ネット検索革命

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検索の未来についてここまで深く語れる人は世界に何人いるだろうか。感動。

「検索知識人」と「ソーシャブルサーチ」という概念に特に啓発された。

検索知識人とは、

「技術面でのスキル、専門領域の知識、概念的な鋭敏さ、この三つが「検索エリート」を作り上げる。最良の検索者は、検索エンジンの適用範囲や、作動の仕方や、長著と短所などを理解している。さらに、どう検索すれば効率的なのか、「深層ウェブ」を掘るために多様な垂直型エンジンをどう使いこなすか、助言してくれそうな専門知識を持った人をどう探すか、心得ている。個人的な社交関係や、オンラインでのフォーラムを使って、専門知識を得ることができるだろう。特定の個別の問題を検索するだけではなく、継続的に検索を行うことで、あるトピックについて自動的にデータを引き出し、新たに見つけた情報を「絵」にはめこんで、より大きな全体像を描き出せる(Calishain 2007)。」

検索すればわかる、とか、あの人に聞けばわかる、いうことは多い。従来はそれは知識とはみなされなかったが、ネットを介して知識のデータベースや人脈にいつでもアクセス可能になった今、即座にそうした知識を引き出すことができる能力は、ほとんど知と同義である。将来、脳にコンピュータや通信装置がインプラントされたら、オーガニックな脳で考えた事なのか、ネット脳で考えた事なのかは、外部から見分けがつかなくなるだろう。検索知識人はネットを外部脳とする時代のさきがけなのだと思う。

そして、ソーシャブルサーチとは、「手段としての検索」から「明示的・暗黙的な人間関係の構築」を指す。従来のソーシャルサーチより一歩踏み込んだ概念といえる。

「英語では「サーチ・パーティ」(捜索隊)という言葉が、何百年も使われている。この言葉は、検索の社会的な性質を思い起こさせる。「ソーシャブル・サーチ」も「サーチ・パーティ」の一種と考えるのが適切だと思う。新しいアイディア、新しい娯楽、新しい知識を一緒になって探すこと。より集まって新しい知識を共有すること。そして、将来の検索を向上させるための新たな社会構造。検索はこれまでも常に、知識の評価だけではなく、社会的な創造にも依存してきた。社会のニーズに応える検索のためには、人々と情報を結びつけるだけでなく、人々同士を結びつける必要があるのだ。検索エンジンは個人から知識への道筋を提供するだけではなく、知識をつくり出す社会構造や集合パターンの変化までもたらす機動力となるのである。」

これは日々実感するところだ。たとえば私は、ブロガー同士のネットワーク、経営者同士のネットワーク、研究者同士のネットワークを持っている。Skypeのチャットルームやメーリングリストには日常的に、時事に対する意見、参加者の鋭い質問と的確な答えが集まっていて、公開ウェブと同じくらい貴重な情報源になっている。

もちろん、誰かの質問に答える際には公開ウェブの検索エンジンも使うわけだが、それぞれに得意分野とがある。多様な専門を持つ検索知識人が寄り集まったサーチパーティの一員になるということが、とても大切なことになってきたと感じる。

この本には、検索知識人、ソーシャルブルサーチの他にも多くの啓発的な概念が示されている。検索の未来を考えてみたい人におすすめ。

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このページは、daiyaが2010年5月17日 23:59に書いたブログ記事です。

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