マン・オン・ワイヤー スペシャル・エディション
2008年度アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞受賞作品。
高級な深夜番組的映画で面白かった。
1974年8月7日。今はなきワールドトレードセンターのツインタワーの間、地上400メートルにワイヤーを張って、綱渡りをした男 フィリップ・プティの伝説の映像化。ビルに侵入して危険行為を行うわけだから、はっきりと違法行為。綱渡り終了後は即逮捕を覚悟で実行チームは動く。
警備員に見つからないように、1トンもの機材を建設中のビルに持ちこんで、屋上間にワイアーを張るという設営作業がまず大変。フィリップを支援する仲間たちは、メタルギアソリッドのスネークのように、警備の眼をくぐりぬけて、最上階を目指す。
フィリップの集中した顔はスフィンクスのようだと言った人がいるが、本当に芸術作品のように厳しく美しい。この顔を見るだけでも価値があると思った。やってることは軽犯罪なのだけれども、毅然としている。凛々しい。かっこいい。
そしてこの映画の本当の主役は、ワールドトレードセンターの上の綱渡りを人々が拍手喝さいで迎えた時代。フィリップの支援者にはビルの関係者もいたし、後のWTC会長もだまされていた。登場人物たちはみな牧歌的でどこか抜けている気がする。今だったらセキュリティが厳しすぎて、上る前にアウトであろうし、綱渡り後の風当たりだって優しくないだろう。
1970年代という綱渡り、の映画なんだなあ。
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