孔子(講談社漫画文庫)
孔子の生涯を描いた漫画全3巻。人間ドラマ。
孔子の人生を知れば知るほど『論語』が面白くなる。孔子は見方によっては時代の敗北者だからである。不遇の一生を過ごしたが決して世を捨てなかった。孔子の孤高さというのは、隠者としての老子の孤高さとは違うものだ。孔子は最初から最後まで現実の政治で腕をふるうことを追い求めた。そして挫折した。武士は食わねど高楊枝的な、心意気なのである。
なぜ孔子は賢者でありながら仕官の道が開けなかったのだろうか。おそらく孔子自身とその教えがあまりに堅物であったからじゃないだろうか。孔子のような強いポリシーを持つ人間と、毎日一緒に仕事をするのは、きっと窮屈である。
では、なぜ放浪の旅には付き従う人が大勢いたのか。それは放浪の旅の供なら孔子の見ていない場所である程度息抜きができること、とか、世なれていない孔子が一人旅をするのを見ていられないという心理が働いていたのではないだろうか。
論語は死後に弟子によって聖典として編纂されたものだから、多分に美化されたところがあると思う。このマンガは孔子を、弱いところもあるし失敗もする人間として描いていて、リアルに感じられるところがいいなと思う。
・孔子
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002572.html
井上靖著。
・孔子伝
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004804.html
漢学研究の白川静著。
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