響き合うリーダーシップ
ハーマンミラー社の伝説のCEO マックス・デプリーが1987年に書いたリーダーシップ論の古典。ドラッカー、トム・ピーターズ、クリントン元大統領など著名人が絶賛している。
リーダーシップに必要なのは、誠実さ、関係を築き育む能力、コミュニティの構築。権力によるマネジメントから説得によるリーダーシップ、そして現代的な参加型マネジメントへ。20年前に書かれたと思えない内容。やっとこの本の中身に時代が追いついてきた。
「リーダーシップは「アート」だ。時間をかけて身につけるものであり、たんに本を読んで学ぶものではない。リーダーシップは科学というより伝承であり、情報の蓄積というより関係の構築なので、その意味では、私はそのすべてを明らかにする方法を知らない。」
コミュニケーションと関係構築にマニュアルは通用しない。人の心に響くのは誠実さや信念にもとづくリーダーシップである。著者はそのあり方を「リーダーシップで大切なのは、優秀な頭脳ではなく、全身のたたずまいだ。」と表現している。確かに偉大な経営者にはたたずまいがある。
リーダーが多様性をまとめるプロセスで大切なのは「思いきって他人の強みに頼る」ことだという。偉人たちに「場」を与えて、彼らに"遊軍リーダーシップ"を発揮させるのが、優れたマネージャーの仕事であり、著者の具体的な経験なのでもあった。
「組織で働くもっとも優秀な人々は、ボランティアのようなものだ。どんな組織においても好条件の仕事を得られる彼らは、給与や職位よりもっと把握しにくい理由で仕事を選んでいる。ボランティアに契約はいらない。「心の関係」が必要なのだ。」
部下が内発的なモチベーションによって、高い能力を持続的に発揮させる環境=良質なコミュニティをリーダーはつくりだせ。20年前の本だが、現代のフラットでネットワーク型組織におけるソーシャルリーダーシップを先取りしていて、今読んでも啓発される。
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