創造性とは何か
KJ法の創始者 川喜田二郎教授による創造性論。大著から創造性に関する一章だけを抜粋した新書なので読みやすい。
著者は創造行為を保守と創造の循環としてとらえる。保守に循環しないものは創造ではなくて単なる破壊なのだ。ただし偉大な創造は循環のスケールが大きいので破壊のようにみえることがあるともいう。
創造とは非合理を世の中に認めさせることという捉え方もしている。知られていることから論理的に導かれるような当たり前のことは創造ではない。非合理さを実践で納得させることこそ創造なのだ。それを混沌→矛盾葛藤→本然というプロセスであらわしている。一見非合理だと思うものが矛盾葛藤を経て、まさにそれこそ自然だと思えるように至るという意味だ。
仕事で創造性を発揮する条件しては3つ
1 自発性 2 モデルのなさ 3 切実性
を挙げている。前例のないことへの主体的な挑戦が創造につながる。ここで面白いと思ったのが、著者の主体性の考え方だ。
「主体性については、よく人に強いられてやるのは主体的でないと言われるが、それは一般論であって、本当は全体状況が自分にやれと迫るから、やらざるをえないというほうが、じつは真に主体的だと私は思うのである。」
自分はこれがやりたいからやるというレベルじゃ、まだまだなのだ。祖国を救えという天の声に立ちあがったジャンヌダルクのように絶対的受身のほうが高い主体性と考えるのである。天命、運命、使命感を切実に感じることが、イノベーションにつながる。坂本龍馬は時代状況の中で輝いたというわけか。
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