モードとエロスと資本
モードやファッションの激変を通して現代社会の消費行動を読み解く。
まずオトコとオンナの欲望の消費スタイルが大きく変わったのだという。
「資本主義と手を携えていたモードは20世紀までは恋愛の物語をエネルギーとしてそのサイクルを回転させていたが、資本主義の行きすぎに伴って、「面倒くさい」性愛を代行するビジネスが出現し、服を売るための過大な恋愛幻想が逆に本物の恋愛を遠ざけていき、結果、モードから恋愛の要素が薄まっていった。」
私が大学生の頃、トレンド雑誌には、クリスマスはドレスアップして、高級レストランで食事して、高級ホテルに宿泊なんて、大学生らしからぬ恋愛幻想がバブル経済によって、広められていたが、不況や男の草食化によって恋愛とモードの蜜月関係が崩れた。
「エロスが抜け落ちた、あるいは薄まったモードは、「倫理的」になる一方、恋愛や性愛の要素をあまり伴わない。女性主体の「カワイイ」と「エロい」という二極世界とも手を携えていく。どちらの世界も、女性がモードの力によって現実を超えていくために、マニアックに追求されるが、求道的にその道を極めれば極めるほど、エロスは遠ざかっていくというスパイラルを生んでいる。」
そしてラグジュアリーブランドの指向性も変わった。20世紀の有閑階級は富の誇示をすべく消費活動を行ったが、21世紀には消費の動機は富の誇示から良心の誇示へ、環境への配慮、社会貢献といった「深み」を持つブランドが支持されるようになったと説明している。その一方で不況経済下で、ユニクロ、ギャップ、H&Mのような激安ファスト・ファッションが流行する。ブランドは大きな転換点を迎えている。
恋愛と切り離されたファッションはこれからどこへ向かうのか。ファッションと男女の恋愛と資本主義の変遷を分析した興味深い内容。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: モードとエロスと資本
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2879