必要とされなかった話
壮絶な漫画。。
食糧が底をついた村。もしも一人しか命を救えないとしたらおまえは誰を選ぶか?。長老が村の全員に尋ねて歩いた翌朝、誰にも必要とされなかった6人の森への追放が決まった。たったひとりの肉親の姉に、自分が選ばれなかったことに愕然としながら、主人公の少年 織春は死の森を彷徨う。
テレビ番組「サバイバー」のように、投票によって自分が追放者に選ばれるよりも、誰からも必要とされなかったから追放されるこの状況の方が辛いかもしれない。あからさまに追放されれば、憎しみを糧に生きていくこともできるが、これでは誰を恨んだらいいのかわからない。ただただ、さびしくて悲しいのである。
森の中で追放されたもの同士が出会う。心が荒んだ追放者たちはせっかく再会しても、助け合うことができない。織春は人間不信の絶望に陥りながら、厳冬で食糧のない森で、必死に生き延びていく。
人間は人の間と書くけれども、まさに人が人の間で生きる意味を真正面から問い直す劇画。作品は物語として完結しているが、連載が途中で打ち切りになったらしい。そのせいで後半の展開が少々かけ足気味なのが残念であるが、メッセージはちゃんと伝わってくる。読み応えあり。
映画化したら面白そうな佳作。
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