ネオ・デジタルネイティブの誕生―日本独自の進化を遂げるネット世代
・ネオ・デジタルネイティブの誕生―日本独自の進化を遂げるネット世代
国内大規模定量調査によって、若年層の情報摂取行動を調べたという、日本版デジタルネイティブ研究報告。日本のデジタルネイティブを3つの世代に区分している。76世代、86世代、そして96世代=ネオ・デジタルネイティブだ。各世代のわかりやすい対比が面白い。たとえば、
76世代:PCで書く、ケータイで読む
86世代:ケータイで書く、PCで読む
という違いがあるそうだ。全般的に上の世代がパソコンでやっていることを下の世代はケータイでやっている傾向がある。もっともこれは、パソコンの所有率とも関係があるのかもしれないが。
情報行動だけでなく、コミュニケーションのスタイルも異なっている。
「まず76世代は、「他人にあまり影響されずに自分らしい生き方をすることがカッコいい」「世の中が言うことよりも自分の情報のほうが正しい」「社会がなんと言おうと自分だけの価値観が大切」といった考えを持つ傾向があります。一言でいえば「自分流」となります。 一方、86世代は、「自分だけの考え、信念を貫き通すのはカッコ悪い」「一人で生きているわけではないので我を通すのはおかしい」「社会があるからこそ自分も生きていける」「周りの人ともっと絡もうよ」といった感じで、"社会との調和""他人との調和"を重んじます。「自分流」と対照的な「調和型」です。」
86世代からは我を通す生き方をしなくなったという。そういえば、70年代には強かったツッパリ不良文化みたいなものも目立たなくなった気がする。そして76世代はネットで「世界とつながる」のに対して86世代は「身近とつながる」。クローズドで心地よい人間関係をつくることに魅力を感じているようだ。
若い世代ほど一般的信頼性が高くなっているという調査結果が出ていた。つまり赤の他人を最初から信頼しやすいということだが、ネット上の顔の見えないコミュニケーションにおいて、この性格は重要なのだろう。同世代に自分勝手に我を通す人が少なくなったという話とも関係が深そうだ。
電通総研と東大の先生による共著。日本のデジタルネイティブの独自の進化がよくわかる。76世代と86世代の話が多くて、タイトルにあるネオ・デジタルネイティブ(96世代)の実態はまだデータが少ないのだが、何かが変わろうとしているという予兆を知ることができる。
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