世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある
「ほとんどの現代デザイナーの仕事は、世界の大多数の人には何の影響も与えない」
メディアで話題の新型のiPodや高級車のデザインは世界の10%にすぎない豊かな人たちだけのものだからだ。世界の90%を占める人口は、生活に必要な基本的な製品を十分に買うことさえできていない。6人に1人にあたる11億人は1日を1ドル以下で生きている。
一部のデザイナーたちは、真に世界を変えるのは、貧しい90%のためのデザインであることに気がついた。そして貧困層のライフスタイルを革命的に変える製品のデザインに積極的に取り組み始めている。電気も電話もない場所で使われることを前提とせねばならない。手頃な値段、小型化、拡張性など、求められるデザインは先進国市場のニーズとはまったく異なる。貧困層は物を買うお金がないわけだから、それを持つことで稼げるようになる製品である必要もある。
社会的責任デザイナーの多くが世界を救う意欲に燃えているが、無償で慈善事業をするつもりはない。何十億人という貧困層を未来の巨大市場ととらえ、持続可能な発展を目指している。まずは経済的自立をサポートするための製品が中心になる。
この本は今起きている「デザイン革命」のレポートだ。本書にはたくさんのの先駆的なデザインプロジェクトが写真入りで解説されている。どれも日本ではまず見ることがない製品ばかりである。だが、これらが世界の何億、何十億人を救おうとしているデザインなのだ。
3つほど気になったモノを紹介すると、
・Qドラム
http://www.qdrum.co.za/
アフリカ諸国では、貧しい人々は毎日、頭の上に水の容器を載せて長い距離を運んでいる。そのためしばしば首を痛めてしまう。Qドラムはドーナツ状の容器に水を入れて、子供でも転がして運ぶことができるようなデザインにした。
・ライフストロー
http://www.vestergaard-frandsen.com/lifestraw-claims.htm
ライフストローは泥水でも濾過して飲めるようにするストローである。700リットルの水の中の99.9999%のバクテリアと98%のウィルスを除去することができる。飲料水を確保するための水道がない地域でも、これがあれば生きていける。
・OLPC
http://laptop.org/en/
1台100ドルの超低価格PC。発展途上国の貧困層に政府が配布する。辺境にすむ子供たちに教育を与える一大プロジェクト。MITメディアラボ創設者ニコラス・ネグロポンテらが取り組む。手動充電やラップトップ自体が無線基地局となって無線スポットを拡大していくメッシュネットワーク機能などを搭載。
人々に心から喜ばれながらモノをつくることができる仕事。90%のためのデザインはさぞかしやりがいのある仕事だろうなあ。
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