次に来るメディアは何か
テレビ・新聞は消滅するのか?メディアはどう再編されるのか?アメリカの事例をみながら日本のメディア産業の将来を考察する。内容たっぷり。面白かった。
「ネット上で自分に関心のある情報ばかりを集めるデイリー・ミー(自分のための日刊新聞)現象は、社会の分極化を招き、民主主義を発展させていくうえで阻害要因になりうる」という意見が紹介されていた。検索もカスタマイズもリコメンドも、すべてデイリー・ミー強化につながる。次世代メディアの重要な要素だ。
しかし、デイリー・ミーで社会が分裂するとまではいかないのではないかとも思った。全員がデイリー・ミーしか読まないようになると、逆に広く全体を見渡すグローバル新聞を読んでいる人が大切になるだろうし、逆にデイリー・ミーにグローバルな意見を取り込んで読む人も増えるだろう。そもそも、いろいろな意見を持った人がいるということが、民主主義の前提だろう。
グローバルと日本のメディア再編の動きとしては、多分野に拡散して弊害が目立ち始めたメディア・コングロマリットから、メディア・コミュニケーション企業連合に絞り込んだ「メディアインテグレーター」へとシフトすると予想されている。そこでキーになるのが通信キャリアだと指摘されている。
「なぜ通信キャリアーがメディア再編成の核となるのだろうか?一見奇妙に感じられるかもしれないが、理由は簡単である。既存のテレビ局や新聞社に比べて圧倒的な資本調達力があり、技術開発力があり、何より近い将来、国民共通のコミュニケーション端末が次世代携帯電話、つまりスマートフォンになるとみられるからだ。」
私の場合、1日で一番長い時間接触しているメディアは、パソコンとスマートフォンだ。テレビでも新聞でも雑誌でもない。そして、スマートフォンの接触時間が確実に増えている。スマートフォンで知って、Webやテレビや雑誌を読むという行動も多い。
それからデジタルハリウッド教員としては、ここが気になったな。
「経産省が作った「コンテンツ産業の海外収支」という表を見ると、04年度輸出の稼ぎ頭はゲームの2327億円である。出版は176億円の輸出に対して475億円の輸入で、大幅な輸超となる。輸出部門は、漫画・アニメが中心だが、金額はまだ少ない。」
そう。ゲームにはもっと自信を持って力を入れるべきなのだ。ゲームをメディアにして日本の文化とコンテンツを輸出するということを本気で考えたらいいと思う。
で、そうしたデジタルコンテンツの学校デジタルハリウッドで次世代メディアセミナーを開催しますので、みなさん来てね。(すいません、最後、宣伝です)。
・次世代メディアセミナー The Future of Digital Contents 第二回 『雑誌メディアの近未来 デジタル化による変容と次世代ビジネス』
http://www.ovallink.jp/event/digital_publish2.html
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