デジタルネイティブが世界を変える
ボブ・ディランの名曲に「The Times They Are A-Changin'(時代は変わる)」という歌があった。子供の世代が古い価値観の親の世代に交代を迫る社会派の歌詞は時代は変われど普遍的なものだ。21世紀初頭の社会のChangin'とは、PCやネットを自在に使いこなす"デジタルネイティブ"と、旧世代の"デジタルイミグラント"の交代劇である。ネイティブ層1万人へのインタビューをもとに、8つのキーワードが浮かび上がる。
ネット世代は何をする場合でも自由を好む。選択の自由や表現の自由だ。
ネット世代はカスタマイズ、パーソナライズを好む。
ネット世代は情報の操作に長けている。
ネット世代は商品を購入したり、就職先を決めたりする際に、企業の誠実性とオープン性を求める。
ネット世代は、職場、学校、そして、社会生活において、娯楽を求める。
ネット世代はコラボレーションとリレーションの世代である。
ネット世代はスピードを求めている。
ネット世代はイノベーターである。
「テクノロジーは発明される前に生まれた人にとってのみテクノロジーとして意識される。」とアラン・ケイは言った。デジタルイミグラントの私の世代はテクノロジーそのものが好きだが、ネイティブにとってはテクノロジーは無意識のうちに使っているものであって、評価する対象でない。無理して使うことはしない。必要最小限のテクノロジーを、最大の効果で自然に使える世代が誕生しようとしているようだ。
日本では平成元年(1989年)生まれくらいが、デジタルネイティブ層に当たる。本書は米国の話が多いので、イメージを持ちやすくするために、1989年生まれの人生を、IT業界史とともに振り返ってみた。
95 小学校1年でウィンドウズ95が発売
96 小学校2年でヤフー株式会社設立
97 小学校3年まぐまぐメルマガブーム
98 小学校4年でウィンドウズ98が発売
99 小学校5年で携帯i-Modeが登場
00 小学校6年でビットバレーが話題に
01 中学校1年でYahoo! BB開始
02 中学校2年でWinnyが誕生 P2P全盛に
03 中学校3年でGoogleがBlogger.com買収
04 高校1年でミクシィがスタート
05 高校2年でライブドアがフジテレビ株式取得
06 高校3年でライブドアショック
07 大学1年でウィンドウズ Vistaが発売
08 大学2年でサブプライム崩壊大不況へ
09 大学3年でiPhone新型発売
10 大学4年で就職活動
いままさにデジタルネイティブが社会に出てくる元年なのである。この本は豊富なデータと深い洞察で、この新世代のイメージを明確に浮かび上がる。名著だと思う。
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