裏方ほどおいしい仕事はない!
「事務局とは、組織横断活動などの企画・運営を行う、目的先行・期間限定の機関である。ご存じの通り、事務局は参加メンバーの日程調整、司会進行、議事録発行などの雑務全般を引き受ける。つまりは裏方だ。本書では、この事務局が戦略的に動けば、組織を巧みに動かすことができることを伝えたい。」
組織の中で権限なしに人を動かす方法論を述べた本。著者は裏方から会社のあらゆる人を動かす能力を「事務局力」と定義する。まず大切なのは人の置かれた立場でその人の感情を想像し、社長や社員の課題意識を明解な言葉にすること。事務局の仕事はコンサルタントの仕事と本質的に近いものだと述べられている。
事務局自体には権限がないわけだから、人を心で動かさざるをえない。人を動かすには北風よりも太陽だ。著者はこういう。目立たない雪かき仕事を進んでするような人になれ →30分くらいでやれる仕事でも相当感謝されるものだ →実は目立たない仕事をしている人ほど目立つものだ、と、性善説と確信犯を掛け合わせたような実践的なノウハウが論じられている。
・「説得して向かわせるのではなく、そちらに向かってしまうような状況をつくっておく」
・「意思決定者に花を持たせる」
・「置き石、水やり、待ち伏せ」
・事務局力は、効果的な「立ち位置をとること(ポジショニング)」がすべて、
など事務局力の秘訣や、
1 ケアするメール
2 アガペー(神の愛)モード
3 鍋奉行ホワイトボード
4 付箋ワークセッション
5 内職プレゼンテーション
6 あこがれベンチマーキング
7 あとづけバイオグラフィー
という7つの仕掛けが解説されている。
人をいい気持にさせて動かす。そういえば心当たりがありますよ、私は。
著者の野村恭彦氏は富士ゼロックスのフューチャーセンターのプロデューサーである。このプロジェクトは先日、2009年度 グッドデザイン賞を受賞した。下記ページに概要と受賞理由があるのだが、この写真のど真ん中に写っているのは、実は私である。
・フューチャーセンター・サービス
http://www.g-mark.org/award/detail.html?id=35596
私はこのプロジェクトの多数の参加者のうちの一人にすぎないのだが、毎回、野村氏らの事務局に乗せられて、いい気分になり、写真のように調子に乗って相当しゃべっている。これだけ見たら私は司会のようだ(笑)。そうか、これだけのノウハウが背後にあったのか、そりゃ踊らされるよなあ、仕方ないよなあ、と妙に納得した。
大組織の中で、確信犯的に戦略的な裏方になりたい人におすすめの一冊。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 裏方ほどおいしい仕事はない!
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2653