視覚デザイン
「デザイナーには誰でもなれる。今は優れたパソコンソフトがあるので、ある程度のものは容易に制作できる。しかし、視る人にとって見やすいものであるかどうかは、別物である。デザイナーを目指す方は将来の基礎を作るために、ぜひ絶対基礎である視覚デザインを習得してほしい。」
視覚の原理、視覚デザインの歴史、視覚構成、視覚心理、デザイン基礎技法の5章からなる視覚の教科書。著者はデジタルクリエイターを育成するデジタルハリウッド大学でトップクラスの人気を誇る南雲 治嘉教授。
ラスコーの洞窟画からWebまでカラー写真の資料満載で図鑑のようだ。眼の構造や知覚の仕組みの説明から始まっている。視ることと視せることのベーシックを学生にわかりやすく伝える。
「見かけはカッコいい作品でも、ベーシックがないと、どこか粗悪な匂いがする。また若いデザイナーが2~3年で壁にぶつかり、悩むことがある。多くの場合、その原因はベーシックの欠如である。結局ベーシックがなければ、前に進むことができなくなる。大きく育つ人材はベーシックができているものだ。」
この本にはデザインの具体的なの技術はのっていない。だから、これを読んでもデザイナーになれるわけではないが、こういった知識を学ばずに、良いデザイナーになることはできない。デザインにはどんな分野やキーワードが広がっているか、教養を育てる内容である。デザイン系の授業の副読本として重宝しそうだ。
教科書的であるが、視る人を笑顔にする、幸せにするのがデザインの仕事だという南雲先生のメッセージが秘められていて温かい。
・46年目の光―視力を取り戻した男の奇跡の人生
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/10/46.html
・視界良好―先天性全盲の私が生活している世界
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-616.html
・眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/05/post-380.html
・美を脳から考える―芸術への生物学的探検
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/post-777.html
・脳は美をいかに感じるか―ピカソやモネが見た世界
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/post-742.html
・形の美とは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005144.html
・美について
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005145.html
・デザインにひそむ〈美しさ〉の法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004944.html
・黄金比はすべてを美しくするか?―最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004272.html
・美の呪力
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005223.html
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