テルマエ・ロマエ
これは非常に面白い漫画だ。
表紙と題名からは想像もつかない内容。
テーマは「風呂」。
古代ローマ帝国華やかなりしころ、市民の憩いの場として人気の公衆浴場の底が、現代日本の銭湯や温泉、家庭の風呂桶の底と、時空を超えてつながってしまう。荒唐無稽な設定だが、「へうげもの」みたいな比較文化論の深み、おもしろさがある。
主人公のルシウスは公衆浴場を設計する技師で、なぜか風呂に入るたびに現代にワープしてしまう体質を持つ。日本の銭湯体験に感動して、ローマ風呂の壁にヴェスビオス火山を描いたり、風呂上がりのフルーツ牛乳をつくってみたりして、ローマの人々を喜ばせる
日本ではあたりまえの風呂周り、水周りの技術や文化が、古代ローマでは斬新なイノベーションになる。ルシウスの評判はやがてローマ皇帝ハドリアヌスの耳にまで届き、ルシウス技師の風呂設計は国の行く末を左右しかねない大仕事となっていく(かどうかは、1巻のみなのでよくわからないが...)。
毎話、ああ日本の風呂文化って本当に素晴らしいのだなと再認識させられる。著者はポルトガル在住の女性で画家、夫はイタリア人の歴史家だそうだ。こんなニッチなテーマで連作できる人は世界にこの人しかいないだろう。
「平たい顔族」日本人のお風呂文化礼賛の書である。英語に翻訳して海外で売ったら、どういう反応が返ってくるのだろうか、これ。マンガ大賞2010年度の大賞受賞作。
・マンガ大賞
http://www.mangataisho.com/
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