかる日本神話
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004178.html
・日本の聖地―日本宗教とは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004661.html
・劇画古事記-神々の物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004800.html
・日本人の神
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003868.html
・日本人はなぜ無宗教なのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001937.html
・「精霊の王」、「古事記の原風景」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000981.html
・古代日本人・心の宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001432.html
・日本人の禁忌―忌み言葉、鬼門、縁起かつぎ...人は何を恐れたのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000809.html
・神道の逆襲
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003844.html
・古事記講義
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003755.html
・日本の古代語を探る―詩学への道
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003206.html
ブラスです。柄が真鍮のボールペンです。「使い続けるうちに表面が酸化し、深く味わいのある柔らかな色調に変化していきます」とのことで楽しみです。
普段は下のようなコンパクトな形状です。
わざわざ使う時に、いったんペン先をはずして逆にしてつけるという作業が発生します。面倒と考える人には向きません。見せびらかしにはこれがいいのです。これブラスなんですよ~というタイミングができるとポジティブに考えましょう。
私はこの真鍮という素材でできたブラスシリーズの発表を見たときに、これは全部欲しいと思ったのですが、現物を触ってみると一番注目していたペンケースは、持ち運ぶには重たすぎる(166グラム)ので断念。ボールペンにしました。
・ミドリ ブラスプロダクト
http://www.midori-japan.co.jp/products/2010/2010_14/
このボールペンは軽いし、コンパクトなので、筆箱にひとつアクセントとして入れておくにはよい出来です。
ひとつだけ欠点があります。ブラスは長く使っていると汗と反応して独特の匂いがするということです。逆にいうとこの匂いがたまらんというブラスフェチにはおすすめなわけですが...。
サマセット・モーム賞を受賞し、ブッカー賞の審査員もつとめたイギリスの作家アンジェラ・カーターの短編集。アンジェラは1969年から数年間、日本に滞在した経験がある。この作品集には、現代的な日本、伝統的な日本、「ガイジン」から見たエキゾチックな日本のイメージが散りばめられている。9本あるがゴシックとポルノ風味の幻想文学が多い。
アンジェラは飽くまで「ガイジン」の立場で日本を異質なものとして見ている。作家の分身らしきイギリス人女性が主役の作品では、日本人男性と愛し合い交わるが、決して同化しようとはしない。ヨーロッパ的感性から見た日本文化論として読める部分もある。
「この国は偽善を最高の様式まで高めた。侍を見ても、殺人者だとは思わないし、芸者を娼婦だとは思わない。こうした侍や芸者の壮麗さはほとんど人間離れしている。彼らは偶像の世界にのみ生きていて、そこで儀式に参加している。その儀式は、生きることそれ自体を馬鹿げていると同時に心を動かす一連の荘重な身振りに変えてしまうのだ。」(日本の思い出)
日本に限らず異文化とは、異質なものの目からは「偽善の最高の様式」に見えるものなのではないだろうか。作品中には日本の周縁文化が多く取り上げられている。刺青、盆栽、ラブホテル、花火、文楽、浅間山荘事件。アンジェラというイギリスのゴシックオタクが、日本のゴシックに通じるものを感じて、物語が生まれていく。同時にそれは違和感の連続でもある。
「...この街の暮らしは外国人にとって、夢の謎の持つ透明さ、読み解くことができない透明さを持つように思われる。そして、それは自分で見ることのできないような夢である。よそから来た者、外国人は、自分を掌握していると思っている。だが、実際は、誰か他人の夢の中に投げ込まれているのだ。」(肉体と鏡)
「ガイジン」のガイジンによるガイジンのためのエキゾチックジャパンを、敢えて日本語に翻訳したときの違和感を楽しむ。刺激的で不思議な9編の短編集。
Galaxy Tab発売記念 「タブレット革命」 2011年を占う 松村太郎×橋本大也
http://www.dcm-spl.com/cool_events/2010/11/galaxy-tab2011-w-daiya.html
有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジ内イベント/セミナースペースにて下記イベントに対談ゲストとして出演することになりました。
松村さんと二人でイベントというのは、はじめてですが、相当のモバイルマニアのようだし、かなり突っ込んだ話もできそうで、楽しみです。
【イベント】Galaxy Tab発売記念 「タブレット革命」 2011年を占う 松村太郎×橋本大也
開催日時:12月1日(木)19:00~20:00
Galaxy Tab発売を記念した特別イベント。「タブレット革命」著者の松村太郎 @taromatsumura がホストし、データセクション、デジタルハリウッドなどで活躍している橋本大也さん @daiya をお招きして、実際にGalaxy Tabに触りながら、タブレット元年の2010年、タブレット革命の2011年を占います。
【出演】
松村 太郎
@taromatsumura
東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。
橋本 大也 データセクション株式会社 取締役会長
@daiya
2000年、大学在学中にインターネットの可能性に目覚め、株式会社データセクションを設立。現在、ITコンサルタント・起業家として数社のITベンチャー役員を兼任すると共に、大学等で教鞭をふるっている。主な著書は「情報力」「情報考学―WEB時代の羅針盤213冊」「新・データベースメディア戦略」「アクセスを増やすホームページ革命術」「ブックビジネス2.0」ほか多数。
株式会社早稲田情報技術研究所 社外取締役
株式会社日本技芸 社外取締役
株式会社メタキャスト取締役
デジタルハリウッド大学 教授
多摩大学大学院経営情報学研究科 客員教授
・タブレット革命 ~iPad登場でわかった"板型PC"の破壊力
松村さんの著書。イベントまでに熟読予定。
イベントの詳細や参加申し込みは下記まで。
http://www.dcm-spl.com/cool_events/2010/11/galaxy-tab2011-w-daiya.html
・TAO
http://www.drum-tao.com/main.html
公式サイト。公演情報も。
和太鼓のパフォーマンス集団TAO。
ちょっと前になりますが、10月17日の東京JCBホールの公演を見てきました。
圧倒されました。これは凄いです。スタンディングオベーションです。TAOはなかなか東京で講演をしませんが、華麗なショーが好きな人は、機会があったら絶対に見ておくべきです。自信を持っておすすめです。
和太鼓パフォーマンスと言っても、勇ましい褌姿の男たちが叩く日本の祭りの太鼓とはイメージが違います。迫力の演奏だけでなく、キレのある華やかな演出にもこだわります。彼らは和太鼓のシルク・ド・ソレイユといってよいでしょう。
TAOは17年前に結成されて、大分県久住町に4万平米の広大な敷地内に「TAOの里」を設立、共同生活をしながらパフォーマーを育成しているそうです。これまでは九州と海外を中心に公演をしており、世界17カ国・400都市・観客動員数400万人に達しています。敢えて海外から凱旋する形で、日本全国ツアーに臨む作戦をとっているため、国内の知名度は高くない、ですよね?。私も実は妻に誘われて公演を見るまで知りませんでした。
2011年はヨーロッパツアーが組まれており、しばらく日本では見られなくなりそうですが、年末に各地で公演が残っているようです。東京ではクリスマスあたりです。
・Logitec USB対応 FM/AMラジオチューナー Windows用 LRT-FMAM200UW
PCでAM/FMラジオ番組を聴く、録音する、iPodやiPhoneで聴くということが簡単にできるUSBラジオチューナー。ネットでラジオ放送を流すradikoもあるがNHKなど非対応局や非対応地域では聴けない。ラジオ放送を良好に受信できる環境で使う必要があるが、あらゆるラジオ放送を録音できるのが、このチューナーのよいところ。
AMラジオ用の外部アンテナが付属する。
最初に地域を設定して、周波数スキャンを行うと、受信環境が整う。録音予約は時間帯と局をマニュアルで設定する必要がある。
ラジオ受信・録音ソフトの「らくラヂ」と音声ファイル管理ソフト「らくチューン」がある。タイマー録音、早聞き、遅聞き、スキップ再生、自動ファイル分割、iTunes転送、無音部自動検出などの機能がある。
この値段は安い。
最近はまっている作家 吉村昭。これも得意のドキュメンタリ小説。
明治14年、北海道の石狩川上流の未開の地に、重罪人や政治犯を収容する大規模な集治監(現在の刑務所)の設置を政府が決定した。そこは冬期は積雪で町との交通が閉ざされる極寒の地。建設には40名の屈強な囚人が選ばれて、到着まで何も知らされないまま、過酷な現場に投入された。
自らを監禁する牢屋の建設を命がけでやらされる囚人たち。人権を無視した厳しい労働と規則。満足な食料も衣服も与えられず、冬期になると極寒による凍傷で手足をなくすもの、栄養不足で死ぬものが続出する。当然のことながら、囚人たちは殺気立ち、看守を殺傷したり、脱獄を試みるものも現われる。
当時の囚人に人権などなかった。不可能な逃亡の末に捕まれば、厳しい制裁が加えられ、その後も鉄の重りを足につけられた。抵抗すればその場で切り刻まれて、晒しものにされた。実は看守たちも必死であった。凶暴な囚人に狙われている上に、少しでもミスがあれば厳罰が課されるルールで統制されていたのだ。
囚人と看守の感情的な対立の深さは社会的背景にもあった。政治犯の多くは明治維新で幕府側についた藩士たちだった。一方、若い看守たちは新政府に登用された勝ち組の藩の下士出身であった。隔離された閉鎖空間で、彼らの残酷な仕打ちと報復が繰り返された。
そして多くの犠牲者を出しながら囚人たちは集治監を建設する。この小説は、集治監の建設(1881)から、その廃止(1919)に至るまでの38年間までを、刑務官側と囚人側の代表的な人物たちのエピソードを軸に語る。
囚人たちは逃亡時に目立つように赤い服を着せられていた。だから「赤い人」。淡々とした記述で恐ろしい事実が書かれている囚人残酷物語と、外の世界では着々と近代化がすすめられていましたという歴史背景の説明が同時進行する。面白い。
・羆嵐
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/10/post-1313.html
・高熱隧道
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/12/post-678.html
吉村昭のドキュメンタリと言えばこれもすごい。
南アフリカのノーベル賞作家J・M・クッツェーの代表作。2度目のブッカー賞受賞作品。
ノーベル賞が冠にあるからさぞ高尚な内容なんだろうなと思って読み始めると、いきなり娼婦と寝たり女子学生をナンパする話で始まって、ものすごく下世話な話題や不名誉な修羅場がその後も続いていく。
冒頭で52歳で大学教授の主人公は女子学生との不適切な関係を訴えられて査問委員会にかけられる。不器用な主人公は同僚らの温情にすがることもせず、不名誉な形で大学を追われ、農園で働く娘の元に身を寄せる。静かな暮らしをするはずが、貧しい農園での生活はさらなる恥辱に満ちた転落人生の始まりだった。
この本は人生のあらゆる局面でありえる恥辱(原題:Disgrace)に満ちている。
地位や名誉を剥奪される恥辱
性的スキャンダルにまみれる恥辱
黒人に屈服させられる白人の恥辱
娘に生き方を軽蔑される恥辱
大切なものを目の前で汚される恥辱
老いて醜くなるという恥辱
わけも知らず殺されていく動物の恥辱
などなど、よくもこれだけ、ひとつのストーリーにさまざまな恥辱を織り込めたものだなと感心する。客観的には完全に落ちていく人生なわけだけれども、不思議と主人公に暗い印象はないのがいい。自業自得の運命を淡々と受け入れていく。マゾヒスティックな感情があるわけではない。アパルトヘイト後の南アの白人の立場や、老いて衰えていく人間の諦念を、その態度は象徴しているのかもしれない。
人生における不名誉、屈辱、取り返しのつかない失敗に直面した時、人間はどうやりすごしていくかを考えさせられる、ルサンチマンな純文学。テーマの割に重たくはなくて、読みやすい、わかりやすい、おもしろい小説だ。
・純正Apple iPad VAG Adapter (Dock Connector to VGA Adapter)
まだまだ試行錯誤の実験的にだが、iPadをプレゼンで使ってみるようになった。
iPadのVGAアダプターケーブルは、普通のノートパソコンみたいに、つないだら何でも画面がプロジェクターに投影できるわけではないのが不便だ。ビデオ、写真、Youtubeは標準で画面出力に対応している。私は主にKeynoteでパワポ資料(変換はレイアウトが崩れやすい)、GoodReaderでPDFベースのプレゼンをしている。どのアプリが対応で、どれが非対応なのかを見分けにくいのが難である。
それからどういうわけかSafariが対応していないため、Webをライブで見せるにはWebProjectorなどの対応アプリを用意する必要がある。
またiPadの基本のメニュー画面は投影することができないのは痛い。現時点ではiPad自体をみせびらかしたいことが多いわけで、アップルにとってもこの仕様はよろしくないはずなのであって、早急に、なんでも投影できる仕様にしてほしいなあと強く希望である。と、ここに書いても仕方ないのですが。
民俗系ダークファンタジーの大傑作。
昆虫学者の夫のフィールドワークに伴い、山奥の村にやってきた女医は滞在が長くなるにつれ、一見のどかに見える村に違和感を覚える。無医村なのに村人たちがあまりに健康で病気の者がひとりもいないのだ。医師を誰も必要としていない状況を不満に思いながら暮らしていると突然、夫が行方不明になる事件が起きる。夫を探すべく村に残る決意をした彼女は、やがて村の恐ろしい秘密を知ることになる。
因習に縛れらた山奥の村の祟り。テーマは民俗ホラーの定番だが、蜜姫なんて伝承は存在していないだろう。作者の創作のはず。とても設定の独創性が高くて新鮮であると同時に完成度の高い神話的世界観にぐいぐいとひきこまれる。ミステリ、人間ドラマ、群像劇、迫力のホラー描写と読ませる要素を一杯抱えている。乾 ルカは本当に素晴らしい才能の作家だ。
漫画で言えば、諸星大二郎の妖怪ハンターシリーズとか、星野之宣の「宗像教授伝奇考」などが好きな人は間違いなくはまる。これを原作にしてマンガ化、映画化してくれないかなと期待。
今年読んだダークファンタジー小説では
・魚神 千早 茜
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/03/post-1181.html
月桃夜
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/04/post-1201.html
もよかった。今年はこの系統が豊作。
雑誌ワンダーJAPANが好きな人向けの愛蔵保存版です。
寝床に置いて眺めています。
廃墟、工場、巨大建造物、妙な宗教施設、巨大神仏像、秘宝館、個人の妄想が生み出した歪んだ家など、日本のヘンな空間、ムダな建築を500スポットも写真入りで紹介する特集ムックです。
ヘンな建築は面白いのです。建築はお金がかかる。だから建設意図はどれも至ってマジメなものであるはずなのですが、何でこんな形に?とかオーナーは正気?なもの続出。ヘンとかムダは文化の余剰。こういう冗長性があるうちは、むしろ日本は大丈夫なんじゃないかと思ったりする私はヘンでしょうか。
500種類が1ページに4つずつ紹介されています。地域別に整理されているので、まずは近隣スポットから調べるのがいいですね。今は変なスポットの名前が分かればブログ検索や画像検索で詳細を調べられるし、住所が分かればGoogleマップで見てみるなんて楽しみ方ができます。未掲載の物件をしっていたら、公式サイトから情報提供するとよいようです。
・ワンダーJAPAN公式サイト
http://www.104-0031.com/wj.html
ある寄生虫はアリの脳に寄生して行動を乗っ取り、アリが捕食者にみつかりやすい行動をとらせる。アリが食われれば寄生虫は牛や羊の胃の中に入り込むことができるからだ。宗教は人間の脳に寄生して種を破滅させる観念のウィルス(ミーム)みたいなものだと"ブライト(宗教を信じない)"代表のデネットはいう。
「アラビア語のイスラームが「服従(身をまかせること・神に帰依すること)」という意味であることを、思い起こすべきである。イスラム教徒(ムスリム=神に帰依する者)たる者は、自分の利害関心よりもイスラム教の拡大を優先させるべきだという観念は、まさにその語源に組み込まれている。しかしこれはイスラム教だけの話ではない。そうだとすれば敬虔なキリスト教徒にとって、自分自身の幸福や命よりも重要なことは何だろうか?<御言葉>だ、と彼らはいうだろう。神の<御言葉>を広めることが彼らにとっての最高善であり、<御言葉>を広めるために子や孫を持たないように求められれば、それは命令となり、彼らは懸命にそれに従おうとする。彼らは、ミームの命令に従って、自分の生殖本能をひるむことなく鈍化させる。」
デネットは宗教の正体を、脳のHADD(行為主体を敏感に探知する装置)に見る。私たちは複雑な事象に対して行為者の存在を想定する習性がある。暗闇で物音がすればそこに何かがいるのではないかと思う。この習性があったおかげで、人類は未知の現象に対して効率的に対処することができ、結果として生き残ることができたが、占いや「神」を生みだす原因にもなった。わからないことは「神の御心」ですべてが説明できるからだ。
進化の上で有利に働く脳の機能が生み出した観念が、やがて自己複製の力を発揮して繁殖し、人類の行動を縛るものになる。感染した人々はその観念のために自らを犠牲にすることさえ幸福に感じる。感染者は組織化されて強力な政治力を持ち、それと異なる観念を持つ組織に対して戦争さえ辞さないようになる。
デネットは宗教は人工物ではないという。生物学的な基盤や仕組みの上に必然的に生まれてしまうガン細胞みたいな自然現象であるとみなす。人間のような認知・知覚の主体があれば自然に宗教の観念は生まれてきて、社会的インタラクションの中で伝播していくというメカニズムを、生物学、社会学、物理学、認知心理学などの研究を引きながら証明する。
そして宗教のはたらきを総合的に見たうえで、には確かに良いところもあるが、道徳的な生き方とか、心の健康は宗教でなくてももたらすことができるという。むしろ、宗教は美点よりも害の方が多いとデネットは考えているようである。
「第二次世界大戦は、確かに多くの人々から良いところを引き出したし、それを生き抜いた人々は、それは自分の人生において、最も重要なことであり、それなしには自分の人生に意味はなかっただろうと、しばしば語っている。しかし、これは、また世界大戦をすべきだということをまったく意味していない。」
サンタクロースがいないとわかっても、何の害もない、と述べている。
米国では進化論が科学的に検証されていることを知っている人が25%しかいない。メガチャーチと呼ばれる巨大な教会組織が、宗教を超えて社会や政治において力を増している。そして9.11に始まるイスラムとの対立。教育界で幅を利かせるインテリジェントデザイン論。デネットはそうしたアメリカの深刻な状況に対する危機感がこの分厚い本の執筆動機だと強調している。
リチャード・ドーキンス『神は妄想である』やテリー・イーグルトン『宗教とは何か』などの議論につらなる大物哲学者による宗教無用論。日本ではカルト宗教に対する批判くらいしかないわけで、ちょっと縁遠い問題意識だが、世界の問題の根幹を考える上で、このテーマは避けて通れないもののようだ。
ああ神様、「神様」って本当にいるのでしょうか?
・宗教とは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/07/post-1274.html
象が踏んでも破れない!?ペンケース【MONKEY BUSINESS】モンキービジネス ペンシルケース タ...
くしゃくしゃにされた紙みたいな素材のペンケース。イスラエル発の雑貨ブランド「モンキービジネス」がつくった。
・モンキービジネス
http://www.monkey-bus.co.il/
もちろん紙ではない。タイベックという丈夫な素材でできている。
タイベックとは米国デュポン社が開発した素材で「0.5~10ミクロンのポリエチレンの極細長繊維をランダムに積層し、高熱と圧力だけで結合させたシート(不織布)です。米国 デュポン社が開発したこの独自の構造により、優れた透湿・防水性能を有し、抜群の強度と耐久性能を保持する事が可能になりました。現在では、この性能を活かし様々な用途で広く採用されております。」というもの。
・タイベック
http://www.tyvek.co.jp/
化学防護服や建築素材に使われている。ハイチやコスタリカでは紙幣に採用されたこともあるらしい。
デュポン [TV-3 L] タイベック防護服 Lデュポン [TV-3 L] タイベック防護服 L 価格:1,330円(税込、送料別) |
防護服って割と安いんだな。
表面に方眼の模様が引かれていて、クリエイティブ。ちょっと汚れても逆に味が出そうだ。
私の買ったSサイズはペンを2,3本入れるといっぱい。デザインからして仕事よりもプライベート向き。休日用のトートバッグに入れている。
・正しく決める力―「大事なコト」から考え、話し、実行する一番シンプルな方法
冒頭で2つの問題が掲げられる。
旭山動物園が大成功した本当の理由は?
ケータイ小説が成功した理由は?
こういうオープンクエスチョンは好きなので、ページをめくる手を止めて、あれこれ考えてみたが、著者の答えはそのどれでもなくて誰もが納得の本質的シンプル回答だった。あれこれじゃだめなのだ。これだというのが本質なのだなと思わせる鮮やかなツカミ。
まず人間は大事かどうかではなく差があるかどうかに目が行ってしまって、大事なコトをとらえそこなうのだ、という。正確さを大切にするエンジニアや、細部に神が宿ると感じるアーティストは、こういう本質思考を苦手とする人が多いと思う。でもマネジメントにはこの本に書かれている大事なコトをとらえる訓練法こそ最重要だ。
ボストンコンサル、アクセンチュア出身でビジネススクール教授をつとめる著者が、長年のコンサルティング経験のエッセンスを
考える = 『重要思考』大事なコトから三段階で考える
議論する = 『Q&A力』大事なコトを問う、答える
実行する = 『喜捨法』捨てることを強制する、楽しくする
という3つの段階で語っている。
大事じゃない枝葉をいかに刈り取るかを教えてもらった気がする。
ビジネスの意思決定では、複雑な物事を簡単明解にする必要があるが、正しいやり方で簡単化しないと誤ってしまう。シンプルな理解は自信にもつながるものだ。
「割と短時間でできる、良いシミュレーションゲームを見つけよう。別に小難しいものじゃなくていい。楽しく「トレードオフ」を学べるはずだ。」として、昔MBA時代に徹夜で遊んだという『信長の野望』を勧める面白い先生でもある。わかりやすくて楽しく読める本だ。
私は体験したことがないが『神々の沈黙』『奇跡の生還へ導く人』を読んで、内なる声というテーマは気になっていた。この本は幻聴について日本臨床心理学会の研究者たちが、様々な観点から考察した本。幻聴の実態は解明されておらず謎が多い。それを精神疾患の症状ととらえるのではなく、耳を傾けることで人生にとってプラスととらえていくヒアリング・ヴォイシズという新たな考え方が提示される。
幻聴あるいは空耳。統合失調症に多いが、精神疾患がない一般人でも6%が声を聞いた経験があるという。日本で660万人が幻聴、空耳の体験者なのだ。その内容が統合失調症では94%が批判的な内容だが一般人ではその比率が13%と大きく減る。そして統合失調症患者は頻繁に声を聞くが、一般人はめったに聞かない。
幻聴は人生に大きな影響を与えることがある。イスラム教のマホメット、天理教の中山みきなど神の声を聴いて宗教の教祖となった例は多い。ノーベル賞受賞者の益川敏英氏は頭の中で声と対話をしているという。幻聴を障害としてとらえるだけでは、プラス面を見逃していることになる。前述の本の「神の信託」「サードマン現象」だってそうだ。
脳科学的には、幻聴は脳のある部分に障害が起きることで、自分の心の中の言葉(=内語)が、内語として認識されずに、声として体験されてしまう現象と考えられるそうだ。これってメカニズムが解明されて制御可能になれば、イヤホン不要のテレパシー通話を実現できたりするかもしれない。
この本には幻聴に悩まされる人の体験談、幻聴の病理学、幻聴を受け入れながら自分らしく暮らす方法など、幻聴の研究成果が8本の小論で語られている。医療関係者が医療関係者に向けて書いている本なのかもしれないが、記述レベルは十分に一般の読者向きである。幻聴や幻覚というのは、知覚や脳のメカニズム解明の可能性として突破口になるのではないか、と思わせる興味深い内容。
・奇跡の生還へ導く人―極限状況の「サードマン現象」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/10/post-1319.html
・神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/08/post-258.html
iPadが450円(税込)/30日間、iPhoneとiPod touchが 350円(税込)/30日間で、30種類を超える雑誌が読み放題になるコンテンツ配信サービスのビューン。サービス開始から継続利用している。
紙では読まなかった雑誌を私は読むようになった。
1 下品な記事のつまみぐい
プレジデント、エコノミスト、ダイヤモンドなどの「学歴」とか「年収」とか「崩壊」とか「投資」のような下品な話題が表紙の雑誌は、基本的に店頭で買う気がしないのだが、ビューンのセットに含まれていると、しょうがないなあ、もう、と言いながら、ついつい読んでしまう。写真週刊誌のFridayのパパラッチ記事や、サンデー毎日や週刊朝日の政治記事も。
2 女性誌をちら見
CanCamや女性セブン、Pre-moやBaby-moなど女性誌をちら見するようになった。銀行とか医者の待合室で、ひまつぶしにチェックする感覚で見るわけだが、OL、主婦のトレンドを手っ取り早く知るにはいい情報源になる。
3 デジタルガジェットやネットの話題
読んでいる時間が長いのはデジタルガジェットの記事がよく出ているDIME。それに各紙に登場するiPadやツイッターの記事を横断的にチェックできる。IT業界にいると一般読者の知識レベルがわからなくなるので、雑誌に目を通しておくことは重要だと思う。
だが、ビューンには微妙な面もある。紙の雑誌のすべての記事が収録されているわけではないのだ。抜粋版なのである。たとえばAERAに「ブックビジネス2.0」共著者の津田大介氏が取り上げられた「現代の肖像」は、ビューン版には含まれていなかったので、結局、紙でも買うはめになった。
この本の「おそろしく単純な生命モデル」という副題は一般向けの書籍としてはウソである。概念の発明者である著者にとっては単純なのかもしれないが、多くの読者にとっては相当に難解なモデルだと感じられるはずだ。しかし、難解であっても生命の本質を探る探究は面白い。
「自動掃除ロボットがプログラム上想定外だった猫を、一個の対象として記号化し、対処できるかということだ。世界の事物を適宜、カテゴリー化し、分類して名づけ、記号をつくる営為は、極めて知的な活動の賜物であり、言語的な創造を意味するものだ。外部環境と入出力を通してやりとりできる計算機であり、自ら運動して様々な外部刺激を受け取れる機能をもつと想定される機械、人工的エージェントに、果たしてここまで知的な活動が可能なのか。」
外部から刺激を受けて状態を変える機械=オートマトンのコンピュータ・シミュレーションとしてモデルは示される。生命壱号とはあるパターンで運動するアメーバみたいなものである。
「境界と内部状態、外部の空状態、この三つの状態のみから構成される格子空間において、境界格子から「空」侵入点を選び、「空」を通過させる。境界と内部状態から構成される集合体は、「空」の通過を通して、変形と移動を繰り返す。このとき「空」は、自らの経路を記憶し、それを避けながら、集合体を通過する。生命壱号の基本的機構はこれだけだ。」
生命活動には認知と知覚、進化、運動、個体発生など説明しなければならない事象が多くあるが、これらをタイプ(一般的概念)とトークン(個別的具体例)の両義性というアイデアで突破していくのが生命壱号モデルである。ライフゲームの格子の境界線に魔法をかけたようなイメージ。ラフ集合理論を使った数学的な検証部分は私にはちょっと難しかった。
認識と存在の哲学に強い関心があって、かつ、創発、オートポイエーシス、アフォーダンス、ライフゲームなどのキーワードがヒットする人向け。
「民俗学者宮本常一の代表作に『忘れられた日本人』がある。宮本は地方の田舎で昔ながらの生活を営む人々の中にこそ、本当の日本人の姿があるとした。 私はそれとは対極に、路地に住む人やそれと同じように異端とされた人々、タブーとされた出来事を通して、日本人の姿を見つめようと努めてきた。だからこれは宮本と違う意味で、ノンフィクションの書き手である私なりの「忘れられた日本人」ストーリーでもある。」
被差別部落問題ノンフィクションで大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したライターによる、マイノリティ視点の現代日本人論。偉人伝より異人伝の方がずっと面白い。有名、無名の6人の人生が語られる。
・類人猿のような姿態の"ターザン"姉妹
・差別を描いて封印された漫画家『血だるま剣法』平田弘史
・孤高のやり投げ選手 溝口和洋
・医師の猥褻行為と裁判で戦い続けた生涯を持つ女性
・股間から火を吹く芸で知られるストリッパー
・伝説の落語家 初代桂 春団治
日本はアメリカと比べると社会の異形に対する許容度がかなり低い国だと思う。規格を外れた人間を排除しようとする。現代になって部落差別は少し減ったかもしれないが、情報ネットワークが発達して、異形はネットメディアに晒されて叩かれる。異形に対する不安や嫌悪感は、多様性に対する恐怖が根っこにあるのだと思う。みんな一緒であることで安心を得る社会と、異形を取り込みながら成長していく社会。後者の社会に生まれていたらイノベーターと呼ばれたかもしれない人たちが、日本社会で生きにくい人生をおくっているレポートの本である。
ラジオに出演します。
11月6日(土曜日) 24時30分~25時00分
つまり深夜0時30分~ です。
TBSラジオ
週刊デジタリアン
http://www.tbs.co.jp/radio/format/digidigi.html
・週刊アスキー
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/027/27648/
です。週刊アスキーの福岡総編集長とTBS豊田アナと、ネットのトレンドや本の話を30分トークしてきました。同時掲載の週刊アスキーの予告では、
「今週のゲストは、データセクション株式会社会長の橋本大也さん。ご自身の人気ブログ『情報考学 Passion For The Future』について、年間300冊読書しているという速読法について、未来のネットワークについてリサーチ&プランニングのプロに伺っていきます。秋の夜長にぴったりの一冊を見つけたいアタナ、必聴です!! 」
という内容です。ぜひお時間ありましたらオンエアを聴いていただけると嬉しいです!。
ところでラジオを聴くのって久しぶりじゃありませんか?
対応地域ならRadikoが便利です。
・Radiko
http://radiko.jp/
放送電波が流れている地域の一部ではネットでラジオが聴けるのです。
パソコンならWebでクリックするだけ。iPhone版はこんなかんじ。
Radikoは東京局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、ラジオNIKKEI、InterFM、TOKYO FM、J-WAVE)については、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県。大阪局(朝日放送、毎日放送、ラジオ大阪、FM COCOLO、FM802、FM OSAKA)については、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県で聴くことができるそうです。
こんなニュースがありましたが、
・82.6%の人が「radiko(ラジコ)を知らない」
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1011/04/news029.html「ラジオ番組をPCで聴けるサービス「radiko(ラジコ)」のことを知っている人はどのくらいいるのだろうか。iMiリサーチバンクの調査によると、8割以上の人が「知らない」と回答した。」
私は知ってはいましたがはじめて使いました。
番組表もついているしメモ機能もあるし、とにかく便利です。
・できるポケット Facebookをスマートに使いこなす基本&活用ワザ150
メディアで騒がれ始めたし、そろそろフェイスブックもしっかりやっておくか、と思っている人、結構多いのではないかと思います。でもフェイスブックは海外からの上陸系サービスなので、まだ日本語の説明が少ない。
わかりやすさで定評のある「できる」シリーズだし、執筆陣ではベテランIT系フリーライターの田口氏が筆頭に挙がっているし、ということでこの本を購入。
これまでなんとなく使ってきたけど細かいところがよくわからない
「ファンページ」「グループ」「ディスカッション」ってなんだっけ?
結局ツイッターと連携させるにはどうしたらいいの?
というレベルの人が読むと実によくよくわかる本でした。
まずはフェイスブックの基本用語、基本機能の解説。全ページカラーで画面キャプチャーをたっぷり使って、初心者向けにガイドしてくれます。そして一歩進んでファンページやグループの活用、外部サービスとの連携やカスタマイズ、スマートフォン連携、ビジネス利用などの応用技が紹介されています。
飽くまでフェイスブックの基本を知る本なので、Facebookアプリについてはあまり触れられていません。開発者向けの話題もありません。一般利用者のためのビジュアルなベーシックマスター本です。
この本を読んで、できるようになり嬉しかったことベスト3
1 フェイスブックの400人の住所録・電話帳をiPhoneの電話帳へそっくりコピーすることができた。
2 友達をリスト化してメッセージを配信することができるようになった
3 フェイスブック内で有料広告を買ってビジネスをする方法が分かった
それからプロフィールバナーをブログに貼れるようになったこと。読者の皆さま、よろしければ登録お願いします。
使い捨ての普段使いボールペンはどれがいいかという話。私は文房具が好きなので、国産のボールペンは、全メーカー試したが、次の製品が残った。
JETSTREAMが発売されて以来、ずっとこれを愛用してきた。なめらかな書き心地という点で明らかな革新だった。私は0.7~1mmという太めのボールペンを使うので、特にスラスラ書けることが大事だ。でも、ちょっと飽きてきて最近はエネジェルユーロが定番になった。
速記的殴り書きメモに最適。ひたすらゆるい。欧州生まれの英字横書きに特化したデザインらしく、すばやく流してもインクが途切れることがない。インタビューで急いでメモをとるときに向いている。ただし、ゆっくり丁寧な文字を漢字で書こうとすると、ちょっとにじみがち(太めのペンの話)。清書やサインには向かない。0.7mmと1mmを交代で使っていたが、今は0.7に落ち着いている。1mmは太いので、乾く前に字に手を触れてしまうことがあった。ちなみにペンテルのHyperGが同系統では次点である。
・三菱鉛筆 uni パワータンク 黒 SN200PT07.24
ENERGEL EUROよりはすべらない。だから清書にはこれがいいと感じている。しかし私の仕事利用の多くはメモ書きであり、清書の必要が少ない。契約書へのサインなどはもうちょっと高級なボールペンや万年筆を使いたいわけで、高評価ながらあまり使わないのがパワータンクである。
それと以前に紹介した極細ボールペンのスリッチ。こそこそメモするのに愛用中。
iPhoneで撮影した写真を、トイカメラ風、フィルムカメラ的、1970年代的なイメージに変換して、ネット上で共有するアプリケーション。同じようにトイカメラ風に画像加工するアプリは他にもたくさんあったが、ソーシャル連動機能が魅力。Twitter、Flickr、Facebook、Tumblr、Foursquareに一括登録できる。
上のような写真をこんな風にフィルターを選んで加工できる。
ロモ2風。
あまり美しいとは言えない日常風景をおしゃれに変換して遊ぶ。
有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジで、毎月一回トークイベントをやることになりました。11月で2回目です。会場では話題のGALAXY S/GALAXY Tab 先行展示も開始されています。このラウンジは多数の未来のコミュニケーションツールに触りまくり、試しまくり、で一見の価値ありの場所です。スマートフォンの未来を体験しがてら、私のセッションものぞいてください。よろしくお願いします。
■日時
2010年 11月16日(火曜日)19:00~20:00
■場所と参加申し込み
有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジ内イベント/セミナースペース
http://dcm-spl.com/cool_events/2010/10/-passion-for-the-future-offline.html
Webから参加の予約することができます。実は当日ふらっと参加も可能ですが、予約していただけると大変うれしいです。モチベーションになります。
■イベント概要
『ザ・本とインターネット』 ソーシャル読書セミナー 第1回
(Passion For The Future オフライン)
本とインターネットとどうつきあうか。それで人生が変わります。
IT起業家で書評ブロガーの橋本大也氏が、"今月の面白い本ベスト10"や、電子書籍やWebの最新事情を語ります。年間500冊超の読書生活で発掘してきた名著・奇書の書評のライブ・トーク。ひとりで本屋に行くより、気になる本がきっと見つかるセッションです。さらに未来志向で、パソコンやケータイ、タッチ端末など先端テクノロジーがもたらす読書スタイルや出版文化の変容も考えてみようと思います。
構成:
1 自己紹介とごあいさつ(5分)
2 今月読んだおすすめ本 5冊 (15分)
3 今月のテーマ本 5冊 (15分)
4 デジタル読書生活向上委員会 (15分)
講師紹介
橋本 大也 データセクション株式会社 取締役会長
2000年、大学在学中にインターネットの可能性に目覚め、株式会社データセクションを設立。現在、ITコンサルタント・起業家として数社のITベンチャー役員を兼任すると共に、大学等で教鞭をふるっている。主な著書は「情報力」「情報考学―WEB時代の羅針盤213冊」「新・データベースメディア戦略」「アクセスを増やすホームページ革命術」「ブックビジネス2.0」ほか多数。
株式会社早稲田情報技術研究所 社外取締役
株式会社日本技芸 社外取締役
株式会社メタキャスト取締役
デジタルハリウッド大学 教授
多摩大学大学院経営情報学研究科 客員教授