ご当地「駅そば」劇場―48杯の丼で味わう日本全国駅そば物語
・ご当地「駅そば」劇場―48杯の丼で味わう日本全国駅そば物語
全国各地の駅のそば屋(立ち食いが多い)のうち、地域の特色を出している48店を写真入りで紹介する新書。著者は全国1500店を巡っている駅そば研究の第一人者。
駅そばって私も好きなんです。お腹がすいているときに、濃いそばのにおいがするとたまりませんよね。ちゃんとした時間にちゃんとしたご飯を食べなきゃといけないと頭では思っていても、ついつい欲望に負けて、おやつや夜食に一杯食べてしまう。週に1,2回ですが年間にしたら50回とか100回になる。結構利用しているなあ、私。
駅そばって稀に大当たりの店があって、コシのある十割そばや、からっと揚げたての天ぷら、煮詰まっていないうまい出汁が出てくることがある。立ち食いなのに、町のそば屋よりうまかったりする。同じチェーンでも大きなばらつきがあったりしますね。私の経験では駅周辺そばであることが多いですが、小諸そばのほんの一部に大当たりがある。
で、この本の著者はそういう普通の駅そばの名店発掘は前の本で終えていて、今回は御当地そばにこだわっています。広島のかきそば、静岡のはんぺんそば、福岡のふくそば(フグの天ぷら入り!)、小田原の梅そば、ほか。その地域でしか食べられない御当地そばの名作をうまそうに紹介しています。ページ48種類。ページをめくるたびに「え、こんなのもあるの?」と駅そばの多様性に驚かされます。
「天ぷらそば」は地域や店によってのってくる具が違うとか、濃い口醤油のカツオ出汁と薄口しょうゆの昆布だしは、関ヶ原に境界線があるだとか、東の白ねぎと西の青ねぎはそれとは境界がずれているとか、実地検証で結論しています。
お腹がすいているときに読むと大変うまそうですが、実際にはひとりで地方へ出張に行った時って、なかなか駅そばには入りません。せっかくだから御当地名物をと思って、普通のお店に入りがちです。まさか著者みたいに駅そば目的で旅行するということはない。著者のレポートは、自分ではなかなか味わえない味覚世界の広がりを知ることができて貴重でした。
このブログ始まって以来の交通新聞社新書の本ですが、このシリーズは鉄道系のマニアックな嗜好の本ばかりで面白いです。他のも読んでみよう。
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