あぶさん 96 さようなら90番
懐かしい。あぶさん。
「さようなら90番」引退試合の巻ということで久々に読んだ。
そもそも、あの『あぶさん』はまだ続いていたのか!と感慨に浸りながら表紙を開く。
設定にはかなり無理がある。この漫画の連載開始は1973年だが、劇中のあぶさんも1年に1歳ずつ年を取ってきた。だから連載37年=選手生活37年、62歳の現役プレイヤーとしてあいかわらずホークスで活躍している。あぶさんの絵は還暦を過ぎているとは思えない若々しさ。両親も健在でピンピンしており、息子の引退試合を見に来るが、この2人は今何歳なのか謎である。
他の脇役たちも少々絵が若すぎる。仕方がないのだろう。もしも全員を爺さん婆さんとして描いてしまったら成り立たない。野球漫画で登場人物をたびたび死なせるわけにもいかないのでみんな長生きせざるを得ない。長期連載で登場人物は増えるばかり。破綻が見えたからそろそろ引退っていうことなのではないかと思われる。
96巻目のストーリー。予定調和的な引退試合で意外性もなにもないのだが、長年のファンはこういう展開を期待していたのだろうから、これでいいのだ、たぶん。昔のあぶさんを思い出せば、読者は目頭が熱くなる。
私は店頭でみて最終巻かと思って手に取ったのだが、現在も連載中で、最新号では二軍助監督に就任しているようだ。あぶさんの活躍はまだまだ続くということでほっとしたが、この96巻では引退直後の、何もやることのない平和な日々が読める。
あぶさん。日本で最も長く連載が続いているスポーツ漫画となったそうだが、作者の水島新司は1939年生まれで今年71歳。長寿漫画家による長寿漫画としてまだ10年、20年、30年と続いていってほしいなあ。そうそう、ドカベン スーパースターズ編も。
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