完全教祖マニュアル
ネタというレベルを超えて、結構本当に使えちゃう本かもしれない実践的内容...。
「みなさんは、人に尊敬されたい、人の上に立ちたい、人を率いたい、人を操りたい、そんなことを思ったことがありませんか?でも、自分には才能がない、学がない、資産がない、そんなのは一部のエリートだけの特権だ、等と理由を付けて夢を諦めていませんか?確かに、これらの夢を叶えることは非常に難しいことです。ですが、悲観することはありません。何も持たざるあなたにも、たった一つだけ夢を叶える方法が残されています。そう、それが教祖です!新興宗教の教祖になれば、あなたの夢は全て叶うのです!」
新興宗教の教祖になりたい人のためのマニュアルだ。
「インテリは組織運営の核として絶対に必要なものです。ですが、実際問題としては、組織の主たる層は一般人ですし、そして、一般人は哲学など毛ほどの興味もありません。」
既存宗教を焼きなおして教義を作り、幹部になるインテリをリクルートし、教えを簡略化して大衆に迎合し、教団組織を成長させていく。教えは反社会性を入れながら、同時に社会的弱者を救うものにせよ。現生利益をうたおう。葬式をやろう。信者には不安を与えて救済してやる。食物規制や断食も効果的。科学的体裁もとるといい。迫害されたらその事実を利用しよう。異端は追放しよう。教祖になるための教えとチェックリストが続く。
教祖の基本要件は「なにか言う人」と「それを信じる人」がいること。
「たとえば、いま、あなたの目の前に、奥さんの膝でガタガタ震えている男がいるとしましょう。彼は姉さん女房に泣きつき、自分を襲った怪奇現象を必死に訴えています。「本当なんだ。超自然的存在がオレの首を絞めたんだ」。彼女は夫を慰めて言います。「あなたの言うことを信じるわ」。そうです。この瞬間、夫は「教祖」になったのです。ちなみに、この男の名をムハンマドといいます。ご存じ、イスラム教の教祖ですね。」
いろいろな既存の宗教の発展形態を調べたうえで、現代において新たに宗教を興すにはこうするのが現実的であり、近道だよということがまとめられている。実際に興す人は稀だろうが、会社にせよ学校にせよ、地域コミュニティにせよ、成功している集団には少なからず宗教っぽさが感じられるものだ。特殊なリーダーシップ論として読むと、いろいろと勉強になる真面目な内容である。
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