変な給食
全国の学校で実際に出された「変な給食」を再現してカラー写真で紹介する問題提起本。
例:
味噌汁とてんぷらと黒糖パンと牛乳
雑煮と食パンと揚げしゅうまいと牛乳
冷やし中華、原宿ドッグ、牛乳
みそラーメンとドーナッツと牛乳
など、73点の再現写真はどれも「うへえ」な感じで食欲が湧かないものばかり。和洋中ごちゃまぜで砂糖と油まみれ、これじゃあ味覚だって育たない。結局、パンを主食にするのが原因なのだが、米飯給食は東京都平均は週に2.6回だそうで、週の半分は変な給食が出る可能性があるわけだ。
しかし、思い出してみるとこうした「変な給食」は私の小学生時代にはちっとも変じゃない、普通の給食だった。米飯は年に1度あったかどうか。パンに豚汁に牛乳にスライスチーズが一枚なんていうのがよく出た。当時は当たり前と思っていたが、大人が好んでこんな組み合わせで食べることはありえない。確かにこれはおかしい。変えるべきだ。
なぜパン食主体の変な給食が続くのか?
「その理由は、「予算がない」「人件費の問題」「パン業者への配慮」などさまざまですが、その中でも、最も多いのは、「栄養素のバランスを考えて献立を作成しています」というものです。「ラーメンに牛乳という献立はおかしいのではないか」という批判に対して、「カルシウムを満たすためには仕方ないのです」という答えが返ってくるのです。」
唐突にスライスチーズ一枚がついたりするのは栄養士の工夫らしいのだが、学校給食法には食文化の正しい理解も明記されているわけで、やっぱりまずいのではないか。牛乳を毎回つけるのも味覚を育てるという観点ではどうかと個人的には思う。
4月からうちの息子は小学校1年生になる。給食がある。私と同じ小学校だ。この30年で給食はどう変わったのか楽しみであると同時に、あいかわらず変なままだったらどうしよう、と不安になる。主張をもって戦う著者は学校給食に異を唱えて自分の子供に教室でひとりだけ弁当を持たせたらしいが普通の親としてはそうもできない。
最近都内には昭和の給食を食べさせる店がいくつもある。揚げパンとかソフト麺とか揚げしゅうまいとか、かつて無理やり馴らされた変な味覚を懐かしく感じる人がたくさんいるということだ。つまり普段食べていない。大人が食べないものを子供に毎日食べさせるのは普通に考えて、おかしい。著者の学校給食改革の主張を支持したい。
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