おもいでエマノン
『黄泉がえり』の梶尾親治が原作、『Spirit of Wonder』の鶴田謙二のSFファンタジー漫画。ユニークなストーリー設定と魅力的なヒロインのキャラクターが相乗効果を出している秀作。
自分は地球の生命30億年の記憶を受け継いでいるという不思議な話をする少女エマノン。アメーバみたいな原始生物だったときから、何億回もの転生を繰り返して、いまの自分になった歴史を覚えているというのだ。旅行の船上で彼女と出会い、そんな話を聞かされたSFマニアの主人公は、話の面白さと彼女の魅力に強く惹かれていく。
これはSFオタクのための恋愛ファンタジーとしてひとつの理想形、完成形だと思う。SFの話を楽しそうに聞いてくれる彼女というだけでも希少な存在だが、エマノンは自分から斬新なSF話をしてくれて、一緒に盛り上がれるわけだから、奥手なオタクには最高なのだ。
エマノンの長い髪、セーターにジーンズ姿というオシャレ過ぎない親しみやすい格好。船上で自然に二人きりになる状況(周囲は酔っ払った嫌なオヤジばかりだったため)。女性の方から話しかけてもらえる偶然。あらゆる要素がオタク系のリア充化へと予定調和的に向かっていくのだ。男の方はひたすら受身でも展開がどんどん進んでいく。
エマノンという名前は No Nameを逆から読んだ自称であって、本名でもないのだが、○○ノンっていう響きもなんだかそっち系で受けそうなネーミングなのである。もう完璧じゃないか。
既にかなりの人気作品らしいが、エマノンでラブプラスをつくったら大人気になるだろう、予言。
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